Turn78.司書『殲滅の魔法』

 城の上空には、翼を羽ばたかせたデスサタンたちが待機していた。

「なんだぁ? 動きが止まったな……」

 それまでは城内で激しく戦闘の音が鳴り響いていたのに、突如としてしぃんと静まり返る。

「終わったか?」

「なら、我々も行くとしよう……」

 デスサタンたちは羽ばたき、降下を始めた。

 そんなデスサタン一体一体の眼前に、不意に魔法陣が浮かび上がった──。

「あ? なんだこれは……」

 手で振り払おうとするが魔法陣は消えず、まるでそれぞれのデスサタンたちに張り付いているかのように後をつけてきた。

 デスサタンは正体の分からぬ謎の魔法陣に、首を捻るのであった。


◆◆◆


「星屑魔法……インパクトメテオクラッシュ!」

 ノリットが呪文を唱えると、魔法陣から光の飛礫が飛び出し、デスサタンの体を覆った。

「な、なんなのだぁあぁあああっ!?」

 光の球体に飲み込まれたデスサタンは、そのまま魔法陣の中に吸い寄せられる。

 魔法陣が四散したのと共に光の球体も爆散し、それに飲まれたデスサタンにもまた、この世から姿を消し去った。


──城外を浮遊していたデスサタンたちの身にも、同様の事態が起こる。

「ぎゃぁぁあああっ!」

「助けてくれえぇええっ!」

 阿鼻叫喚──。

 仲間の死を目の当たりにしたデスサタンは逃げ惑った。しかし、結局はその追尾してきた発光体を撒くことはできずに飲み込まれてしまう。

 やがて──城を襲撃しに来た全てのデスサタンは、この世から存在を消し去られたのだった──。


 薄れゆく意識の中──お姫様の瞳には、その勇姿が写されていた。お姫様の窮地に駆け付けてくれた勇者が、デスサタンたちに向かって魔法を放つ。

「勇者様……」

 最後に一言──お姫様は愛する人の名を呟き、そのまま意識を失ってしまってしまう。

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