第293話 カグラの一閃


「武器を捨てろ! さもなくば撃つ……」


 男が言い終わらぬうちに、カグラの刀が閃き、小銃を持つ男の手をいだ。


 一拍おいて、男の手から血飛沫が跳ね上がる。


「ぎゃあああああ!!」


 千切れかけた手首を押さえて、男はうずくまる。


「ふん。無駄口を叩いているからじゃ」


 カグラは男にとどめは刺さず、彼が取り落とした小銃を拾うとカナエとユニの後を追った。





 廊下を走るカナエとユニは階段に向かった。その角を曲がれば階段だ。


「!!」


 角を曲がると、階下から三人の武装した男達が階段を足音高く上がって来た。


「しまった!」


 慌てて急停止するユニの背中にぶつかるカナエ。


「痛っ! ……任せよ」


 男達の姿を認めると、カナエは横笛を取り出した。他人の三半規管を狂わす音色をカナエは奏でることが出来る。


 しかし横笛が発する短い旋律は男達には効かないようである。カナエは知らないが、黒羽リリがすでに音響攻撃に対策装備している侵入者達と対峙している。彼等も同じ装備をしているようであった。


「笛が効かぬ⁈」


 バラバラと固い足音を立てて、男達が二人を取り囲む。銃口をこちらに向けて「抵抗するな」と威嚇される。


 ユニはせめて後輩を護ろうと、正面の男に向かって突進した。


「うわぁああああ!」






 つづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る