日常㉒

 昨日のちょっとした一幕からの翌日、俺らはいつも通りの時間に登校。


 いつも通りと言うのは、一般的には学生であれば8:30くらいだと思うが俺らの場合は7;00には学校に着くのが『いつも通り』


 まぁ、かれこれ1年以上続けていることで体にこの習慣が染みついてしまっているので、朝が辛いと思うことは無くなって、逆にひとみと朝会えないことが辛いと思ってしまうほどに愛おしい。


 だから、一昨日から昨日にかけてあんなことになった。


 って訳で、俺らは先に生徒会室に着くと人が揃うまで2人の時間を楽しんでいた。


 先に会話を切り出してきたのはひとみだった。


「ねぇ、明日ってバイト休みだよね?」

「そうだけど、どっか行きたい所でもあるのか?」

「瞳との約束、どうしようかなって思って」

「ああ、そうしたら帰ったら瞳に予定聞いておくよ」

「ありがとう♪」

「俺がひとみの為にするのは、当たり前のことだからな」


 そんな他愛もない話をしていると、松木・洋太・秀子が入ってきて、いつもメンバーとなる。


 最近、後輩達も含めて起きれる人は来たりして面子が揃わないことはあまりないほどに楽しんでくれている。


「おっはよ、いつも通りですね」

「おはよう、秀子。安心した?」

「安心というか、これがないと一日が始まらないなって思って」

「そう言ってくれると、助かるよ」

「なんだろうな、この2人だけは暑苦しいって感じがしないんだよな」

「そうね、それが一番不思議な所だけど純粋にお互いが好きだからだからだと思うんだよね」


『純粋にお互いが好き』か………良い言葉だなって本当に思えるし、何よりもみんながこれを見て『暑苦しい』とか言わないのが一番嬉しいのかも知れない。


 すると、松木がげんなりした顔で………


「納得……でいいのか?」

「いいんじゃないんですか?私達はこれを見て続ける義務があるから」

「そうだな、2人も俺らのことを見てくれていると思うからな」

「なぁ、そろそろ始めないか?甘い空気が辛いんだが……」


 どうやら、洋太達は松木の存在を若干忘れていたようで『2人を見てたらさ』って言ってたけど、遠回しに俺らの所為にしないでくれ。


 松木の存在の薄さは、本人の問題である。肉の厚さは極厚なのにな……不思議だ。


 今日の面子は、俺・松木・秀子・洋太でひとみがコーチ役になった。


 コーチ役は、ローテーションのような感じで回したりして、これも円滑に回ってるのでびっくりだった。


「ねぇ、ひとみ。この場合どうしたらいいの?」

「そうね、秀子は好きな役とかは出来たの?」


 秀子は、ひとみに耳打ちするとひとみは微笑ましい笑顔で秀子に答える。


「それなら、十分チャンスはあるからそのまま行ってもいいと思うよ」

「ありがとう、まだ分からない所が多いから教えてね」

「ええ、秀子が自分で大丈夫って言うまでそばにいるからね」


 女子の友情と言うのは、見てるだけで癒しになる。


 男同士だと、癒しというか変に暑苦しい感じに思えてしまうから不思議である。


 実際はそんなことは無いんだが。


 なので、俺も奥様の真似をしてみる事にした。


「洋太の方は、好きな役はあるのか?」

「なんだっけ、一と九の牌のやつがいいなって思ったよ」

「純チャンか。作れた時は達成感があっていいよな」

「一彦や松木は好きな役はあるのか?」


 洋太から、それぞれの好きな役を聞かれたので松木が先に答えることにしたようだ。


「俺は、一気通貫だな。一から九まで揃うのが気持ちいいっていうか」

「初めて聞くな。難しいのか?」

「何とも言えないかな。まぁ、出来たらいいなって感じだよ」

「そうなんだ、一彦は?」

「うーん、俺って単純で役にこだわりがないんだ。あるとすればチンイツかな?例えば、ピンズだけで揃えると綺麗に見えていいかなって」


 こうやって、対戦はしているがコミュニケーションも取れる麻雀は学んで正解だって思う。そのおかげで周りにも普及することが出来たのだから。


 あの時、松木の誘いを断っていたら俺は麻雀を知る機会なんぞなかったな。


 そう考えるとこいつには感謝しかないんだよな。


 きっと、無意識なのだろう。


 俺は松木に対して言葉を発していた。


「松木、ありがとうな」

「どうしたんだ、いきなり。まさか……」

「いや、普通の意味でありがとうだよ」

「益々、意味不明なんだが……」

「ふふ、あなたのことだから急に思ったんでしょ?」


 奥様にはバレバレなようで、秀子と洋太は『相変わらず』と当たり前の顔をしていた。


 急にお礼を言われるもんだから、松木は俺に突っかかってきた。


「志村は、いつも唐突なんだよ。なんでそんな急に言い出すかな………」

「なんでか言いたくなったんだよ。しょうがないだろ」

「全く、少しは言われる方の気持ちにもなってくれよ」


 それは、多少の理解はしているのだが言いたくなるものは仕方ない。


 っていうことで、俺と一緒にいる以上は諦めてくれ。


 麻雀の話や日常の話をしていると、チャイムが鳴ってしまい、この状態のままにして教室に向かった。


 勝負は持ち越しってことで、放課後にバイトに行くまで今の状態からスタートすることに。


 こうなると、あの件は早めにしないとやりたい人が出来なくなるな……


 よし、来週中にやるか。


 決め事をしてしまえば突っ走るだけなので、無理だけはしないようにすれば問題無いと踏んだ。


 あの時みたいに迷惑を掛ける訳にはいかないし、ひとみの悲しい顔を見るのが一番嫌だから。


 運よく?苦手なあの授業があり、俺はその時間と休み時間を利用して必要な物をリストアップしていく。


 昼休みにひとみの教室で一緒に昼飯を食べた後にひとみに。


「ひとみ、これから職員室行くけど一緒に行くか?」

「職員室に?なにかあったの?」

「川田先生に卓の件でリストアップしたから、それを提出しようと思って。あとは一緒にいたい」

「うん♪終わったら校内デートしたい♪」

「なら、今すぐ行って渡して終わらせよう」


 俺らは、すぐさま職員室に向かう為に席を立つと『ごゆっくり~』と呑気な声が聞こえてくるが、他愛もない一言でも嬉しくなってしまう。


 職員室に着いた俺らは顧問である川田先生を呼び出した。


「志村、どうした?」

「川田先生、以前お願いした件です。これがリストで金額も入れてあります」

「作るのはどうするんだ?」

「叔父が色々と機材を持ってるので大丈夫だと思います」

「今週中には用意しておくな」

「こちらこそ、先生ありがとうございます」

「2人でいるってことは……邪魔できないな」

「では、失礼しますね」

「失礼しました」


 そう言って、川田先生は自分の席へ戻って行ったので俺らも職員室を後にした。


 校内デートって言っても、単に歩いて以前良くいた場所でゆっくりするだけの至って普通の高校生らしいデートである。


 けど、以前と違うのは俺の下心の問題で2人きりになると触りたくなってしまうのだが、うちの奥様は一切拒否することは無い。


 たまには、拒否して欲しいものだが奥様がいいというのだから奥様が『ダメ』って言われたら止める流れになっている。


「こうやって、ここで2人なのは久しぶりだね♪」

「懐かしいな、って言ってもまだ3ヶ月くらい前の話なのに」

「それだけ、あの場所での思い出が濃いってことじゃない?」

「そうだな。でも、それを言ったらあれまで思い出すけどいいのか?」

「もう、意地悪なんだから……ちゅ♪」

「ひとみ!?」

「少しだけ、悪戯して欲しいな」

「俺の好きにしてもいいか?それかしてもらいたいことある?」

「あなたのしたいことで満たされたい♪」


 ひとみを正面に向けて、Yシャツのボタンを上から4つほど外すと手にすっぽりと収まる豊満な双丘が俺を誘ってきて、双丘の先端を意地悪すると。


「んんっ!、はぁん、それされると声出ちゃう……んっ、でも気持ちいい♡」

「ひとみ、ごめん」

「ふぇ?」


 ひとみの両脇を通り抜けて辿り着いた先は、ブラのホックを俺はスムーズに外し、緩くなったブラを持ち上げて双丘にかぶりついた。


「あ、あなた。あんっ、ふふ赤ちゃんみたい。好きだけしていいからね♪」

「赤ちゃんは、これを独占できるんだからズルいな」

「あなただって、独占していいんだからね」


 そんな、甘い時間もチャイムが鳴ってしまいお開きとなってしまったが俺らは幸せな時間を過ごせたことに感謝していた。


 本当に、高校生らしくない俺らだった。

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