第37話 砦の兵の行方

暫くして、隠密行動の取れる偵察兵・・・・まず一人が戻ってきた。


「人が捕らわれているようです。それも多数。」


・・・・あの何かわからないと言っていたのがそうだったのか・・・・


「人数とかは分からないんだな?」


ヨゼフィーネが偵察から戻った兵に聞く。

「別の者がもっと詳しく調べています。しばしお待ちを。」


そう言って消えた。

あれ凄いな・・・・


「捕虜か?」


俺はヨゼフィーネに聞いてみる。


「もう暫く待ちましょう。それと共に、捕虜の場合の奪還方法を、今から検討しましょう・・・・」


ヨゼフィーネ達軍の幹部数名と、俺、カチヤ・エリーザベト、ヘインチェ、王女4姉妹、親方らチーム9名・・・・ああ、何故かヨゼフィーネの娘もいるんだよな・・・・


で話し合いが始まる。


「捕虜の奪還は魔物が相手なら受け持ってもいいが、そうでなければ魔物の方を俺達で受け持とう。何せ対人は専門外だからな。」

俺はそう言って、捕虜がいた場合、関わらないようにする。

「わかった。だが、状況次第ではそうも言ってられないからな・・・・その時は、ランナル様には大いに活躍してもらわないと・・・」


ヨゼフィーネがそう言っている間にも、偵察の報告が来る。


その間にも、話し合いが続くが、捕虜の奪還方法とか、兵を率いたやり方は専門外だから分からん・・・・完全に丸投げだ。


で・・・・どうやら敵の兵に囲まれているようで、魔物は別の場所に居るらしい。

なら・・・・敵の兵の中には魔物の存在は確認されておらず、そもそも最初のあの魔物は何だったんだ・・・・と思うが、兵と魔物が分かれているのは好都合だな。


「じゃあ、同時に攻めるか?俺はスキルと魔法があるから多数の魔物を一気に仕留める事ができるが。」


軍の中にはそれこそ敵兵を俺がその魔法で仕留めてほしいという意見もあるが、捕虜まで俺の魔法の餌食になりそうだからな・・・・


「俺は敵兵と味方の兵の区別なんぞできんぞ?だから、救出はあくまで軍の方で受け持ってくれ。」


俺はかたくなに拒否した。


なにせ、軍隊は万単位だ。一方魔物を相手にするのはわずか十数名。

基本魔物は魔法で遠方から攻撃しなるべく数を減らし、その後は・・・・近接になるか、さらに俺の技で仕留めていくか・・・・その辺りは臨機応変だな。


そして捕虜の方は・・・・


ヨゼフィーネを始めアマゾネスが100名ほどいるから、個々の力は期待できそう。

ただ、実際の兵の指揮がどうなのか俺は知らんからな・・・・

これは慣れている連中に任すのがいい。


こうして奪還作戦?が始まった。


・・・・

・・・

・・


「本当に宜しいのですか?娘ぐらいは傍においてもいいのに?」


ヨゼフィーネは娘であるアレイトを俺の傍に置きたいようだ。


「あの、伝令を・・・・私が受け持ってもいいよ?」


と言ってくる・・・・そうだな・・・・


「・・・・わかった・・・・こちらも、大事だから親方達伝令に当たってもらおうかな。一人だけでは不十分だ。」


親方以下数名が当たる事に。それと、アマゾネスも数名が伝令に当たる事になった。

あ・・・・親方らのお相手だな・・・・あれ?なら親方らは伝令に行かなくても?

「そうだな・・・・下手に不慣れな伝令は、してもらうとかえって悪手になりえる。アマゾネスだけで受け持とう。」


そう言ってくるヨゼフィーネ。


そして・・・


「・・・・では、御武運を!」


兵は何やら陣形を変えつつ、出発するようだ。


俺は、皆を率い・・・・アレイトは最初はこちらに居てもらい、何かあったらヨゼフィーネはと連絡を取ってもらう事にした。

こちらもアマゾネスに走ってもらわないとな。


俺達は、隠密の取れる偵察兵に案内してもらい、魔物のいる場所へ向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る