第294話 黒き翼を羽ばたかせ
「
カナエの悲鳴が響く中、ユニは男に向かって突進し、体当たりした。意表を突かれた相手はそのままユニと一緒に階段を落ちて行く。
落ちて行く仲間に目もくれず、残った男達は再びカナエに銃口を向けた。
「む……」
後ずさるカナエの肩を、後ろから支えた手がある。
カグラだ。
「妹に何をする……!」
黒い鳥の羽がカグラの肩から広がり、カナエの頭上を音も無くカグラが飛んで行く。狭い廊下いっぱいに翼を広げながら、黒い影がぶわーっと男達に迫る。
侵入者二人は銃口をカグラに向け直す。引金が引かれる一瞬の間に、カナエは横笛を思い切り吹いた。
ピーッ!
その音に気を取られ、銃口がぶれる。
その隙を見逃さず上からカグラが『小烏丸』を奮う。
一閃。
青い光が閃き、侵入者達は肩口から血を吹き出しながらその場に倒れた。
「一角殿はどうした?」
黒い翼を小さく変化させ、ふわりと廊下の床に降り立つカグラは妹にユニの
「あ! 我を護るために敵と
「何と!」
翼があるカグラは重力の制限から解き放たれるのか、軽く床を蹴っただけで数メートルも前へ進む。弧を描いて階段へ回り込むと——。
二階からまたもや武装した集団が階段を駆け上がってくるところであった。
「くっ、カナエ! 上へ行くぞ!」
「一角殿は——?」
「わからん!」
翼を出したカグラはカナエを抱えるようにして、屋上への階段を音も無く、ふわと駆け登った。
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます