Turn201.勇者『突然の土砂降り』
──ザザーッ!
窓の外を見て、僕は思わず顔を顰めてしまった。
急な土砂降り──大粒の激しい雨が振り、木枝が揺れているので風も吹き荒れているようだ。
「うわぁ、何だよこれ……」
酷い嵐だった。とても外を歩けそうにない。
「通り雨かもね。しばらく待っているのが良さそうね」
聖愛も追って外を見ながら呟いた。
「雨の予報だったっけ?」
「さぁ? 天気予報は見てなかったから」
聖愛は首を傾げていたが、他の生徒たちからしてみてもこの雨は予想外であったらしい。
「帰れないじゃん」
「傘持ってきてないよ……」
途方に暮れるような声があちこちから上がっているのが聞こえてきた。
「なんてタイミングだよ!」
声がして顔を向けると、全身ずぶ濡れの不知火が教室の前に立っていた。
急な嵐で慌てて引き返してきたらしいが、既に手遅れのようであった。バケツをひっくり返したような水を浴びて衣服が濡れていた。髪からもポタポタと雫が滴っている。
「最悪……」
不知火は口を尖らせながら、ハンカチで濡れた髪の毛などを拭いていたがすぐに水を吸って使い物にならなくなってしまったようだ。教室に入り掛けたが水を搾るため、また外に出て行った。
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