Turn39.謎の男『ご報告』
砂嵐が吹き荒れる中、男が洞穴の中に入り込んだ。
洞穴の中に入ると男はフードを脱ぎ、毒づいた。
「外に出るたびにイチイチこれじゃあ、溜まったものじゃないのね。せっかく新調したコートなのにさぁ」
フンと鼻を鳴らしたその男は、横に幅広いピピリ・ガーデンという男である。
ピピリは荷物を下ろすと、椅子にドカリと腰掛けた。そして、テーブルに置かれた宝石に向かって話し掛ける。
「あー、あー。聞こえますかねー。どうぞー」
──キコ……テ……ド……。
吹き荒れる砂嵐のせいか、相手の声がぶつ切りにしか聞こえない。
ピピリは口を尖らせて、ポンポンと宝石を叩く。
「要人を見つけましたのね。すぐに、お城にお連れしますから、お待ち下さいなのね」
──ソ……ワカ……シロ……。
相変わらず、通信の相手が何を言っているのか一言も聞き取れず、ピピリは溜め息を吐いた。
「まぁ、ご安心下さいね。多少手荒な真似をしても、必ずや貴方様の元に、あのお方をお連れしますのね……」
そう言いつつ、ピピリは怪しく口元を歪めた。
「今晩、この地は戦場となるでしょう。任務は確実にやり遂げてみせますので、安心してお待ち下さいなのね」
クックッとピピリは笑い、舌なめずりをするのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます