第10話

私の名前はナナリー・ハシュナといいます。

父は子爵ね位を頂いているので私は子爵令嬢になります。早くに母を亡くした父は娘の私にそれはもう甘々、でもなく、時に厳しく時に甘くな優しい父です。

明日は父の誕生日なので私は父の誕生日プレゼントを買いに街に来ていました。


「どれがいいかな~」

「旦那様はお嬢様が選ばれた物ならなんでも喜ばれれかと」

「そうなんだけどね~、」


私専属メイドのアシュと一緒にいろんな店を渡り歩きます。こうして悩みながらいろんな物を見るのは楽しいのでついつい浮かれてしまった私はいつの間にかアシュとはぐれてしまったのに気づきませんでした。


「きゃっ!?」


そしてある脇道の前を通ろうとした時にいきなり脇道から腕が飛び出し私を掴むと一気に脇道に引っ張りこんだのです。そして脇道に入った私を待ち受けていたのは汚い格好をした男達でした。

男達は私を汚い部屋に押し込むと床に下ろし、見下すような下品な笑顔をして口を開きます。


「へへ、良いとこのお嬢様がこんなとこ一人で歩いてるなんて危ねぇぞ?」

「そうそう、俺達見たいのに捕まったら二度と家に帰れなくなるからなぁ~」

「うへへ、早く、やっちまおうぜ?」

「まてまて焦るな、大事な商品だ、壊すなよ?」


男達の会話聞いて私は足が震えて立ち上がることができませんでした。

もう、二度と父に会えない?私、死ぬの?など様々な感情が私の中で渦巻きます。そして


「じゃ、とりあえず始めるか」


一人の男が私に手を伸ばします。

私は目一杯叫びました。


「や、やめて!!近寄らないで!!だ、誰か助けて!!父様!!アシュ!!」

「へっへへ、誰も来やしないよ、諦めな~」

「きゃっ!!!!」


男の手が私の肩に触れたその時


バッゴーン!!!!


「なんだ!?」


男達の後ろにあった扉が勢いよく飛んで行きました。私も男達も扉があった方に視線を向けるとそこには一人の少年が立っていました。


☆☆☆


「な、なんだてめぇは!!」


男達の一人が少年に声をあげます。

すると少年は肩の埃を払うように自分の肩を叩きながら


「ふぅ、ようやく見つけました、ここが最近頻発している子供を行っている犯罪グループのアジトですか?廃墟かと思いましたよ」

「てめぇ‥‥」


一人が激情して少年に殴りかかります。

私は「危ないっ!!」と思った瞬間「ぎゃあっ!!」奇声が聞こえたと同時に殴りかかった男が壁の方へ飛び、体を壁に打ち付けられ意識を無くしました。


「「「は?」」」


頭の上に「?」マークを浮かべ飛んで行った方へと視線を向ける男達、そしてそんな男達へ少年は笑顔を浮かべながら


「さてと、ほかの誘拐した人達はどこです?素直に答えたほうがいいですよ?」


そこからは早かった。

男達全員を相手取りながらも少年は無傷で男達を取り押さえ、あとから来た兵士達と一緒に誘拐された人達を解放していきました。


私は助かったと安心からかふと力が抜け床に座り込もうとした時


「大丈夫ですか?」

「!?」


少年が私を支えてくれました。

そして上から覗きこむように優しい笑顔を浮かべて私を見てくれます。そんな彼の瞳に私は吸い込まれそうになり、じっ彼に見惚れてしまいました。


「ちょっと失礼しますね?」

「?きゃっ!?」


彼に見惚れて動こうとしない私を彼は優しく抱き上げ他の方々がいるところまで運んでくれました。その最中も私は彼から視線を外すことができず、ひたすら彼だけをみていました。


その後兵士の方々にあとのことをお願いすると彼はゆっくりと立ち去っていきました。

彼がいなくなり私は激しく後悔をしました。なぜなら私は彼の名前を聞くこともできなかったからです。兵士の方々に聞いても知らないと返答に私は絶望しました。

その後私を探しに来たアシュに連れられ屋敷に戻ると私は自分の使えるすべての力を使って彼を探しましたが見つかりません。


あれは夢だったのかと思い始めたある日

私の前に彼が現れました。


「クルセス・シルフィールです。よろしくお願いします」


これは運命です!!

私は直感し神に激しく感謝しました。

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