第240話 雪かきハイテンション


 翌朝、アオバヤマ町はあたり一面真っ白な雪に覆われて眩しいほどの銀世界となっていた。


「うわー、こんな雪、見た事ない!」


 仕事が休みの篠宮は窓を開けて子どもみたいにはしゃぐ。一気に雪崩れ込んできた冷たい空気にぶるっと身を震わせると、彼は慌てて窓を閉めた。


 持ってきた荷物の中にはダウンコートが無かったので先月慌てて買ったそれを引っ張り出すと、袖を通す。


「靴……ブーツは無いなあ」


 手袋を引っ掴むと、篠宮はトントンと階段を降りた。


「おじさぁん、スノーブーツってない?」


 緑風荘の主人は呑気な篠宮の声に振り向くと「古いのならあるぞ」と、玄関口を指し示した。


「ついでに雪かきしといてくれ」


「ええー? しょうがないなぁ」


 篠宮はブーツを履くと、慣れない手つきで雪かきスコップを持って外へ出る。


「うはっ、すごい!」


 20センチの積雪を見るのは篠宮の記憶には無い。緑風荘の玄関口から歩道まで通り道を作りながら雪かきをする。


「なんかテンション上がって来たぁ!」


 篠宮は歩道に出て、学校への道を雪かきし始めた。





 つづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る