第12話 仲間になる
素材集めから、3日が経った。
その間に、自分のスキル上げのために近くの森に行ってテイムスキル試したり、小竜のスキル上げのために山に行ったりとしたが、他のプレイヤーに会うことは無かった。
やはり、この地区には俺とガントくらいしかいないようだな。
今日は約束の日、ガントもあとは仕上げだけですぜ!とか言ってたので、午後には完成するだろう。
ついでに、武器の手入れもしてもらってる。
そして、追加で注文したクロスボウも出来てるはずだ。久々に使うので少しわくわくする。
丈夫そうな木材が必要と言うから、樹齢1000年くらいの木をニケの風魔法で伐採して渡してある。
「この素材は!?
すげーもん持ってきたなぁ。相変わらず、あんた達は…」
と、ガントが遠い目になってたけど、何のことだか分からんな。
兎に角だ。装備が新調されるのは、これほど冒険者として心躍ることはない。
一体どんなのが出来てるかなー?
いっそ、仕上げるとこ見に行くか?
いやいや、邪魔になるだけだろう。
と、年甲斐もなくソワソワしていると…
「ユート!出来たぞ!見に来てくれ!」
と、ガントが呼びに来た。
まってましたー!
ちなみにガントはAランク鍛冶屋で、見た目よりもかなりの腕前のようだ。なんと、アダマンタイトという、オリハルコンよりも硬い素材も扱った事もあるらしい。
金属鎧とは無縁なので、金属の種類とか言われても俺は詳しくなかったので、へーっという感想しか出せなくて、ガントからは、
「おい!出た感想それだけ?!もっとないのかよっ!」
と、言われたくらいだ。知らないものは、知らないし。
だが、これから自分の装備になるものとなると興味の度合いは違う。
いったい、どんな風になったかな。そう考えているうちに鍛冶屋に着いた。
正面から入ろうとしたら、そっちじゃないと裏手に回された。裏側から工房に入れるらしい。入ったら、正面に飾ってある革鎧が見えた。
目に入った瞬間、俺は見惚れた。
派手な装飾などなく、しっかり
「ガント、これが?」
分かっているが、聞かずにはいられない。
「ああ、そうさ。渾身の作だよ。鑑定でも
胸を張り、自信アリげに言うガントを見て、今日ばかりは誇らしいと感じた。やっぱり、職人の魅力は腕で決まる。
「よし。早速装備しよう。手伝ってくれ」
ガントに今着てる鎧を外して渡してから、新しい鎧を付けて貰った。
新品の心地よい匂いがする。この革の匂いは好きだ。
着てみると予想よりも軽いし、とても動きやすかった。これなら、今のステータスで全力で動いても突っ掛かる事は無さそうだな。
「そうそう、キマイラの革のお陰で炎耐性と毒耐性が付いたぜ。あとは、…なんでか闇属性耐性が付いたぜ」
ガントの説明で、カルマの事が浮かんだが、スルーした。気にしたら負けだ。
「どうだい、着た感想は」
問題ないかを前後左右確認しながら、ガントが尋ねてきた。
俺は屈伸したり、腕を伸び縮みさせてみる。
「ああ、最高だよ。文句のつけようが無い」
「そうか、なら良かった!ついでにいうと、前の鎧よりも防御力もあがったぜ」
「そうか、それはいいな。あ、頼んでいたクロスボウはどうだ?」
頼んでいた、クロスボウについて聞いておく。
「いやー、さすがに専門じゃないから、こっちはまだまだだな。ほらよ」
ひょいと投げてよこしてきたので、わたわたしつつキャッチした。
…言う割には、しっかりとした作りだな。店売り品とは明らかに違うのが分かった。
これでもまだまだと言うから、職人魂というのは半端ないね。
まぁ、俺もテイマー魂なら誰にも負ける気はしないがな!
「こいつには、採ってきて貰った霊樹を土台にだけ使っている。というか、扱いが難し過ぎて細かい細工が出来なかったぜ」
確かに、土台部分だけ色味の違う木が使われている。だが、これだけでもかなりの衝撃を吸収してくれそうだ。
「その代わりといっちゃ何だか、仕掛け部分にはミスリルを使った。鎧の金具と一緒だよ。軽いし、丈夫だからな」
なんとも、贅沢なボーガンだ。ちなみに矢の方は消耗品なので、普通の鉄という事だった。
但しガントが精製してるので、鋼になっている。
「助かったよ、ガント。これで町に向かえる。これは約束の報酬だ。受け取ってくれ」
そう言って、金貨5枚を渡した。
「うお、こんなにくれるのか?
材料も用意してもらった様なもんなのに、ありがてぇ!」
喜んで貰えて良かった。俺と違ってそんなに戦闘出来ないガントは、何かと入り用だろうしな。少しは余裕出来るといいなと思った。
「これから、町に向かうのか?」
「ああ、そのつもりだ。早いこと行かないとな」
「なぁ、ユート。…俺も連れて行ってくれないか?な、頼む!」
「はぁ?何言ってんだ?」
俺は、きょとんとしながら言葉を返した。
「えっ。…だ、駄目か?」
「いや、駄目も何も、連れて行くに決まってるだろ?逆に来ないとか抜かしたら、引き摺っていくとこだよ」
「うへ、そうかっ!…ありがとう、ありがとうな!」
変なとこで気を遣うやつだな。
こうして、ガントが正式に俺の仲間になったのだった。
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