第44話 アレイトの案内で敵に接近する
俺は王女4姉妹にも戦場から離れてもらおうと思ったが、頑なに拒否された。
「ランナル様から離れるとか、ありえません!」
フェリーネがすごい剣幕で言ってくる。
「危険だぞ?」
「それっ百も承知ですわ。」
「・・・・まあいい。アレイト、着いてきてくれ。親方、さっきの所へ戻るから、護衛を頼む。」
「それはいいが、今のてめえには護衛はいらんだろう?」
「そうは言っても技を放った直後は無防備なんだよ。いくら防御力が高くても、ピンポイントで急所を狙われたら終わりだからな。」
俺はそう言いつつ、首の前に手を持ってきて、左右に振る。
「わかった。護衛は任せろ!そして取りこぼしは全て片付けるさ。しかし人を殺すのか・・・・戦争とはいえ、しかも相手は兵士だから・・・・向こうさんも覚悟を持って戦に挑んでいるのだろうが・・・・」
親方もやりたくないようだ。
「仕方ないさ。戦争に駆り出され、しかも前線に向かえば嫌でもそうなる。ま、今は与えられた任務をこなすだけさ。」
・・・・
・・・
・・
・
俺は小高い場所へアレイトを案内した。
木で隠れるから、向こうからはそうそう気が付かれる事はないだろう。
「わ・・・・敵が丸見えですね。しかし、これは少人数だからこその場所。大軍ではこうはいかないでしょうね。」
「それでだ、ここでこれだけ敵が見えるんだ、このまま接近をし、俺の技をぶっぱなしたいんだ。なるべく障害物はない方がいい。」
「ここから坂を下れば敵の目の前に出るけど、大丈夫?」
「技を放つのは時間がかからないからな。それより技を放った後だ。俺は恐らくその場から身動きが取れなくなる。いざとなれば誰かに引きずってでも連れ出してもらわんといかん。」
「へえ・・・・どんな技なのか見てみたいな。」
「敵さんに近づけば、いやでも放つさ。」
「楽しみにしてますね!ざっと見渡した感じ、あちらから行けそうです。では参りましょ?」
なんだかピクニックに行くかのようなノリだな。
そして・・・・なんて身軽なんだ。あれで妊娠してるのか?というかそんなに早く妊娠がわかるものなのか?
そんな事を考えながら坂を下っていると・・・・
アレイトが身振りで合図を。
何の合図か分からんが皆止まる。
そして俺を手招きしてくる。
俺は言われるがまま近づき、アレイトがさす方向を見る。
・・・・居た。
というかめっちゃ近い。
よく向こうに気が付かれないな。
「運がいいんですよ。流石はランナル様!こっちは風下だから、臭いも音も分かりにくいのよ?」
そうなのか?
「じゃあ、そろそろぶっ放すか?」
「ちゃんと守りますからね。」
「それはいいが、技を放っている時は、間違っても俺の前に立つな。あと真横にもだ。俺に近づくのは技を放った後だ。そうしないと味方まで死ぬ事になる。」
「わかった!では・・・・ご武運を・・・・というか運の塊のランナル様に言っても仕方ない?」
「俺を運の化け物みたいに言うな。まあ・・・・相手が人と思う時が引けるが・・・・やるしかないな。じゃあ前に出るぞ?」
俺は一歩を踏み出した。
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