第281話 篠宮のゴリ押し


「そんなの、わかんないだろ!」


「篠宮、落ち着け」


「サクラさんまで! まず俺達は籍を入れましょう!」


「落ち着けっ!」


バキッとサクラにどつかれ、篠宮は床にめり込む。さすがに義久よしひさも呆れて、サクラをとがめなかった。


「何人も養子にできるわけないだろ。それにShinomiya が須王サクラを手放すわけがない」


義久がお手上げのポーズを取ると、浅木博士が再び首を傾げる。


「んん? 彼は篠宮会長の息子だから、Shinomiya が彼女を所有するのは変わらないんじゃないかな?」


「伯父さんはどっちの味方なのさ」


「僕は研究出来れば構わないからね。それに彼女の研究を引き継げる研究者はそう多くはないよ。ましてや企業の利益を守る優良な研究者は」


「自分だとアピールしているわけか。忙しい事だな」


突然、低い重厚な男性の声がその場にいた全員の動きを止めた。一斉にその声の主に向かって視線が集まる。


そこに居たのは、上背のある肩幅の広い体躯を、艶のある高そうなダークブルーのスーツに身を包んだ壮年の男性だった。





「会長!」

「親父⁈」



つづく

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