第8話

その後赤虫、ごほん、イザークを救護室に運んでいった教師が戻って来ると第一王子を初めとした王族、有力子息が傷をおい、さらには紫髪ことライゼルがぼろ雑巾のように地面に倒れているのを見て泡を吹いて倒れてしまったので仕方なくクラスメイト全員で救護室に運びました。ただし、ライゼルはお嬢様が運びましたよ?さすが優しいお嬢様!!一番重症なライゼルを率先して運ぶなんて!!

‥‥‥だから俺は見てませんよ?ライゼルの足を縄で縛り引きずるお嬢様の姿なんて‥‥‥



☆☆☆


そのあとお嬢様に言い寄る色髪達はそれぞれ帰宅となったので後の授業はかなりスムーズに受けることができた。そして現在お昼休憩でございます。

俺に話しかけたいのかクラスメイト達が俺の所に来ようとしていたが誰よりも早く隣のお嬢様に話しかけられた。


「セス、お昼行くわよ?」

「かしこまりました、お嬢様」

「‥‥‥‥‥」

「?どうかされました?」

「‥‥別に、いくわよ」


お嬢様はなぜか不機嫌になりながら歩きだした。俺もお嬢様の後ろに付き歩く。目指すは食堂、道中お嬢様はちらちらと振り返り俺になにかを言いたそうにしているが、聞いても頬を膨らませるだけでお答えいただけない。


はて?

なにかしただろうか?


食堂に到着、ここでは学生がメニューを注文しそれを受け取り好きな席に座って食べることになっている。ちなみに学食は無料だ。素晴らしいね!!俺はお嬢様とメニューを注文しお嬢様のぶんの食事を持って空いてる席に座る。お嬢様は俺がお嬢様の食事を持つときもなにか言いたげだったがプイッと顔を反らしさっさと歩きだしてしまった。

席に着いてからは軽めの祈りを捧げ、無言で食事を摂る。そしてしばらくするとお嬢様は何事が囁いた。

すると俺とお嬢様の周りに薄い幕が張られたのがわかる。これは周りに声が聞こないようにする結界魔法だ。

魔法には5つの属性があると言われるが実はあと3つ特別な魔法がある。一つは王家の者だけが使うことのできる光魔法、それと何千年も昔にいたという魔王が使った闇魔法、最後に今お嬢様が使った結界などが使える無属性魔法だ。無属性魔法はユニーク魔法とも言われ、その適正がある者は特別な魔法が使える。お嬢様は無属性魔法の適正があり、使えるのは結界魔法、数種類の結界を張ることができる特別な魔法だ。

お嬢様がこの魔法を発動したということはなにか大切な話があるのだろう。俺は黙ってお嬢様の言葉を待つ。


「セス」

「はい、お嬢様」

「朝、私はなんて言ったか覚えてるかしら?」

「‥‥‥‥‥」

「私が言ったこと覚えてるかしら?」


背中に汗が垂れるのを感じる。

こ、これはかなりお怒りだ!!


「答えないセス」

「‥‥お嬢様を愛称で呼ぶようにと‥‥」

「覚えてるじゃない、じゃ、貴方がこの時まで私のことなんと呼んでいましたか?」

「お、お嬢様と‥‥‥」

「「‥‥‥‥」」


ち、沈黙が重い!!


しばらくしてお嬢様は大きなため息をはいて俺を見た。


「長年の習慣だから仕方ないけど、これからはリビアと呼んでほしいわ、私は貴方だけにそう呼んで欲しいのだから」

「お嬢様‥‥!!」

「リビアよ、リ・ビ・ア、それとその敬語もやめてちょうだい?昔みたいにして」

「お、お嬢様、それは‥‥」

「リ・ビ・ア!!いいから!!家にいるときはまぁ、仕方ないけど、せめて、学校では昔のように貴方と過ごしたいのよ」

「‥‥‥‥‥」

「だめ?」


そう言ってお嬢様は下から見上げるように瞳をうるうると潤ませて俺を見る。

お嬢様はずるい‥‥

そんな仕草をされたら断れるわけないじゃんか!!


「わかったよ、リビア、これでいいか?」

「!!え、ええ!!それでお願い!!」


諦めて昔の口調に戻しお嬢様、リビアに確認をするとリビアは顔を赤くさせながらもぱっと笑顔で同意した。


はぁ、旦那様にバレたら殺されるな‥‥‥

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る