第3話
「なぜ俺が‥‥」
俺が旦那様からお嬢様との婚約を言い渡させた翌日、今俺が立っているのは厳格な門構えをした王立学園の校門前、王立学園では13歳から16歳までの貴族子息令嬢が通っており、そこで様々なことを学ぶことになっている。ちなみにこの学園には特待生制度があり年に数名平民の子どもも通っている。
俺が校門を前に立ち尽くしていると背後にいたお嬢様が
「クルセス、いきますよ?」
「あ、はい、お嬢様」
俺が返答するとお嬢様は頬を膨らませ、不機嫌そうに
「違うでしょう?」
「しかし、」
「いいから言いなさい!!これは命令です!!」
「は、はい!!り、りり‥‥リビア」
「はい!!セス!!」
お嬢様の愛称を俺が口にすると背景に薔薇が咲き誇るような笑顔で俺の愛称を口にするお嬢様
なにこれ!?
恥ずかしい!!
そう、朝屋敷を出る際にお嬢様が俺に厳命したのだ
「クルセス、私たちは婚約者同士になるのですから今日から私のことをリビアと呼びなさい!!私はあなたをせ、セスと呼びますから!!良いわね!?絶対よ!!」
顔を赤くさせながら捲し立てるお嬢様、だが俺は眼はそんなお嬢様が気づいてないだろうお嬢様の背後で、すごーく怖い顔で地面に剣を突き刺す旦那様の姿に釘付けです。
とまぁそんなやり取りを経て俺とお嬢様はお互いの愛称を呼ぶことになった訳です。
俺、明日まで命あるかな~?
☆☆☆
「それでは今日から新しく皆さんと共に学ぶことになったシルフィール君です、シルフィール君、皆さんにご挨拶を」
「はい、クルセス・シルフィールです。よろしくお願いします」
俺は担任の教師に促されるまま自己紹介を行う。ここはお嬢様もいる特進クラス、成績上位の生徒を集めたエリートクラスだ。一応入学試験という事で学園に着いた早々俺は試験を受けさせられ、なんとかお嬢様と同じクラスに入ることができた。それとなぜ俺に家名があるのか?シルフィールは義理の父であるアルセスの家名だ。シルフィール家は代々パウリー公爵家に使えており、一応伯爵の位を持つ家だ。義父には子どもがおらず今は養子とは言え俺が唯一の子どもとうことになっている。義父は厳しいがとても優しく暖かい人だ。口には出さないが俺は義父が大好きだ。
「それではシルフィール君の席は」
「先生、彼は私の隣ですわ」
俺の席を決めようとした教師の声に被さるように手を上げたのはお嬢様だった。
それの発言を聞いたクラスは静まり返った。
お嬢様!?
どうするのこの空気!?
ちなみにお嬢様は満足そうな顔をしている。
☆☆☆
「~♪」
「‥‥‥」
結局俺はお嬢様の隣の席になった。
お嬢様は御自分の意見が通った事が嬉しいのかとても上機嫌だ。
対する俺はそれどころではない
先ほどからお嬢様以外のクラス中の視線を感じており、さらにその中には殺意を込めたものあるので正直落ち着かない。
そんな中、
「それではここの問題を、シルフィール君、お願いできるかしら?」
「は、はい!!」
教師に指名を受け、俺は黒板に向かう。
さすがは特進クラスだ。勉強の質がとても高い、俺は感心しながらお嬢様の目の前で無様な姿をさらすわけにはいかないと板書されている問題に挑む、幸いこの問題はそこまで難しいものではない俺はスラスラと回答を書いていく。
そして全てできると教師に向き直り
「できました」
「‥‥‥え、ええ、全問正解よ、席に戻って」
「はい」
何故か落ち着かない教師に疑問を覚えながらも俺は席に戻るためクラスメイトのほうに視線を向ければ皆唖然としており、お嬢様だけが「当然です」と言いたげな笑顔を俺に向けていた。俺が席に着くとお嬢様が俺の耳元に顔を近づけ小さい声で
「かっこよかったわよ、さすが私のセスね!!」
俺はばっとお嬢様のほうに顔を向けるとお嬢様はいたずらをした少女のような笑みをしていた。
や、やめてくださいよ!!
耳弱いんですから‥‥‥
するといっそ強い殺気を感じたので横目でそのほうがくを見ると青い髪をしたメガネ男子がペンを齧りながらこちらを睨んでいた。
それ美味しいの?
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