第246話 カグラの攻撃


 カグラが鬼丸チームに気づかれぬうちに上空へと舞い上がった時、ユニのつのが反応した。彼の角はレーダーの役目も持っている。


「あれ?」


「どうしたの、ユニ君?」


「鬼丸先生、上っ!」


 鬼丸と篠宮がユニの声に反応して上空を仰ぎ見ると——。


 三階建ての校舎ほどの高さに、大きな——。


「鳥?」


「違う、カグラだ!」


 黒い鳥の影はみじろぎしたかと思うと、雪玉を放った。落としたのではない、勢いをつけて投げつけて来たのだ。


 重力の助けもあって、それらは爆撃機の攻撃の如く篠宮たちの頭上から落ちてくる。


「ユニ、作った雪玉をよこせ!」


 手のひらに収まる雪玉を鬼丸に差し出すと、鬼丸は落ちてくる雪玉目掛けて、それを投げつける。


 バシュッ!


 上から投げつけられた雪玉に、鬼丸の投げた雪玉が見事に当たって砕け散る。粉々に砕けたそれはパラパラと彼らの上に降り注ぐ。


「そりゃあ!」


 連続投げだ。


 小気味良い音を立てて、カグラの投げた雪玉は次々と壊れていく。


 そうなると、今度はカグラが大きな的になる。上空の影がたじろいだように見えた。


「ふんっ!!」


 カグラの攻撃を粉砕した鬼丸は、トドメの一発を放つ。篠宮の雪玉とは比較にならない速さで、それはカグラの胸へと吸い込まれた。


「ぐわっ!」


 変な声をあげて、カグラの影が揺らめいたと思うと、カグラの背中から生えていた大きな翼が陽炎のように消えて行く。


「あっ、落ちるよ!」


 篠宮が雪の壁から飛び出そうとすると、鬼丸に襟首を掴まれ引き戻される。


「カグラが落ちるってば!」


「真下にウォルフが居る。大丈夫だ」


 翼を失ったカグラが力なく落下して行く。目で追うと、確かにウォルフが受け止める体制で構えていた。そしてそれを狙う攻撃を防ぐために、シュトルムが目を光らせている。


 ——ドサッ。


 ウォルフがカグラを受け止める。


「大丈夫〜⁈」


 篠宮の声に、ウォルフが「大丈夫だ」と返事を返した。


「っ、すごい衝撃だ……」


 ウォルフに抱えられたまま、カグラは顔をしかめた。ゆっくりと白い大地に降ろされると、


「さすがは鬼丸殿であるな」


 と呟いた。そんなカグラの背を、ウォルフは優しく押してやる。


「さ、場外で休んでろ。かたきは取ってやらあ」


 そう言って両の拳をガツンと合わせた。





 つづく

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