Turn63.勇者『遭遇』
一部始終を僕らは呆然と見ていた。
女性陣からしたら、恐怖で足が竦んだことであろう。紫亜は顔を引き攣らせて聖愛の腕に抱き着いていたが──聖愛は、肝が座っているのか、平然とした顔をしている。
入り口が一か所しかないせいもあって、先輩──坊主髭面にサングラスの男と轟がこちらの方に歩いてきた。反射的に、僕らは彼らから目を逸した。
「ひゅー!」
ところが、聖愛の顔を見た坊主髭面にサングラスの男が反応し、足を止めて口笛を吹いた。
僕は反射的に身構えていた──。
何をされるか、分かったものではない。
聖愛はそんな坊主髭面にサングラスの男を睨み付けたものだ。
「……おい、何してんだ。あんまり、他の連中に絡むなよ。行くぞ」
「あ、ほーい!」
──ところが、先に行ったら轟に声をかけられると、坊主髭面にサングラスの男はあっさりと身を翻した。スタコラと走って、轟の後を追って行ったものである。
何事も起こらず事がおさまり、僕らはホッと胸を撫で下ろしたものだ。
「怖かったねー」
「大丈夫よ、忘れましょう。気を取り直して、キャンプを楽しみましょうよ」
涙ぐむ紫亜を励ますと、聖愛は再び僕らにコテージの案内を始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます