第4話 従魔たちは何処へ?②
辺りが広がった光の嵐が徐々に薄まっていく。
どうだ?
結構ダメージいったと思うが…
「ぐっ、がはっ。さすがだな…。あのときよりも、かなり魔力が上がっている。だが、まだ終わりではない!」
光の奥から、カルマが無詠唱で魔法を放つ。
出現した魔方陣から無数の眷属と、赤黒い禍々しい槍状の闇高位魔法エビルジャベリンが飛んでくる。
コウモリの形をした眷属たちは、その翼に魔力を纏わせカッターのようにして切り込んでくる。それを両手の剣でいなすが、その隙を着くように
また、頭上からもエビルジャベリンが無数降り注いだ。
咄嗟に回避するが、間に合わずに数発食らってしまった。
ズザッズザズザッ、ダンダンダンダン!
―――がぁっ、いってええっ!!
痛覚がやばいくらいリアルになってる。つか、もうこれゲームじゃなくね?
飛びそうな意識をなんとか繋ぎ止めて、残りをギリギリでかわした。ヤバい、これは手を止めたら死ぬな。すかさず土魔法で壁を作り、視界をブロックし、死角から出が早い光魔法のライトジャベリンを撃ち込んでいく。
ガンガンガンと、数発命中させ、カルマのHPをガリガリ削っていく。カルマが怯んだところで、飛び込んで双剣でザクザクっと斬り込んでを繰り返した。
〈黒炎〉と闇魔法を何度か食らい、残ったHPは600を切った。
さらに…
「主よ!これで決着だ!我の最大魔法を受けてみせよ!」
カルマの回りにいくつものかなりの大きさの魔方陣が広がっていく。間違いなく撃ってくるのは、カルマの最大攻撃魔法の闇属性上位魔法ダークネスバーストだ。広範囲に大きな魔方陣が浮かび上がると同時に、高圧縮された黒い球状が現れた。次の瞬間、込められた魔力が一瞬で膨張し、辺りを闇の波動で吹き飛ばした。
黒い暴風があたりに巻き起こり、少なくないダメージが自分を襲ってきた。しかし、発動までのタイムラグを活かし、こちらも自分の最大武器を用意していた。
「うおおりょあぁ!!これでどうだっ!スキル[調伏の波動]」
テイマースキルで相手の残りHPを確認しつつ、タイミングを見計らっていたが、…その時が来た。
自分の最大最高スキルは、やはり
さっきの光魔法で衰弱マークがついたカルマに、調教スキルを発動させた。
うおぉぉ!頼む効いてくれっー!
そう祈りつつ放った光のエフェクトがカルマを包み込んだ。
スキルが成功すれば、大人しくなるはずだ。
「…こ、この力は…、懐かしき感覚。あぁ、やっと絆の回路が修復される…」
光が収まると、さっきまでと違いカルマが大人しくなっていた。
自分の残りのHPを見ると、200を切っている。
やべー、かなりギリだったと冷や汗を掻いた。
ふと回りを見渡すと、カルマと俺の魔法で小さなクレーターが数個出来てた。
自然破壊もいいとこだな。
…うん、誰も見てないからOKだよな!
辺りを彷徨っていた眷属も消えていた。
カルマがこちらに近づいてきて、足元に頭を下げた。
「主よ、再び我が忠義を捧げることを御許し下さい。我の主が再び貴方になったこと嬉しく思います」
…えーと、さっきまでのお前はどこ行った?
まぁ、お互い無事ならいい。
いや、無事とは言えないけど。
取り敢えず、気になってた事を聞いてみる。
「しかし、なんでまた決闘なんか挑んできたんだ?というか、再調教出来たということは、俺との契約が切れていたのか?」
「うむ、
厩舎の主人の話を思い出しつつ、カルマに聞いてみる。
「それって、昨日の朝のことか?」
カルマは、首を横に振りながら答えた。
「いや、我の体感では数日前だな」
数日前?と言うことは、こっちに来るまで数日経過してるのか。
「我らが意識を取り戻すと、クリスタルから解放された。その時に我や火の鳥、黒狼、白犬、子竜の絆が消えていき、正気を失いあの場で暴れたようだ。数時間ほどして、意識を取り戻した時には、他の冒険者が我らを排除しにやってきたので、ここまで退散してきたのだ」
他の冒険者がいるのか。
なら、他のプレイヤーもいそうだな…。
よし、あとで町を探してみよう。
「俺にここに呼び寄せたのはなんでだ?
そのまま、逃げ去っても良さそうだが」
そう、わざわざここで待たなくても、どっかで縄張り作っても良さそうだが。
「何をいうか主よ。我は、貴方にもう一度使役していただく為に待っていたのだ」
「え、じゃぁ、戦わなくても良かったんじゃない?」
「いいや、そうはいかないのだ。
クエストと同じ条件でしか我には調教スキルが成功しないようになっているので無理なのだよ」
うげっ、まじか。
そういうとこは、前のままなのかよっ!
なのにダメージ食らうと、ゲームと違って超痛いし。
ん?てか、クエストって言った?
なんでクエストとか理解出来るんだ?
「カルマは、クエストの事を知っているのか?」
「?…もちろんだが」
当然だという顔で答えた。そして、衝撃的な事を言い出した。
「なぜならば、我はあの世界のカルマであると同時に、この世界のカルマでもあるからだ」
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