第149話 決着!
霧散していたイドラが俺の体に集まってくる。
瞳が金色に輝き、体の底から力が沸き上がってくる。
すぐに〈
流石にまだ1体しか出せないが、それで十分だ。
〈
ニンジャのお株を奪われた状態だが、逆に自分自身がやられたことが無いために反応がかなり後手に回っているようだった。
相手が慣れてしまうまでが勝負だ。
ここで一気に畳みかける。
「「〈魔導の極意〉スキル発動、いくぞ。すべての生命の時を止めよ!…アブソリュートゼロ! …神の雷で撃ち落とせ…トロトニス! …打ち砕け…シューティングスター!」」
〈連続魔法〉も同時発動して、高位の氷魔法、雷魔法、星魔法を
「な、なんだそれっ!?」
分身しているニンジャが同時に驚いている姿は、かなり面白いが笑ってる場合じゃないな。
間髪入れずに追撃した。
「〈
魔法が着弾する瞬間を狙って裏をかく。
後に出現すると同時に〈
一人目ハズレ!…二人目もハズレ!…本体はどれだ?!
「くっそ!分身が消されていくっ!次出すまでクールタイムが足りないぞっ!グラムっ!!」
グラムに助けを求めるもグラムにも余裕はないようだった。
「格下のテイマーに本職が押し負けてんじゃねぇっ!なんとかしろっ!」
装備がボロボロになったグラムが吠える。
体力はポーションでなんとかしているが、装備を交換している暇はない。
ふと、グラムはLBOの時に参加した魔王戦を思い出していた。
まだそこまで成長していなかったクランメンバーを連れて突撃した時、自分以外はあっさり倒されてリタイヤした。
その後は、自分自身がやられるまでずっとタイマンしていたのだ。
ゲームだというのに、生きた心地がしなかったのを覚えている。
そして今目の前にいる女神の様な容姿をした魔獣だったものから、同じくらいのプレッシャーを感じていた。
──反則だろこんなペット!
というのがグラムの本音だった。
グラムはボロボロにされているのに相手は全くの無傷。
このままでは、主人であるユートを倒す前に自分がやられてしまう。
そう考えグラムはかなりの焦りを感じていた。
「冗談じゃねえぜ、こんなところで負けてられっかよ!」
グラムはお気に入りの大斧を、スキルを使ってニケ目掛けて投げ放った。
「いっけぇっ!〈スカイドライブ〉!」
投げた大斧が高速回転し、黒い稲妻を纏ってニケに襲い掛かる。
「こんなモノで私に傷つけれるとでも思っているのですか?」
だが、呆気なくニケの魔力障壁に弾き返されてしまう。
しかし、彼の狙いはそこじゃなかった。
「ここで切り札使うとは思わなかったがしょうがねぇ!〈神殺し〉発動!」
いつのまにか持ち替えた両手剣を掲げてスキルを発動するグラム。
その剣に黒いオーラが纏わりついているのが見えた。
「このスキルはかなりのSP消費し続けるから使いたくないが、死んだら元も子もないからな!さあ、いくぞっ!!」
グラムは空中を蹴ってニケに切りかかった。
その剣は赤い危険なオーラを纏っているのが見えた。
「わざわざそれを受ける程、愚かではないですよ?散りなさい…〈ミラージュエクリプス〉!!」
危険を察知したニケは迷わず自身の最強固有魔法を撃ち放つ!
グラムは七色の光に包まれ電磁波のような細かい雷に覆われる。
その光の中で七色の雷に焼かれようとしていた。
しかし、それに臆することなくグラムは体が焼かれているにも構わずそのまま切り込んだ。
なんと、発動している魔法をその剣で切り裂いた。
「魔法を剣で切り裂くことが!?…ぐうっっ!!」
さらに、その剣でニケの脇腹を切り裂く!
しかしそこでグラムも再び魔法に包まれてしまい、全身を七色の雷に焼かれて黒焦げになる。
ほぼ相打ちとなった二人は、どさっと地面に落ちるのだった。
「5人目っ!これで終わりだ!〈
「くそっ、全部やられたか!…だが俺にただのパンチなんて舐めてるのか!?
──ごはぁっ!!?」
武器での攻撃でなかった事に油断したニンジャは、そのまま受けて弾こうとした。
しかし、その考えは甘いな。
俺の拳は相手の防御をあっさりと突き破り、直撃した右脇腹を吹き飛ばした。
それが致命傷になったニンジャは、その場で倒れて気を失ったようだ。
「おおし、これで終わりだな。ニケの方は…!?ニケっ!!」
俺がそちらを見ると、丁度相打ちになったように落ちてきたニケ見えた。
まさか、ニケが落とされた?!
ニケ自身回復魔法が使えるのだが、俺はそれも忘れてすぐに傍まで
「〈上級生物治療〉発動!」
すぐに『
みるみる傷口が塞がっていくのが分かった。
「はぁ、焦ったよ。まさかニケに深手を負わせれるとは腐ってもSSランク冒険者か。さすがに強かったか」
「そうですね、思っていたよりも強かったようです。申し訳ございませんご主人様、お手を煩わせてしましました。あちらは大丈夫ですか?」
「ああ、もう終わったよ。あのまま放っておくと死んじゃうから、彼も治療してあげないとだなぁ」
敵の治療をするのは気が進まないが、同じLBO出身者を殺してしまうのはもっと気が引ける。
グラムも瀕死のようだし、とりあえず拘束だけして治療をしよう。
そう思い、ニケの治療が終わった後に彼らの方へ近づいていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます