第15話 現地人と救出作戦会議
二人の名前は、リーダーがライ、女性がサナティと言うらしい。
二人共に浅黒い肌と黒髪の若者だ。
女性の方はロングストレートで美人だな。
ガントが見惚れてるので、肘打ちしといた。
「俺はユート、見ての通りテイマーだ。こっちは、鍛冶屋のガントだ」
「宜しくお願いします。さっそく、向かいましょう。急がないと!」
走り出しそうなので、ストップを掛ける。
「まずは情報を正確に把握したい。無闇に突っ込んでも二の舞になりかねないだろう?」
焦る顔を崩さないライだったが、確かにと逸る気持ちを抑えて説明をした。
「まず、取り残されたのは"シュウ"という戦士の少年と、"リン"という剣士の少女です。二人は、先日サニアに現れてギルドに登録したばかりですが、ステータス魔法による判断でBランク判定を受けました。ちなみに、われらチームメンバーは全員Cランク冒険者です」
なるほど、既にクエスト対象を討伐済でクエスト受ける必要が無かったんだな。
しかし、Bランクか。
この世界の一般冒険者から見てかなり強い。
…しかも、それが二人も。
プレイヤーかもと思っていたが、これはほぼ当りだろうな。
「それで?」
「はい、今回の討伐クエストはシュウから持ち掛けられたんです。割のいい依頼があるから、一緒にいかないかと。それで、依頼書を見たらBランクを数体倒すものだったので、危険だと言ったんですが、何度も倒したことあるから平気だと」
「で、それを真に受けたのか?」
訝しげにライを見て言うと、ぶんぶんと顔を横に振る。
「まさかですよ。でも、討伐対象の素材を見せられて、嘘とも言えず。なので下層で実力を見せてもらって、問題が無さそうならそのまま討伐に行こうという話になったんです」
「なるほどなぁ。で、下層では圧倒的だったと?」
「はい、それは凄いもんでしたよ。二人だけで全部やっつけてしまうんですから。ですが…」
ほう、その二人だけでもライ達よりも強いのか。
「あ、ちなみに討伐対象はなんだ?」
「あぁ、そうでしたね。相手はBランク魔獣の”ヘルキャット”を10体です」
ヘルキャットか。群れの連携と基礎ステータスが高めで速さがある厄介な敵だ。
俺もランクが低かった時は、テイムする時に何度も失敗して死んだ経験がある。
───まぁ、今の俺なら余裕なんだが。
ちなみに、ニケとカルマなら餌にしか見えないだろう程度だ。
「なるほど。で、トラップはヘルキャットの巣か?」
「はい、まさかおびき寄せるとは思っても居なくて、気がついた時には二人が飛び込んだ後だったので」
子供が大人より力を持ってはしゃいじゃった典型的なパターンだな。
「数は、どのくらい居た?」
「混乱してたので正確には分かりませんが、大小含めて30体はいたかと」
うへー、それはちょっと面倒くさいな。
範囲魔法使えればいいけど、二人も黒焦げにしてしまう。
かといって、一匹づつじゃ埒が明かない。
塔なら、ニケも入り込めるし、カルマもいる。
戦力は問題無いが、どうやるかだな。
「カルマ、二人を巻き込まないで一掃する方法あるか?」
カルマは、少し考えて。
「主よ、少年少女を先に助けるだけなら、我とニケで正面からいっても平気だぞ」
まじか、お前らどんだけだよ。育てた親の顔がみたいわー。あ、俺だ。
そういや、ニケと名前で言ってる!
「お前ら、仲良くなったの?」
「まさか。ですが、この間全力でぶつかってみて、互角だったからな。力は認めておるのだ」
まず、ランクが下だったお前が互角って時点で凄いよ…
「よし。それならささっと突っ込んでもいいか」
「え、本当に大丈夫なんですか?!」
ライとサナティが不安そうに見てくる。
「大丈夫だろ。こう見えて俺とこの子らのランクは、Sランクだからな!」
へ?とポカーンと口を開けてた。
なにその面白い顔。
「じょ、冗談ですよね?Sランクなんて、王都の伝説級冒険者と一緒ですよ?!」
「あ、そなの?ま、嘘か本当かは見てればわかるよ。じゃ、ニケこいつら抱えてあの塔まで行ってくれ!」
言うと、ニケはその逞しい前足で直ぐにガシィッと二人を掴んだ。
慌ててガントが背中に飛び乗ると、すぐに飛び発った。
「カルマ、俺らもいくぞ!」
「承知!」
俺らも追いかける形で、駆け出し塔へ向かった。
遠くから悲鳴が聞こえる…気がする。
うん、もう聞こえなくなったからキニシナイ。
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