第14話 現地人との遭遇
───この世界は、”アストラ”というらしい。
カルマが言ってた通り、光の神と闇の神の双子の神が創ったとされて、その子孫たる人族と魔族が覇権を巡り争い合っているということだった。
幾年もの戦争ののち、大地は五つに分けられ、それぞれに名前がついた。
北の大陸”ノーセリア”
東の大陸”イーガス”
西の大陸”ウルガイア”
南の大陸”サウサリス”
中央の大陸”ウルステラ”
それぞれの大地は、大きな川や海で隔たれており、歩いて渡るとかは無理なようだ。
その形はLBOと同じなので、すんなり頭に入った。
LBOのときは、各大陸からポータルと言われる魔法陣で繋がってて、利用料払えば渡ることが出来たのだがあるだろうか?
そのうち、行って確かめよう。
いや、町で情報を聞けるかもしれないな。
今、いる大陸は西の”ウルガイア”。
パドはその中でも最果ての村なので最西端と言える。
さらに西側は、鉱山があった険しい山々が連なっているので、世界の果ては見えない事になっている。(LBOの時も、制限が掛かってて抜けれなかった。これも、いつかチャレンジしよう。)
いま向かっているのは、北だ。
現在地は大陸のやや南側にあたるので、サニアの町はここからだと北東にある。
そこからさらに抜けて北東へ行くと、ウルガイアの王都がある。
現在、中央大陸、北大陸、東大陸は魔族の支配地なので、かなり危険だ。
また、王都より東側は侵略をしかけてくる魔族もいるらしい。
戦争には興味無いが巻き込まれないようにしないとな。
カルマで爆走しているので、あと2時間もすればま到着するだろう。
村から町まで300キロくらいなので、時速80キロ以上出している計算だ。
普通の馬車なら休憩とかこまめに取らなければならず、おおよそ5日はかかる距離を3時間程度で移動出来るのだ。
これもテイマーの特権と言っても過言じゃない。
飛竜は、ドラゴンライダー以外の戦士は乗りこなせないし、ペガサスナイトとかも一緒だ。
…そしてだ、それらを捕まえて来るのはやっぱりテイマーなのだ。
馬以外の騎乗生物は、そこらでは買えないのだ。
移動して2時間くらいになった頃、一度休憩をとろうと言うことになった。
急いではいないし、無理はさせたくない。
カルマとニケに干し肉を食べさせて(肉はダイアウルフ製)、自分達も水分補給する。
丁度、昼になったらしく太陽が真上に出ていた。
酒場で買ってきた弁当二人分を取り出し、一人分をガントに渡した。
「ほら、昼飯だ。食べれるうちに食べておこう」
「おー、気が利くなぁ、さすがユート!」
さっそく弁当を開けて、うまそー!とか言いながら食べだした。
俺も折角なので、ニケとカルマに水を飲ませながら弁当を食べる事にした。
中身は、ベーコントマトサンドと、鶏肉の蒸し焼きみたいなのが入ってた。
いつか、料理スキル持ちを仲間にしたら、美味しい物食べれていいな、とかぼやっと考えながら食べてた。
食べ終わって、そろそろ出発しようとしたところに、遠くから何かがこちらに近づいてくる。
あっちは、なんかの塔があるって地図に描いてあったな。
用事がないので、スルーしていく予定だか…
人影は段々近付いて来た。
…なんか遠目から見てもボロボロだ。
なんか嫌な予感がする。
「主、仕留めますか?」
さらっと、怖い事を提案してくるカルマ。
「まぁまて、あれは食べても美味しく無いぞ?」
「そう言う問題じゃないだろ…」
ガントが呆れた顔でこっちを見てくる。
「はは、冗談だよ。ちょっと、いやかなーり、面倒くさそうだなと思っただけだ」
呆れ顔が、ジト目に変わってた。
そうこうしているうちに、ボロボロの一団が話しかけてきた。
「あなた方は、冒険者か?見た所かなり上位の魔獣を連れているみたいだが」
リーダーらしき、男がカルマとニケを見て質問してきた。
「あぁ、そうだよ。これから町に行くところさ。俺らに何か用かい?」
あからさまに、関わりたくない雰囲気を出してみるが効果は無さそうだな。
「た、頼みがある!急ぎなんだ!」
「断る!」
「おおぃ!?いや、まだ内容も言ってないのに断るなよ…」
ガントがツッコミを入れてきた。いい反応だな!
「でも、どう考えても禄な事じゃないだろ?」
「き、聞いてください!私達は、ギルドの依頼を受けた冒険者なのですが、魔物討伐であの塔に行っていたのです。そこで、先行してしまったまだ幼い冒険者がトラップに掛かってしまい、魔物達に囲まれてしまったのです!」
幼い?こっちの冒険者は、低年齢でも登録出来るのか?
疑問に思いつつ、続きを聞いた。
「それで?」
「はい、私達は二分されたので、慌てて魔物を倒して合流しようとしたんですが、数が多すぎて、我らでは太刀打ち出来ずに…」
「置いて逃げてきたと?」
リーダーの男は、クッと言いながら、苦虫を潰したような顔になった。
…図星か。
しかし、そこまで無責任なやつには見えないな。
「先行した彼等は、我々よりも実力が高く、問題ないからと先行を任してたのです。実際に、それまでは本当に問題ありませんでした。なので、あんな事になるとは…」
「ふーん、それで?その子達はどんな状態なんだ?」
ユートがそう聞くと、もしや助けてくれるのか?と期待を込めながら見てきたので、いいから続けろと促した。
「はい、彼等は我らを逃がすために、魔物たちを引き付けてくれてます。大丈夫だから先にいけと言われて我々は助けを呼ぶ為に離脱しました。彼らは見た時は、まだ怪我を追うほどでは無かったですが、あのままでは…」
「いずれ力尽きるか…うん、分かった」
ガントが、おや?という顔をしてる。意外だなーとか言ってるが失礼な奴だな。
聖人君子ではないが、一人の子供の親だった記憶があるのだ、幼い冒険者が命の危険があると言われてほっとく訳にはいかない。
それに、幼い冒険者が彼等より強いという事実に引っ掛る。それが嘘で無ければの話だが。
こういう時は、先生の出番だ。
お願いカルマ先生!
「その話が本当なら手伝ってやるよ」
「そんな、嘘なんて言いませんよ!」
「…カルマ、どうだ?」
そこで、じっと冒険者達を見てたカルマに審議を問う。
「…ふむ、今のところ嘘を言っていないようだな。嘘をついていたなら、命は有りませんでしたがね」
大丈夫なようだな。…後半怖い事を言っていたが、同意見なので頷いておく。
「なっ、ま、魔獣が喋った!?」
なんか、別なとこに驚いているが、そこはスルーだな。
「よし、決まりだ。手伝うよ。全員は邪魔だな。案内役は、お前とお前だけでいいよ。あとは、町に戻って待ってな」
リーダーらしき男と、回復職らしい女性を指名する。二人を連れて俺たちは救助に向かうのだった。
「リーダー、あの二人を頼んだよ!俺らは帰ってギルドに報告しに行く!」
「ああ、頼んだぞ!」
そこで、二人以外は町の方へ行進していった。
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