後輩との繋がり
自分の中で色々なことがあると、時間が過ぎるのが本当に早い。
早いと感じるってことは学校を楽しんでるということなのだろうか、そう考えると中学の時とは大違いである。
そもそも、比較することではないか……
気づけば季節は秋となり、文化祭の時期が近づいていた。
俺は、去年はクラスで女装?をしてダンスを披露していたが悲惨だった。
あれは、確実に黒歴史としては十分になりうる物だろうなあれは……実際に撮られていたらしく、現に俺の手元にもその証拠写真があるのだから。
今年は、事前に物を作って展示するということだった。
正直、自分のクラスの方は一切やる気が出なかったので適当になにか作って出したが作った本人が何を作ったのが解ってないのはやばい。
美術センスがゼロに近いのでこうなるのは必然の結果だった。
なので、今年は生徒会の催し物を手伝う方が楽しそうだと思って生徒会に積極的に顔出していた。
あの一件から生徒会室によく行くようになっていた。
その理由は、現時点では自分でも何故かは分からなかったが楽しい所に行くのは良いことだと思い、今に至っている。
「お疲れ様です」
「「お疲れ様です」」
俺が誰に向けた訳でもないが声を発すると2人から声が返ってきた。
1人は、この間の会議で話した藤木さん。
もう1人はまだ見かけたことない女生徒だった。
「はじめまして、1年の小田っていいます。よろしくお願いします」
「会長・副会長と同じクラスの志村です。小田さん、よろしくお願いします」
「私、藤木さんと同じクラスなんですよ」
「へぇ~、そうなんだ」
「小田さんは、吹奏楽部に入ってるんですよ」
藤木さんは小田さんの詳細を教えてくれた。
1年生の小田美優。
小柄だが顔立ちがしっかりしており眼鏡がとても似合っていて文学少女を思わす。藤木さんと同じ黒髪だが、彼女の方が長く完璧なストレートだった。雰囲気からしても吹奏楽部と聞いて納得もする。
今後、仲良くなって知ることになるだが意外とロックバンドが好きだったりするのだ。びっくりよね。
それから小田さんから色々とCDをコピーしてもらい聞いていたらいつの間にか、そのアーティストのファンとなっていた。
やっぱり、俺ってちょろいのね……でも、いいものは取れ入れるべきである。
今、生徒会室にいるのは1年生のみで、2年のトップ3人が教室にいないことに気づいたので、俺は2人に3人の事を聞くことにした。
「トップの3人はどこかに行ったの?」
「さっきまでいましたけど、どこに行くかは言ってませんでした」
「なんか指示とかあった?」
「いえ、何も言われてないのでどうしようかと」
「そうなんだ」
一体、奴らはどこへいったのやら。後輩を置いてどこかに行くなよな……全く。
俺は勝手に来てしまっただけだし、何も聞いてないからアドバイス等なんか出来ないから、余計にいたたまれない。
場を繋ぐために俺は小田さんに話を振ることにした。
「そういえば、小田さんは役員なの?」
「いえ、私は手伝い出来ました。文化祭期間中は部活しないので」
「あ、俺と同じだ」
「先輩のクラスの出し物は順調なんですか?」
「自分たちが作った物を展示するだけだから」
何もすることがないので俺達はクラスの出し物の話になっていて、どうやら2人のクラスは食べ物関係になったようだった。
「当日、時間あるはずだから寄らせてもらうね」
「ありがとうございます、私達も先輩のところに行きますね」
「俺のところは見てもつまらないから大丈夫だよ。っていうか作品にすらなってないから........」
「えー、先輩が何作ったのか見てみたいので」
「やめとくれ」
「「いやですー」」
仲いいなほんとに……っていうかほんとに勘弁してくれ、それにあんな無様な物は見てもらいたくもない。
俺には先ほども言ったが、美術センスはゼロに等しいので、自分でも何を作ったのか覚えていないくらいだから。
俺は、生徒会の催し物が何なのか聞いていないので2人に聞く。
「結局、生徒会でやる催し物って何になったんだっけ?」
俺はここ数日、バイトで出席できずにいたのでなにをやるのか分からずにいたので、松木達にいちいち聞くのは変だと思って敢えて聞かなったのだ。
俺は生徒会の役員でもなければサポーターでもない。だよね?
