第56話 招かれる者
『お帰りなさい、ご主人様。さあ、こちらへ…』
何か聞こえた気がする…。
いや、今は気にしてる場合じゃない。
屋敷を買おうとしたら、イキナリおばけ退治をする羽目になったわけだが。
取り敢えず中も見てみよう。
「い、行くんですか?」
「もちろんだよ。見ないと中が分からんだろう?」
そう言うと中庭をずんずんと、進んでいく。
あちこちから視線が飛んでくるんで、
いるわいるわ。
中庭だけで数十体のレイスを発見。
これを倒すと、一体どうなるんだろう?
よし、試してみるか。
「アークホーリーレイ!」
頭上から辺りにいるレイス達を光が貫いていく。
一瞬にして消滅するレイス達。
だが次の瞬間、その光景に戦慄する。
なんとレイス達がすぐさま復活したのだ。
これは本体が別の場所にあるパターンか。
「はぁー、ステータス見せて頂いたから知ってはいましたけど、本当に神聖魔法も使えるんですね。すごいなぁ」
と見ていたミルバは感心していた。
「感心している場合じゃないぞ。まぁ、『
本当にアストラに来るまで使ってないに等しかったが、こっちに来てからは大活躍だ。
ん?
てことは、こいつらを支配して本体を探れるか?
「ちょっと下がっててくれな。『
まずは会話を試みる。
こいつ等が何を求めてるのか分かれば、対処出来るかも知れない。
「おー、来た来た」
「ひぃっ!」
広場にぞろぞろとレイス化した使用人達が集まってくる。
その光景を見て、ミルバは今にも失神しそうだ。
殆どが意思がないかの様に呻いているだけだが、数体が話しかけてきた。
『私達の声が聞こえるのですか?もしや、領主様ですか?』
「いいや、違う。君たちの主はもう亡くなったよ。俺は新しくここに住もうと思って来たんだ。だからお前達にも協力してもらうぞ。…俺に従え!〈死霊支配〉!」
そこでさらに、死霊系を一時的に支配するスキルを発動。
『…はい、仰せのままに主様』
おし、うまくいったな。
この中でも意思がハッキリした奴だけ支配した。
「あの、ユートさん、一体何を…?」
「浄化出来ないなら、こいつらを操ってる親玉を教えてもらえばいい。さて、ここの1番偉いやつはどこだ?」
『執事長と、メイド長の二人です。彼らはロビーで貴方様をお待ちしております』
どうやら俺を待っているらしいな。
それなら早速会って話をしてみよう。
「ミルバはここに残るか?危険が無いとは言えないぞ?」
俺は一応武器だけは常に所持しているが、いつもの防具を装備していないので防御力が紙だ。
本気で襲われたときに庇いきれるか分からない。
「い、行きます!お仕事ですし…こ、ここで待ってる方が怖いです!!」
うん、相変わらず正直な子だ。
でも仕事根性は称賛に値するな。
「気休めだけど…ホーリーベール!」
弱い精神攻撃ならこれで防ぐことが出来る。
天使の塔のハニエルが使うような、強力な精神異常スキルは防げないが、ここらのレイスのランクを見る限り大丈夫だろう。
早速支配したレイス達を先頭に案内させる。
さっき迄は単なるよくいるレイスの姿だったのに、いつのまにかメイドを着た姿になっている。
足がなくてその先がひょろろっとしっぽみたいになってるようなコミカルな姿では無く、ちゃんと足先まであるがモノクロで半透明な姿だ。
『執事長ゼフ様、メイド長メイア様、新しい御主人様をお連れしました』
洋館の扉を開けて中に入り、居るであろう二人に声を掛けた。
すると、部屋の中央に人魂が集まってきた。
いくつもの人魂が集まってきて段々と人の形になっていく。
暫くすると、執事服を着た老人とメイド服を着た女性が立っていた。
『お帰りなさいませ、旦那様』
そう言って、二人は恭しくお辞儀をした。
どう見ても人間では無いので、
ついでに
霊鬼ゼフ 種族:霊鬼 ランクA HP:800/800
[元人間。今は、死霊より進化せし幽鬼。実態を持たないが類稀なる力をもつ霊体。]
霊姫メイア 種族:霊鬼 ランクA HP:800/800
[元人間。今は、死霊より進化せし幽鬼の姫。実態を持たないが類稀なる力をもつ霊体。]
うん、普通に強い魔物になってるぞ。
しかもそこらの冒険者よりも遥かに強い。
つか、リンとシュウより強い幽霊ってなんなんだ!
「ミルバ、あいつらかなりヤバい。絶対に離れるなよ?」
「は、はひ。見られているだけで、ちょっと気を失いそうですぅ」
「が、がんばれ!ここで気を失ったら、ミルバもあいつらの仲間入りだからな!?」
顔面蒼白になりながら必死に耐えてるミルバを激励する。
『そちらのお嬢様はお客様で?でしたら、
そう言うとメイアは、一瞬でミルバを捕まえて奥の部屋へ連れて行ってしまった。
あ、やっちまったかも。
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