第279話 星の精霊への道
ノームの元を離れて、星の精霊に会う事になったユート。
クロノス乗せて、飛行艇ウラノスで羅針盤が指し示す方向とへと進める。
目指すは南西の方角。
いやまて、このままいくと中央大陸へ行く事になりそうなんだが。
そう思っていると、いつのまにか海に出た。
流石にいきなり大魔王のお膝元である中央大陸にいくのは拙い。
引き返そうか考えていた時だった。
「どうやら、あれが入口のようだにゃ」
クロノスが何かを発見したようだ。
それは人が登れるような高さじゃない程の岩山に囲まれた島だった。
どうやらあそこの中心にダンジョンの入口があるようだ。
「星の羅針盤が差す方向と一致しているから、間違いなさそうだな」
「そうだにゃ。あそこには魔王軍も来ないから、安心して突っ込むといいにゃ!」
「なんだ、クロノスはあそこに行ったことがあるのか?だったら、案内してくれてもいいのに」
「あそこには、この羅針盤が無いと入れないんだにゃ。もしくは、星の加護を受けた者くらいしかはいれないんだにゃ。だから、案内だけしても無駄なんだにゃ。決して、昔過ぎて場所を忘れたわけではないんだにゃ」
クロノスは、遥か昔に来たことがあるんだな。
つか、何処にあったのか忘れてたのかよ…。
でも、まてよ…。
「あれ、新参の魔王だったんじゃ?」
「…そういう細かい事は、気にしているとハゲるにゃ覇王」
「いや、ハゲねーし!というか、そろそろその覇王っていうのやめないか?俺の名前はユートだ」
「そうかにゃ?じゃあ、ユートと呼ぶにゃ。しかし、ユートや従魔達はともかく、本当にお前の部下も降りるのかにゃ?」
器用に片目を瞑り、子供達の方を見る。
クロノスの話を聞くと、あそこにいるのはかなりの強敵らしい。
それは守護者がでは無い。
生息する魔物全てが強敵なのだという。
人間の基準で言うと、最低ランクがSランクらしく、SSランク相当の魔物も普通にいるらしい。
なので、Aランク以下のメンバー達は行かない方がいいのではないかという事だ。
しかし。
「絶対行きます!ここで行かなければ、次の壁は超えれないと思いますわ」
「わ、私もいきます。リンちゃんだけ行かせるなんて出来ません」
と、レーナやアーヤは断固として行くと言っているし。
「俺だって、Aランクに上がってからかなり頑張っているんだ、今回は絶対ついていくからね!」
とシュウも譲らない。
「勿論、僕たちも行きますよ」
ユウマまで、行くと言い出してそれにショウタ、ダイキも頷く。
ここで連れていないと言っても大人しく待っている事はしないだろう。
それに、こういう難易度が高いダンジョンでの経験は、この先を考えると積ませておいた方がいいからな。
そんな理由もあったから、元から連れて行くつもりだったのだけどね。
「どうなっても知らないからにゃ?ボクはユートの部下の面倒は見ないにゃ」
「ははは、勿論だよ。それに、この子達も十分に鍛えてきた。突っ走らない限り大丈夫さ」
「そうですね。無茶をして突っ走るようなら、私がきっちり指導するから大丈夫だぞ?」
最後にセツナが、怖い笑顔で子供たちに『分かっているよね?』と言うと皆コクコクと頷いていた。
そんな話をして間もなく岩山に囲まれたダンジョンの入口に到達した。
飛行艇ウラノスを地上に下し、メンバー全員を降ろす。
空にはワイバーンやドラゴン、ハーピーといった魔物もおらず、地上にも魔物の影は無かった。
一応『覇王の神眼』で周りを探知しても、普通の動物すら生息していないようだった。
「ここは本当に何もいないんだな」
「見えない結界が張られているから、資格が無い者は認識する事も近づくことも出来ないらしいにゃ」
ここがどういう所か分かっているクロノスは、さも当たり前のようにそう言った。
魔王を信じるのも微妙な話だけど、ただ嘘を言っているようでは無かった。
安全を確認してから、キャンプを張る。
ウラノスの中からでは地上を警戒をする事も出来ないので、乗組員の休憩所兼見張り所という感じだ。
アイとドーラのメイド達と、マイニャとマリエルはここでお留守番だ。
流石に戦闘向きじゃないので、ここで乗組員と一緒にいてもらう。
メイアとガントは連れて行く。
おもに倒した魔物の素材や魔石を回収してもらう為だ。
上位の素材が集まればこの先もっと装備を良く出来るので、そのまま捨てていくのは勿体ない。
なので全て回収しながら進む予定だ。
早速パーティーを組んでいく。
まずは、露払いをする前衛パーティー。
カイト、アイナ、ミラ、ザイン、ダン、そしてリン。
さらに魔獣部隊として、カルマ、ニケ、ヘカティア、ディアナ、クロがつく。
今回の主戦力だ。
クロはリンを乗せて、縦横無尽に飛び回り、カイトも相棒のグランに乗って戦う予定だ。
次に治療、回収、補給、支援を主に行うの中衛パーティー。
俺、アリア、ガント、メイアとピューイ、フィア、ゲンブ。
ポーションの補充をしたり、怪我人が出たら治療をしながら進む。
今回俺は、支援に回る。
次は殿を担うパーティーだ。
セツナ、レーナ、アーヤ、ショウタ、ユウマ、ダイキ、それとセツナの相棒としてセリオン。
レーナはブラックジャガーに、アーヤはプラチナライガーに乗り、他の三人は、カルマが召喚したナイトメアに乗っている。
後方で湧いた魔物を撃退や、中衛パーティーを襲ってきた魔物を撃退する役割も持つ。
なおクロノスは自由に動きまわり、主に遊撃して回るらしい。
魔王は心配するだけ無駄なので、気にしない事にした。
準備が出来たので、早速ダンジョンに入る事になった。
通常のダンジョンは入口に扉などないのだが、ここは他と何から何まで違うようだ。
ご丁寧に入口は大きな扉で封鎖されており、普通に開こうとしてもビクともしない。
どうやら開けて中に入る為には、何かをしないといけないようだ。
「扉の真ん中に丸い魔法陣が彫られているにゃ。そこに星の羅針盤を翳すと扉が開くんだにゃ」
「しっかし、なぜこんなに厳重なんだここ?」
「それは…、中で生まれた魔物が外にあふれ出したら大変な事になるからだろうにゃ」
一体、どれだけの魔物がいるんだろうか。
悪そうな笑顔でそんな事を言われ、俺はぞっとするのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます