Turn189.元賢者『聖剣乱舞』
またもや、ニュウ・レンリィが鏡の中から取り出したのは見たこともない不思議な武器であった。
『光り輝く聖剣』──そう持ち手に刻印されているその大剣は、剣自体が発光して神々しく輝いていた。
闇のオーラを放っているニュウとしては、それに触れることは苦痛であった。剣を握った手から煙が上がり、焼け爛れたかのような匂いが漂う。
「それでも……!」
──やらねばならない!
ニュウは無理矢理にその聖剣を振るったものだ。
聖剣を一太刀振るうと、近場のアンデッドモンスターが浄化されて掻き消えた。
お姫様や兵士たちに飛び掛っていたモンスターの姿は消滅しているが、人間たちは無傷であった。
──どうやら、攻撃対象となるのはモンスターだけのようだ。それと範囲は狭いらしい。距離のある場所に静止しているモンスターは相変わらず健在だ。
「てぇえええいっ!」
叫びながら、ニュウは夢中で聖剣を振るった。
振れば振るほど、アンデッドモンスターは消滅していく。
しかし、同時にニュウの体力もみるみると削られていった。元々は賢者であるニュウには腕力や体力もないのである。おまけに聖なる力に当てられて自身の命までもが削られてしまっていた。
──それでもニュウは、仲間たちのために一心不乱に聖剣を振るった。
部屋中のモンスターを一掃するだけでも結構な時間を掛けた──。
両手がボロボロになって焼け爛れたニュウは、それ以上に聖剣を握れずに床に落としてしまう。
体力の限界から、肩で息をしたものだ。
──だが、休んでなどいられない。
壁に開いた穴から外界に視線を向ける。
まだ数百万という不死族の軍勢が大地を埋め尽くしているのだ。
ニュウは走り、不死身の軍勢の人垣に向かって飛び降りた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます