Turn007.勇者『狂乱』

──パリーン!

窓ガラスが割れて周囲に飛散する。

「……はぁ?」

突然の僕の奇行に、不良生徒たちも事態が飲み込めずポカーンと口を開けるばかりである。


──それでも、僕の欲求はおさまらない。

目の前で呆けている不良生徒たちのことなどお構いなしに、僕は一心不乱で窓ガラスを割り続けた。


──ガシャーン!

──パリーン!


まるで何かに取り憑かれたかのように、僕はただ窓ガラスを割ることだけに集中した。

「お、おい……」

流石の不良生徒たちも、僕の奇行に動揺を隠せないようであった。一心不乱に窓ガラスを割り続ける僕に困惑し、恐怖すら感じたようである。

「こ、こいつ、やべーよ……」

「どうする……?」

不良生徒たちはどうしたものかと顔を見合わせ、その場に立ち尽くした。


その間にも窓を割り続けていた僕は──。

ふと、その手を止めた。


──何をしているんだ、僕は……。


突然、衝動がおさまって我に返った。

すると、自責の念にかられていても立ってもいられなくなってしまう。

「う……うわぁああぁああ!」

僕はその場から一目散に駆け出した。

「あっ、おいっ!」

そんな僕を、後ろから不良生徒たちが呼び止める。


脱兎の如く逃げ出した僕の耳には、その叫び声は聞こえなかった。廊下を端まで走り、そして階段を駆け上がった。


入れ替わるようにして、騒ぎを聞き付けた教師たちが階段を上がってきた。


『お前ら、何をしているんだ!?』

『ち、違う! 俺達じゃねぇっ!』


──果たして、その場に留まっていた不良生徒たちは、これからどんなきついお仕置きを受けることになるのだろうか──。

日頃の素行というのは大事である。

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