暇を持て余して遊びに来てるお詫びで手伝ってるだけの存在なのだから。そう思い込んでいたのかもしれない。
今までこうゆうことには、一切の興味すらなく過ごしてきた所為か、"入りたい"ですなんて、言えるほど肝は据わっていない。
ついでに言うと、公に手伝うと言ってしまったらあいつらが何もしないような、気がしたから敢えて言わないようにした。
そんなことはないとは思うけど、あいつ等だったらやりそうっていうか輩しそうな感じである。
松木の奴は進捗は知ってるのか彼女達に問いかけてみた。
「松木先輩なら会議には出てましたから知ってるはずですよ」
「そうか、なら大丈夫かな?」
「なんで疑問形なんですか?」
「あいつだから」
「「・・・・・」」
後輩2人は見事に固まっていた。松木はたまに大事な所で抜けるところがあるから俺以上に。
仮に俺がサポーターであっても、あいつは役員なんだからあいつが指示しなければ意味がない。
そして、抜かないといけないのは体内のものだけである。抜いても利用価値ないし、使われても困るのだから。
そうやって、あいつを弄り倒しておかないと気が済まない。
俺は、それを聞いて誰かが知ってならば問題ないと判断していた。
「とりあえず、決まったことを教えてくれるかな?」
「わかりました、これが決まった内容になります」
俺はもらった資料に目を通した。内容に至っては普通って言うか捻りもすらもない内容だった。
「色々、あったんですけどカレーという結果になりました」
「カレーか。妥当というか無難というか」
「まぁ、そうですね」
藤木さんがなんだか不満というか腑に落ちない表情で答えてくれたけど、なにかカレーに対して問題があるんだろうか?種類か?
カレーなら誰が調理しても問題ないかと思うんだが?
ん、よく考えたらなんとなくだが藤木さんの表情の理由が分かった気がする。きっとあれなんだろうな.........うん、察した。
「もしかして、男性陣が手伝ってくれないって思ってる?」
「……はい」
「まぁ、会長は期待しないにしても副会長2人はやってくれると思うけど」
「確かにそうなんでけど、金田先輩も文化祭の時は体育館でライブをする予定らしいんですよ」
「そっか、あいつライブやるんだっけ?まぁ、松木は俺が捕まえておけば大丈夫だろう」
俺が松木を捕まえておけばとりあえず男性2人は確保できる。
最悪、奴が逃げても俺と松木がいればなんとかなるがその為にも奴だけは、絶対に逃がさん。
奴が飛べない豚ならばな、〇の豚にならないことを願う。
「あいつは最初っからさぼるつもりだな。最初はやる気だったかもしれないが」
「やっぱり、先輩もそう思います?」
「やっぱりって?」
「鍵山先輩がやけにカレーを押してくるので何かあるとは思っていたので」
「因みに他の候補ってなにがあったの?」
「えっと、うどんやフランクフルトに手作りクッキーとかですね」
一例を上げてもらったが、どれも人手が必要なのと作り置きが出来ないから、誰かがいないと販売できない。
なので、カレーは作り置きが可能で温めるだけで売ることが出来るからだ。
クッキーに関しては事前に作れば問題ないが、作る人が限定をされてしまって生徒会より、個人の出し物になってしまうから。
「まぁ、決ってしまったことはどうにもならないから、今はやれることをやっていこう」
「そうですね、そうしたら材料と器具の下調べですね」
「ああ、器具は学校で借りられるんだっけ?」
「はい、申請すれば大丈夫なはずです」
「あとは、どんなカレーにするかだね」
学校出来るカレーは多分、2種類に限られるだろうが個人的にはキーマカレーの方がいいけど。
「キーマカレーかポークカレーどっちにするか」
一瞬、トッピングどうしようかと聞こうかと思ったが自分達が苦労しそうだからやめた。
そして、ほんの一瞬だけグロテスクなことを考えてしまった……松木を突っ込んでも仕方ないよなこれは……食えたもんじゃなくなる……
それに、今更めんどくさいことをする理由なんて意味なさすぎるからな・・
実際の所、あいつがいてもいないくても大して変わらず寧ろ、いない方が色々と差し支えないような気がする。
1年生は先輩がいないことに少し不安な感じはした。
うーん、あいつがいる方が逆に不安じゃねぇ?って思ってるのは俺だけかな?奴と同じクラスだからそう思うだけ?
俺達は、生徒会室にいるメンバーで決められるところは決めておくことにした。
あいつが文句を言ってくるだろうが、大したことないと決め込んでいたが後に大ごとになるんて思いもしなかった。
でも、それが俺にとってはこの事が転機と言っても過言ではない出来事になるなんて、想像すらしていなかった。
因みに文化祭当日、2人は俺の作品を見て大層絶句して『先輩酷すぎます』って後ほど、耳タコで出来そうなほど言われました。
2人はそんな軽口を叩いてくれた。
1人は、軽口から毒舌になるんだがな、俺に対して。嫌いだから毒舌になった訳じゃなくとある理由によって。多少、嫌いもあるかもしれないが……
正直、後輩の扱いは初めてでどう接したらいいか分からない部分があって、軽口を叩いてくれるだけ助かる。
おかげで、多少であるが後輩との距離を詰められて気がする。
ただ、この俺の後輩の8割が女子になっていたことに関しては後々気づいたのだが。
まぁ、この学校の男子はちょっと変わってるからこれが正解か。
『この出来事が歯車を大きく動かし、次第に音が次第に大きくなっていくのを
感じた。その音に気付く者すら現れることになる』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます