今日も何かあるかも?
ひとみと時間の許す限り愛し合い、2人して仲良く眠りについた。
俺の不安定な事もあった所為か、多少……相当なレベルでひとみに負担を掛けてしまったのではないかと思ったが、そんなことをいつまで言ってるようでは旦那としてはもっと気丈でいないといけないと思い直した。
奥様に『気丈にしてればいい』と言ってるなら自分も気丈でいなければならない。
それが、俺が言った"対等"だから。
翌日、目を覚ますと朝なのに何故か視界が真っ暗だった。
因みに、時間は午前8時。もう一度言おう、午前8時で午後の8時ではない。
それでは丸一日寝てることになってしまうのと、小鳥達が夜に鳴くことはないから。カラスは夜でも鳴くけどどう考えてもカラスの鳴き声ではない。
俺がおかしいことを言ってるように思われるが、実際にはひとみが俺を宣言通りに抱き枕にしているので、視界がひとみの服で遮られているだけの話……惚気ですね。
今日も当然ながらバイトなのでひとみを起こすことにした。
名残惜しいが仕方ない、奥様を軽く揺さぶりながら声を掛けることにした。
「ひとみ、起きれる?」
「あなた、おはよう。抱き枕にしちゃって苦しくなかった?」
「全然、寧ろ至福だったから今日も頑張れるよ。ありがとう」
「なら良かった、起きてご飯食べよ♪」
「ああ」
下に降りて、顔と髪の毛を一旦直すとお義母さんが朝ごはんの準備をしてくれていた。
にしても、母親って本当に偉いなって思えるのは朝の準備をしてから毎日色々やってるのを知ってるから。
だからか俺の方からこんな言葉が漏れた。
「お義母さん、朝食の準備ありがとうございます」
「そんな、母親の務めですから気にしないで」
「ふふ、こうやって不意に言うから私達はいつも驚かせてくれるの」
「一彦さんの周りの人達はドキドキもんでしょうね」
「みたいだよ♪」
朝から賑やか会話が展開されているところに玄関のドアが開くと全員がドアに目を向ける。
「ただいまー」
享君が夜勤仕事から帰ってきたようだが疲れた様子は無く、まだまだ元気な感じで。
「「「おかえり」」」
「一彦さん、姉ちゃんはこれから仕事?」
「ああ、そうだよ。仕事お疲れ様」
「ありがとうございます。2人とも頑張ってな」
「ありがとう、亨」
『おう』って気さくに言って2階に上がっていくのを見て、お義母さんが俺の目線を向けるとこう言ってきた。
「一彦さん、家族を救ってくれてありがとう」
「何もしてませんとは言えませんが、大したことはしてないです」
「私一人では何もできませんでした」
「お義母さん1人でひとみ・亨くん・かっちゃんを育て上げたんですから立派だと思います。俺は、母親を尊敬しているんです」
「一彦さん」
「あなた」
父親は大概は仕事に専念するのは大黒柱であるけど、それだけなのだ。
それ比べて母親というのは静子さんは社員として働きながら家事もしてるし、母さんもパートではあるが仕事をしていた。
今は色々あって専業主婦になったが、車があり、運転できるということもあってか綾子さんやおばあちゃんの為に動くこともしばしある。
それを踏まえると大変なのは母親の方であって、父親はある意味楽なポジション。
結局は、持たれ持ちつつの関係となる。
だが、ひとみの家庭は少し異なるから俺は静子さんを本当に尊敬をしている。
「多分、亨くんやかっちゃんから見たら俺は父親の代理みたいなものです。それで解決できることならいつでも受け付けますから」
ひとみだって、うちの方で色々とやってくれているのだから、旦那の俺がひとみの方に手を加えないのはおかしい。
途中、お義母さんに頭を下げられる場面もあり『頭を上げて下さい』って言う始末だった。朝から何とも濃い内容で、バイト先でも何かありそうな気がした。
歩いてバイト先に向かってる最中にひとみが俺にニコニコしながらこう言い放つ。
「今日のあなたは仕事でも何かありそうだね♪」
「その言い方だと、なにか企んでるようにしか聞こえないんだけど!?」
昨日の今日だからあまり油断出来ないのは事実。ひとみは俺に優しい笑みを浮かべ。
「あれはあなたを元気づける為の事だから」
「まぁ、俺も何かありそうな気はしてるけど予想できないのが現状だな」
「来週が地獄だって言ったからレジ研修でもあったりしてね♪」
それがあったら俺が地獄だよ………さすがにないとは思うけどさ。
一度あることは二度ある、二度あること三度あるって思えしまうから。
「そうじゃなくても、俺はひとみのそばで見守ってるから大丈夫」
「ありがとう、あなた」
昨日はひとみと美優の企みがあったから多少の公私混合になっていたが、さすがに今日は昨日と違って問題無いので、これ以上甘える訳にはいかないのだ。
けど、俺はこの時は自分の器用貧乏?が年末に向けて自分の首を絞めてしまったことに気づかなった……まぁ、頼られるのは良い事だから個人的にはいいのだが……
バイト先に到着する手前で俺らは恋人握りを解いた。
それにはちゃんとした理由があるから。
例え、恋人同士であっても勝手口で手を繋ぎながらや腕に抱きついたままの状態で入るのは申し訳ないので、一旦離れることになるがこれはお互いが仕事モードにするための儀式のようなもので、以前に2人で決めた。
バイトであっても仕事をしていることには変わりがないので、公私混合する訳にはいかないから俺から言い出した。
当然、ひとみは了承してくれるのは解っていたから。
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