第244話 奴らが来たぞ


 篠宮が校庭に雪の壁をいくつか作っていると、いつの間にか鬼丸とシュトルムもやって来ていた。


 ——こいつぁ、えぐい奴らが来たぞ。


 基本的に戦うことが好きなシュトルムにパワーの鬼丸。この二人が雪玉を投げてきたら——死ぬぞ。


「ゆゆゆ、雪合戦するの?」


「おう、面白そうじゃねえか」


 怯える篠宮に、鬼丸はニヤッと笑ってみせた。


「安心しろ、先生は俺が守ってやる」




 なし崩しに始まるチーム分け。


 篠宮、鬼丸、ユニ。


 ウォルフ、カグラ、シュトルム。


「俺、兄貴と組むのかよ」


「別にお前を頼りにはしてない。鬼丸先生と勝負したいだけだ」


 シュトルムの言葉に、「けっ」と悪態をつくとウォルフはそっぽを向いた。


「ルールは簡単。雪玉が当たったらアウト。場外に出ること」


「それとスタートまで時間が欲しい。雪玉を作る時間をくれないか」


 鬼丸の申し出に、皆が頷く。


 ——こいつら本気で投げ合う気だな。


 篠宮はビビりながらもうなずいた。


「じゃあ、五分ね。東側が俺たち鬼丸チームで、西側がシュトルムチーム」


「それと、先生はスコップ持ったままでいいぜ。盾がわりに使えよ」


 ウォルフがニヤつきながら、そう言って離れて行く。


「そうさせてもらうよ!」


 ——ハンデがなきゃやってらんないよ。


 鬼丸のフルパワー弾丸雪玉とか、シュトルムのマシンガン雪玉とか、ウォルフのアサルト雪玉とか、カグラの空から爆撃雪玉とか——くらったらタダじゃすまないだろう。


 篠宮がぶつぶつ言っていると、ユニが寂し気に話しかけてきた。


「先生、僕の必殺技も考えてくださいよう……」


「あ、ごめん」





 つづく

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