第243話 雪合戦

「篠宮先生、壁作って!」


 ユニが雪玉を作りながら声を上げる。


「了解〜!」


 巧みなスコップさばきで、篠宮は瞬く間に高さ一メートルくらいの雪の壁を生み出した。その影に篠宮とユニは逃げ込むと、カグラとウォルフの雪玉をやり過ごす。


 向こうの攻撃が止んだら反撃だ。


 しかし——。


「わはははは! 下手くそめ!」


 攻撃という点では篠宮達は分が悪い。ウォルフは俊敏だし、カグラも素早い動きでけて行く。


「……ユニ君、奇襲攻撃だ」


 篠宮に、雪玉をたくさん作って、と指示されたユニは急いで作り始めた。


「ユニ君は普通に攻撃して。俺はこのスコップで——」




 雪の壁に向かって走るウォルフとカグラが持っていた雪玉を投げようと振りかぶった時——。


 フッと頭上に気配を感じた。


 顔を上げると、雪玉が真上から落ちて来る。


「⁈」


 ウォルフは咄嗟とっさに転がって避けたが、カグラは顔を上げた瞬間にまともに当たってしまった。


「わ!」


「カグラ!」


 叫ぶウォルフに向かって、壁の向こうからユニの投げた雪玉が当たる。


「イテッ!」


「やったー、勝った勝った」


 篠宮がひょこっと姿を現し、スコップを振って喜ぶ。


「なんだよ今の——?」


「ふははは! スコップに乗せて真上に飛ばしたのだ!」


「ずっる! こっちにも壁を作れよ」


 ウォルフが投げ損ねた雪玉を放って来る。勝ち誇った篠宮は余裕で避ける。


「よし、本格的に作るぞ」


 篠宮はスコップをかかげた。





 つづく

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