Turn190.勇者『唐突な宣告』
「これは凄いよ。爆裂ヒートグローブとシューズのセット。手足に装着して攻撃を繰り出すと、衝撃波が発生して周りの敵を粉々に打ち砕くのさ!」
僕の一方的な延々と続く空想話を聞いてくれていた聖愛だが、そろそろ帰ることにしたらしい。
コーヒーカップを空にすると、次の言葉を制止するかのように僕の顔の前に手を出した。
「ごめんなさい。もっと話しを聞いておきたいところだけれど、私にもやらなければならないことがあるから……」
「あぁ、そういえば……」
僕は初めの聖愛の言葉を思い出しながら頷いた。
「何かやっている途中とか言っていたね。忙しいの?」
僕の質問に、聖愛はきょとんとした表情になる。
「あら、何を言っているの? あなただって同じじゃない」
「えっ? どういうこと?」
別に惚けているわけでもなく、本当に聖愛の言葉の意味が分からなかった。聖愛もそのことに気が付いたようで、逆に驚いた顔になる。
「もうすぐテスト期間になるから、勉強していたのよ」
「え……テスト……?」
空想の世界から現実世界に引き戻された感覚になる。我に返ったようになった僕は、空想の武器の設定のことなどどうでも良くなっていた。
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