変化する日々

 無事、2年生に進級できた俺の日常は少しずつだが、変わっていったこと自体は良い事ではあるが実際はと言うと……変化に関しては殆どが悪い方向にだが……かと言って謹慎や停学などはしてない。


 ただ授業態度が悪くて、嫌いな教科に対しては絶対に寝てる始末である。


 その中でも一番分かりやすいのが授業を抜けること、俗に言うさぼりである。


 2年生になってからバイトも親から認められ、地元のスーパーでバイトを始めたこともあり、資金に余裕が出来たので外に出る打算がついた。


 とりあえず1年間はバイト禁止だったが、進級を出来たことによりバイトが認められた。


 学校のすぐそばには小さな商店にはお菓子や菓子パンなどがあったり、駅の目の前には酒屋があってそこのイカ焼きが絶品。


 因みに、うちの学校は工業地帯に見事なほどに囲まれている学校の為、買い物も電車に乗るか自転車or徒歩である程度まで行かないと周りにコンビニすらない。


 失礼極まりないが、田舎といっても差し支えないくらいだ。


 その為、酒屋や小さな商店はうちの生徒にとってはオアシスに近いのだ。


 いや、完全にオアシスだね。


 飲酒してるわけではないので、普通に売ってくることに最初は驚いたが、よく考えれば酒屋で売ってるものが、未成年が買えないのは一部なのだ。


 そんな感じでどっちかで買っては駅や公園でだべっていた。


 決して飲酒と喫煙はしていないが、周りは普通にたばこだけは吸っていた。


 これで良く見つからず、謹慎にならなかったなと思うことがしばしば。


 でも、俺がそこにいた理由はごく簡単で単に友達が欲しかったのと、単に好奇心が生んだ結果なんだと思う。


 経験することは悪いことではないと思っている。


 ただ、範疇に収まる程度にだが。


 因みにボッチなわけではないが、交友関係は酷いものである。


 友達が極端に少ないだけで1年から同じクラスメートもいるし、1年の時にそれなり友達は出来ていた。


 ただ、友達の多さってどうやって決めるのか分からない。


 悪い方向だけではなく、いい方向にもちゃんと向いているし、根暗だった性格も多少は明るくはなってきた気がする。


 あくまで気がするだけで実感はあまりなかったのは、高校デビューなんて大層なことが出来る人間ではないからだ。


 出来たとしてもメンタルが豆腐レベルの俺だから、プレッシャーで潰れるのが目に見えて分かる。


 悪い方向の一例としては、1年から同じクラスメートと好きな本や週間誌を持ち合い交換して読み合ったり、主に授業中に読むという堕落さと授業中に寝るという愚行。


 良い方の一例としては、同じクラスメートのイケメン男子と体育の持久走の後の自由時間に、バスケ部の奴とフリースロー対決して、ドリンク奢り合ったりもした。


 小・中の暗黒期に比べれば明るすぎる光景である。


 知り合いがほとんど居なくてよかったって思うが、殆どなので1割はいるのだ。


 ただ、運がいいことに自他共に知らない人同士なので、どうでも良かったのが本音である。


 その中には保育園からの腐れ縁がいたが、男なので残念!!俺が。


 うちの学校では毎年マラソン大会という厄介行事があって、そのマラソン大会が近づくにつれ体育の授業が学校の外回りを走る持久走と化すのである。


 本当に嫌になるし、長距離走るのは嫌い。


 けど、持久走を時間内に終えた生徒は体育館で自由になるので俺は、同じクラスでバスケ部の亀尾とフリースロー対決が恒例となっていた。


 対決する理由は簡単で、俺が元々バスケをしていたのもあり、亀尾が俺のフォームなどを見て経験者と判断したらしい。


 俺のクラスにはもう一人バスケ部の鈴田がいるのだが、彼女も同じクラスの為一緒に走っているので投げる時間がないとのこと。


 その為、経験者である俺に白羽の矢が立ったと言う訳である。


 そのフリースローをしてる最中に亀尾が俺にこんなことを言っていた。


「今日も松木は完走できないのか?」

「違う、完走できないんじゃなくてしないんだよ。俺らのこれに巻き込まれるのを知ってるから」

「志村とずっとやってるのは嫌じゃなんだけどさ、なんか刺激が欲しいっていうか」

「それは何となくわかる。だから松木に完走してもらわないと困るんだが、今頃は別に意味で乾燥してるんじゃないか」

「お前、あいつだけには毒舌だよな?なにかあったのか?」

「全くない。寧ろ、なんであいつだけに毒舌なのか俺が知りたい」

「一瞬だけ、松木に同情したけど仕方ないかな、松木だから」

「お前も十分すぎるほどにあいつには毒舌だよ!」


