第3話 従魔たちは何処へ?①

 馬の悪魔のナイトメアに付けた名前は、カルマ。悪魔だったからって理由で付けた。本人は気に入ってたようで、名付けたら親密度が上がってステータスボーナスがついたのだ。


 なんか本当に喋れるようになったみたいだし、見つけたら色々話しをしてみたいな。探し始める前に村で宝石と素材売って、資金を作らないとだね。


 さっき、ストレージ確認したけど、お金は無かった。その代わり、素材とか宝石とかは残ってたのでなんとかなるか。回復アイテムは、カーゴタートルのゲンブとフレイムキャットのフィアに使ったのでもう手持ちがない。

 村でも回復ポーションくらいはあるはずだ。


「すいませーん、従魔用ポーションありますか?」


 ここは、魔法雑貨屋。

 ここに来る前に素材屋に素材と宝石を売って資金を作った俺は、この世界の共通通貨で金貨二枚、銀貨5枚、銅貨100枚を手に入れた。


 ちなみに、金貨一枚で銀貨10枚、銀貨1枚で銅貨100枚の価値がある。村の食堂で、1食が銅貨5枚なので、銅貨一枚で100円くらいな感覚かな。

 ちなみに、金貨百枚で小さな家が建てれる。


 宝石だけで金貨二枚だったので、宝石様様だね!

 この村は冒険者が良く来るらしく、比較的お金があるみたいだ。そのおかげで、すぐ換金出来たのも運が良かった。


「あー、さっきの冒険者だね。あんた、テイマーなんだってね。ここらじゃ珍しいねぇ。うちなら中級ポーションまでだよ。一瓶銀貨一枚だ」


 う、結構高い。


「じゃあ、10本くれ」


 金貨一枚を渡す。


「お、太っ腹だね。なら、おまけで低級ポーションを10本つけてやるよ。銀貨一枚相当だ」


 おお、有り難い。

 とりあえず、これでペットの回復はOKだな。


 ついでに自分用のポーションも買った。こちらの方が安く、中級ポーション10本で銀貨二枚だった。


「まいどありー!またご贔屓にね」


 準備を整えて、早速ナイトメアのカルマがいるであろう森に入った。

 ここは、ダイアグリズリーとかいう魔物の縄張りらしく、ランクはA推奨地区。

 それなりに強い魔物が出てくるはずだったが、小物が数匹襲ってくるくらいだった。


 もちろん、戦うのはニケだから楽勝だ。楽なのはいいが、ちょっと不気味だよな。

 しっかり素材を回収しながらも、慎重に奥に進む。


 森に入ってしばらくすると、噂の魔物が現れた。

 うぉ、でっかいなぁ。自分の倍くらいある。


 ぐおおおおおおおおっ!!と、唸りながら襲ってきた。俺はニケに前衛させて、後衛に下がって指示しながら魔法で援護する。


「ニケ、ライトニングブレス!」


 大きく開いた口から、眩いばかりの稲光を纏ったブレスを放ち出す。

 ニケこと、ファルコニアは、嵐の女神の眷属魔獣で、風と雷が得意な魔物だ。そのブレスの威力は絶大で、テイムする時にそれで何度殺されたか…。それだけに戦闘力は折り紙つきだ。


 あっさりと雷ブレスと大きな爪がある前足による直接攻撃で、森の主ダイアグリズリーを撃破した。


 まさに瞬殺。

 ランク的には当然だけど、前の世界と変わらない強さと分かり一安心だ。


 そのまま前衛させながら探索を続けていると、ちょうど森の中央くらいぽっかりと拓けた空間があった。


 そこには…うん、いたね。

 改めて見ると、ヤツは禍々しいことこの上ない。


 この世界のナイトメアは、悪魔がユニコーンを殺した後に取り憑いて、受肉して生まれ変わったアークデーモンという設定だ。


 ユニコーンの特性は失われているが、魔法と物理攻撃共に強力なうえ、物理ダメージ半減という反則的な特性を持っている。


 まともにやったら、まず死ねる。

 なので大抵は数人で戦うか従魔たちで壁を作るかなのだが、今回はクエストと一緒で…


「良く来たな主よ。最近その白い鳥にうつつを抜かし、府抜けてしまったようだな。…故に、我が直々に叩き直してくれよう!」


 グルオオオオオオ!と吠えて威嚇してきた。


 なぜか上から目線かつ、お怒りモード。

 最近構ってなかったから、ご立腹なのか?


「カルマ、今はそんなことしてる場合じゃないんだ。すぐに戻ってこい」


 一応、説得を試みる。

 だが、カルマは応じる気はないようだ。


「我を従えたければ、今一度、我を征服してみせよ!!」


 そう言うと、カルマは戦闘態勢になった。


 一度は倒してるとは言え、前は死にたい放題のゲームだったわけで。今は死んだらどうなるか、わかったもんじゃない。なので、かなり安全マージン取りながら戦わないといけないな。


 殺すだけなら、ニケをけしかければ可能だが、それでは意味がないだろう。

 …何より、手塩にかけたペットを殺すなんて、根っからのテイマーの俺が出来るはずがない。


 まずは補助魔法で自身を強化して、耐性アップとステータスアップする。Sランクになった俺は、かなりステータスが強化されている。


 中でも耐久と力が高く、ついで知性、魔力、速度の順となっている。その為HPはかなり多く、ランクMAXの1800あるのだ。


 たとえカルマが持つの最高位魔法を2~3発食らっても死ぬことはない。


 しかし、真正面から食らい続ければ負けるのは当然の道理だ。カルマも最大まで鍛えてるので、HPは1200くらいある。

 そうなると、あとは戦略勝負だ。


「いくぞ、カルマ!

 主人の威厳を見せてやる!」


 言うと同時に魔法を展開する。

 カルマの魔法は闇属性が殆どで、打ち消すには反対属性しかない。


「ライトバースト!」


 唱えるのと同時に魔方陣が現れた。カルマを中心に光が集まり、一気に膨れ上がる。激しい光属性の爆発がカルマをのみ込む。直撃をくらいカルマはたじろいだが、ニヤリと笑い、まだだと余裕をみせる。

 俺はその一瞬の隙をついて、カルマの懐に潜り込み、双剣で凪ぎ払った。


 グルオォォッ!とカルマが呻いたが気に留めないでさらにもう一度斬り付けた。


「ぬう、やるな主っ。だが、その程度ではっ!」


 くわっと目を見開いたあと、カルマの回りからどす黒いオーラが溢れだす。

 あれは確か、触れると継続ダメージ貰うナイトメア固有スキル〈黒炎〉だ。

 とっさに離れて回避したが、少し触れてしまった。じわじわと焼けた感覚が触れた場所から広がっていく。しくじった!


 うわっ、地味にダメージ食らうな。と、内心でぼやきつつ、それなら短期決戦だ。とありったけをぶちこむしかないと考えて再び魔法を繰り出す。


「ホーリープリズンフィールド!

 アークレイ! アークライトバースト!」


 高位の魔法スキル〈連続魔法〉を使い光呪縛魔法で動きを封じて、光高位魔法で畳み掛けた!


 光の檻がカルマを捕らえ、天から降り注ぐ強力な光の柱が撃ち抜き、トドメとばかりに中心に現れた光の珠が爆発したのだった。


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