第6話 従魔たちは何処へ?④
そんな事を考えていたら、いつの間にか丘の前までやって来ていた。
さて、探すかと辺りを見回すと、先に着いていたニケが何か咥えてる。
…えーと、シロだな。目を回してぐったりしている。
うん、ちょっと可愛そうだけど、手間が省けた。
レア魔獣とはいえ、Bランクの実力しかないホワイトファングでは、Sランク級のファルコニア相手だとライオンとウサギくらいの差がある。
間違いなく瞬殺だ。
気絶してるシロを叩き起こして(呼び掛けても起きないから、イラッとしたわけでなはい。違うったらちがう)、念のためポーションを振りかける。
たちまち元気になり、尻尾をブンブン振って顔をベロベロと舐められた。クールなクロと違ってシロは甘えん坊で愛嬌たっぷりだ。
これ以上鍛えても主力にはならないだろうが、本当の意味でのペットとして大事にしてきてたので、無事でなによりだ。
取り敢えず、これで回収出来そうな従魔は回収した。
フェニックスは縄張りである火山の方へ去って行ったらしいので、今行くのは準備が足りない。もう少し、装備とか整えないと無理だろう。
ひとまず、村に戻って厩舎に戻ってきた。
カルマを見たとき、かなりひきつった顔をしていたが、撫でられて大人しくしている姿を見て、安心していた。
フレイムキャットのフィアと、カーゴタートルのゲンブの治療は終わったみたいだった。ステータスの紋章で2匹の状態を確認したら、従属状態のままだったので、リテイムする必要は無さそうだった。
2匹とも、俺の姿を見てすり寄ってきてくれた。
うん、可愛いなぁ。
と、良く見ると、ゲンブの背中に一匹の子竜が乗っていた。
「あれ、こいつは…」
そうそうと、厩舎の主人が答えた。
「瀕死でもう駄目だとあのときは思っていたんですが、いつのまにかカーゴタートルの中で休んでたみたいでして、さっきひょこっと出てきたんです。ついでに、治療薬使ってやったら、この通り元気になりましたよ。あのポーションは、良く効きますねー!」
おー、やった。良かったよ。
この子竜も当然レアモンスターで、捕獲の条件厳しかったんだよね。
しかも、見た目が可愛い。
体長80cmくらいの幼いドラゴンで、種族は一応ウインドドラゴンらしい。
成体でも細長いドラゴンなので、ミニサイズ版な感じだ。
子竜の名前は、ピューイ。名前の由来は、そう鳴くからだ。
そこっ、センスないとか言わない。
ピューイは、瀕死になったせいなのか、従属が外れてた。なので、リテイムをした。
「よし、そのまま動くなよ?スキル〈魔獣調教Ⅳ〉!」
スキルを使ってすぐにピューイは、強い光に包まれた。現時点で最高まで上げてるスキルなので失敗は心配はしてなかったが、いざ使うと成功するまでドキドキする。
光が消えて、出てきたピューイは、ピューイ!っと鳴き首を擦り付けてきた。スキルは、成功だ!よし、ステータスも確認した。…うん、従属なってるな。
しかし、瀕死になっていたからか、ステータスが下がりランクもAからBに下がっていた。
もともと、この子もマスコットみたいなもんだし、取り敢えずそのうち鍛えることにするか。
一通り構ったあと、皆を厩舎に再び預け、自分も宿を取ることにした。気がついたら、とっくに日が落ちていた。宿で部屋を確保したので、飯を食べる為に食堂兼酒場にやって来た。村唯一なのもあり、かなり賑わっていた。
カウンター席に座り、酒と定食みたいなのを一つ頼んだ。
出てきた酒は、ビールみたいな飲み物。そんなに冷えてはいないが渇いた喉を潤すには充分だった。
程無くして食事も出てきたが、…これはウマイ!大きなソーセージみたいなのと、硬めパンが出てきた。
これがビールによく合った。
食事をして、味わえるという事実に、やっぱりココは現実であり異世界であると実感させられた。
これからどうなるか分からないが、まずは装備を整えて、町に向かおう。
そこで、また情報を集めないとだな。
カルマが色々と知ってるようだし、心配はいらんさとひとりごちてると、横から声を掛けてくる男がいた。
「なぁ、あんたももしかしてプレイヤーか?」
これが、自分以外のプレイヤーとの初遭遇となったのだった。
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