 そんな、どこにいても松木という人間は弄られる人材だって思う日だった。


 その日の体育の授業を終えて教室に戻ると一人の友人に声をかけられた。


「おい、志村。今日は亀尾といつものやつをやってたのか?」

「松木か。ああ、今日もだな。相変わらず結果だけ聞きに来たのか?」


 友人に声をかけ返した。そう、こいつが先ほど話していた友人の松木安太郎である。

 見た目がちょいぽっちゃり体系でクラスの弄られキャラなのである。


 見た目はジャイア◯だが、性格はスネ◯でひねくれてる所が抜けたような感じである。後にドラえ〇んの異名をもらう?ことになるのだ。


 で、こいつが俺のところへ来る理由なんてあの事くらいしかない。


「今日のフリースロー対決はどうだったんだよ。どうせ今日も負けたじゃないのか?何連敗中だっけ?白状しろよ」


 やっぱりな………そう言うなら一回くらいはちゃんと完走して観に来いって言いたくなる。


 そのぽっちゃり体系のせいか、完走できず体育館に来れなかったので、どうやら結果を聞きに来たのだ。


 頼むから、そろそろ完走ぐらいしてくれないかな。乾燥させてないでさ。


 それはどうでもいいとして、松木の問いに答えた。


「ああ、今日は珍しく調子よくて勝てたよ。とりあえず3連敗でストップしたわ。そろそろ勝たないと財布が涼しくなるからな」

「バスケ部に勝つってある意味お前って凄いよな。あれ意外と少ないな、もっと多いと思ってたわ」


 松木はそんな言葉をかけてくる。


 余談だが経験者と言ってもミニバスケ時代の為、基礎も微妙で好きだけど部活も入らず趣味でやっていた。


 今は、バスケよりサッカーなんだけど、言うなれば球技全般が好きなだけ。


 卓球以外は………っていうか小さい球は嫌い。


「まぁ、一応バスケは経験者だからな。じゃなきゃ亀尾だって素人に勝負なんて挑まないだろ。っていうか完走して投げるのが俺しかいないのが現実だが」

「はは、それもそうだな。俺がやったら絶対に奢り確定だもんな」

「大体、ずっと負けっぱなしも嫌だからな。多少の練習はするさ」


 いつも弄られるから弄り返そうって魂胆だろうがそうはさせん。


 ってことで弄りっていうキャッチボールを開始。勿論、全球すべて全力で投げ込んでやる。


 松木、お前の腹に思いっきり!覚悟しろこの野郎。


「っていうかいい加減完走しろよ、じゃないと俺が負け続けて奢りが終わらん。それとも別なものを乾燥させたいのか?」

「むしろ、完走したくないわ。それって俺がお前らに奢らされるやつじゃねぇか!って別なものってなんだよ」

「ちっ、気づくのが早いんだよ。自分で持ってて気づかないのかよ?」

「正直分からん。っていうかお前、俺だけにやけに厳しくない?」

「まぁいいや。正直な所、お前以外にまとまな奴がいないだけ」

「それは、誉め言葉として受け取っていいのか?」

「ああ、お前ほど俺らに従順な奴はいないからな。褒めて遣わす」

「それ、誉め言葉じゃなくて単なるしもべって意味だろう!」


 うん、そうだね。君は俺らのしもべになる運命なんだよきっと。


 来世も同じようにしもべとして転生してくれ。


 けど、誰のしもべになるか知らんが……俺はしもべにする気はない。だって面倒だから。


「お、今更気づいたのか。全く、仕方のない奴だな」

「お、お前ってやつは……」

「安心しろ、そう思ってるのは俺だけじゃないから」

「何一つ安心できない!!理不尽だ!」


 なんて他愛無い会話していた。俺だけが。


 まさか、こいつと10数年以上一緒にいるなんて思わなかった。いい奴なんだけどな。


 自我はちゃんとあるんだが、何故か簡単に流されてしまい、その所為で何度も何度もめんどくさいことに巻き込まれたか。


 でも、こいつがいたから多少なり助けれた部分もある。じゃなければこいつと10年以上絡むなんてありえない。


 あの時が一番助けられたかも知れない。その分、酷いこともしたけど。


 こんな感じで、2年の半分を過ごしていく中で、半分すぎた頃から少しづつ俺の環境が変わりつつあった。


 この時は、俺が変わるなんて思ってすらいないのは勿論のこと。


 まるで、とあるドラマのように入れ替わったかのような変わりようだったらしいけど。


 先輩後輩の出会い、新しい自分の居場所、新たな友達など多々あるが今はこれくらい。



 『そして、運命の歯車が少しだけ回り始めていた。この歯車とは何を意味するのか?運命の歯車はちゃんと回り出した時にはどうゆうことになるのか楽しみな所である』

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