第30話救出続行
「やったのか?」
そんなフラグみたいなことを言いながら穴の中を覗き込むミリゼット。
おもわずフラグかとドキッとしたが、幸いにもオークキングは完全に生命活動を止めていたようで動きだすことは無かった。
「すさまじい威力だったな」
オークキングからはまだプスプスと煙が上がっている。
「今はそんな場合でないことは分かっているが、これではオークキングの素材を取るのは無理だな」
聞くところによると、オークキングはその皮も爪も牙も全てが魔力を帯びていて上質な素材になることと、そもそもの討伐難度と合わせて非常に高値で取引されているのだそうだ。
多少傷の付いているものでも問題なく売れる。というよりも、傷をつけないで倒せる冒険者などいないのである程度傷だらけなのが当たり前。
「いや、別に責めているわけではないぞ。むしろ全滅してもおかしくないような相手だったんだ。わたしたち全員無事でいるのが奇跡みたいなものなんだからな」
だよな? 素材目的で来ているわけじゃないんだしそこは勘弁してほしい。だから、もったいなさそうにオークキングを見続けるのはやめてくださいお願いします。
「それで、これからどうする? 砦まで戻るか?」
オークキングに急襲される前、ミリゼットは砦まで戻ると言いかけていた。
だから、当然戻るものだと確認する意味合いで聞いたのだが、ミリゼットの返答はオレの予想とは異なるものだった。
「見ろ。砦の前で見張りをしていたオークがいなくなっている。今の戦いはさすがに奴らにも気付かれただろうから、おそらくここや砦の様子を確認しにくるのだろう。ということは、だ」
「チャンス……ですね?」
ミリゼットの言葉の後をメルルが続ける。
「あれだけの争う音がしたのですから、オークたちもそれなりの数で確認に出るはずです。ということは、洞窟の守備が薄くなっているということ」
「ああ。今倒したオークキングがやつらのボスだろう。雑魚が何体かは残っているだろうが、せいぜいハイオークが数体というところでもう強敵はいないはずだ。ボスがやられたことを知れば、パニックになってキャスカに危険が及ぶかもしれん」
キャスカが生き残って無事でいるかは正直希望的観測というやつだ。
それでも、砦に死体が無かった以上生きている確率はゼロじゃないんだ。
「分かった。それじゃあ作戦を立てよう」
素早くミリゼットとメルルに作戦を伝える。
待ってろキャスカ。すぐに助けてやるぞ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます