<物語の流れ>奇跡の価値

 この世に『奇跡』というものがあるのならそれは何になるのだろうか?

 きっと、人によっては『奇跡』の価値は違うのかもしれないけど。


 小さかろうと大きかろうと自分が想像する以上のことが起きればそれは『奇跡』というのかも知れない。


 だから、俺からしてみればこれは『奇跡』だと思っている。


 そして、俺が『奇跡』と思ってるのは過去のあの頃の夢である。


 いくら夢であったとしてもだ、ここまで鮮明に”あの時”まで見るなんて。


 そう、これはあくまで”夢”である。


 そして………夢を見た。あの頃の夢を。


 あの頃の夢を見たのは本当に久しぶりで、ここ最近は見ることなかった。

 

 あの頃は本当に自分の思うことが上手くやれていた。

 まるで、怖いものなんてなかったようなそんな感覚に近いと思う。


 さて、ここで思うのは幸せとは一体なんだろうか?それは十人十色で幸せの形は1つではないと俺は思っている。


 大事な人のそばにいられる幸せ、好きなこと全力でしている幸せ、食べたり寝たりする幸せなど色々とあるはずだ。

 

 他人がそうでなくても自分が幸せと思えるのならそれいいのだ。


 幸せとは自分がどう思うかで決まるものだと。他人が決めることではない。


 それ知るまでの自分は、毎日をごく普通に過ごしていただけ。

 一体、何が幸せなんだろうと思い、過ごしていた。


 幸せなんてないって思っていた時期もあるくらい。


 高校には何とか入ることは出来たが、卒業出来るか不安でしかなかった。

 でも、中退だけはしたくなかった。


 理由は色々とあるが、それは物語の中で明かされるので今は言わないことにしよう。


 だから、高校なんて人生のおいての単なる通過点にしか思ってなかったから、高校さえ卒業していれば就職にはさほど問題がないからだ。


 当然、大学なんて興味すら無いから当時の俺は就職すらどうでも良かったかもしれないし、生きるということにも面倒になった。


 それくらい、俺は人生というものに愛想を尽かしていた。


 そんな時に俺は君に出会ったんだ。


 それは本当にふとした出会いで、壮大な草原のど真ん中で君に会った感じがしたのだ。


 その場の雰囲気を出すのであればお互いに「「あ」」って感じである。分かってもらえたかどうかは分からないけど。


 だけど、君と出会って最初は何も感じなかったのに、ある日を境に今までの景色がモノトーン色だったのが段々と華やかに、色づいたみたいに明るく映るようになった。


 気づいたら彩る世界が出来上がっていた。


 君といる時間が増えるごとに君への思いも自然と強くなっていった。


 そんな君が俺の彼女になってくれるなんて思ってもなくて、片思いで終わるのではないかと。


 君の隣にいれることがなによりの幸せだと感じたから。


 そして、君が俺の彼女になってくれた時から俺のすべてが一変するなんてって思ってすらなかった。


 すべてが良い方向にしか進まなかったのが不思議で仕方なかった。


 きっと幸せ過ぎて、悪かった・運がないってことすらも気にもしていなかったのだろうな。


 それくらい『恋は盲目』って言葉が似合うくらいの状態だった。


 俺はその頃は自分が自分ではないような感覚になっていたが、きっと周りもそう思っていたんだろう。


 一挙一動する度に驚かれてた。


 ずっと、彼女の隣に居続けるためにはどうしたらいいのか?

 彼女に相応しい人間にならなければならないと。


 今までは自分を変える、変わるなんてありえないと思って過ごしていたと思う。


 その所為か、俺の変わりように俺に関わった人達は、大層驚いていたのが今でも手に取るように思い出せる。


 それだけ、自分がダメな人間だったって気づいた瞬間でダメ人間だった。俺をまともにしてくれたことは本当に感謝しかない。


 君は、してくれたとも思っていないだろうな。そうゆう人だから。


 どんな時でも『それは貴方が努力したからなんだから』って何度も言っていたけど、それは努力をしなければ君のそばにいる資格が無くなってしまうから。


 君は、俺に誰かがそばにいてくれることの素晴らしさを教えてくれた人だった。


 そして、それが強さになることも同時に教えてくれた。


 こんなにまで自分のこと理解してくる人は今まで家族以外はいなかったから。


 何も言わなくても分かるとまではいかなくても、大体のことはお互いに理解をしていたと思う。


 君さえいれば何もいらないって初めて思えて、この先もずっと君と一緒に隣を歩いていけると思って信じてやまなかった。


 ずっと一緒で、一心同体のような存在で、いつまでもそばにいてくれるって思っている。


 わざわざ、口に出さなくても伝わることは多く、お互いに勝手に気づくことがあった。


 口に出す時は大事なことが多かった気がするくらいだ。


 それくらいに2人の絆は決して切れることは無いと思っていた。


 もし、君がいなくなったら俺は自分の足でこれから先を歩いて行けるのか、不安というか目の前が濃霧に覆われるだろう。


 でも、それは仕方のないこと。


 何故なら、俺達には寿命があって、それに人間は抗うことは一切出来ないから。


 ようやく抜けたと思ったら次は真っ白な風景になるだろうな。


 だけど、それは絶望ではなく次に進むための下書きのようなもののように思えていて、ここに俺の新しい道を書いて進めと。


 書いた道を『走り抜け』と。


 結局、俺は君に頼りきりでほとんど恩返しをしていない。

 それだけ、俺にとって特別な存在だった。


 俺は、あの頃は本当に幸せだったって今でも実感している。


 居心地の良いあの場所に最高の仲間たち。


 そして、ずっと俺を支えてくれた君。


 でも、過去は過去。たとえあの頃に戻れたとしてもきっと行き着く場所は変わらない。


 変えてはいけない、いや変えられない。


 それでも、過去があるから未来がある。未来はやり方次第では輝かしい未来だって可能なのだ。


 それを一時的にではあるが、知っているから言える事であり、俺らはそれを何度も覆してきた。


 きっと、この夢はそのことを思い出させる為に久しぶりに見せてくれたのかもしれないな。


 この夢を見た、いや見せられた理由なんて一つしかなかった。


 それは、夢に寄り道をしているから。


 あの時、叶えるって誓ったのにな……寄り道なんてしては暇なんてないのに。


 だから、この夢を強制的に見させられているんだと。


『もう一度前を見ろ!』と言うように。『逃げるな、前へ進め』と叱咤されるように。


 それに気づかされるのはこの夢が覚めた時だろう。


 なら、俺は今一度この夢を見て振り返ろうと思う。


 あの時、あの場所で君に誓ったことを思い出すために。


 濃霧を抜け、真っ白な風景に色と道をしっかり彩りよく描くために、そして俺が前だけを向いて歩く。


 それが願いだから。


 さぁ、行こう。今を”変える”のではなく今を”見直す”為にあの頃へ。


 10数年の時を遡り、高校時代を謳歌した素晴らしい場所と仲間と最愛の人がいる所へ。

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