第236話 サクラさんは興味がない!


「で、なぜ私の所へやって来るのだ?」


 サクラはスラリとした形の良い脚を組み直しながら、篠宮とカグラを見る。


「何か良いアイディアがないかな〜?  っと」


「ウォルフの相手を知りたいと? 放っておけ。他人の恋路を邪魔するものではない」


「邪魔なんてしないですよ! 応援です!」


「応援か?」


「はいっ!」


「野次馬みたいな?」


「はいっ!」


 あ、しまった。


 飛んでくるサクラの手刀をはっしと受け止めると、篠宮は口元をひきつらせながら答える。


「じょ、冗談ですよう……」


「では、やめるのだな」


 サクラはそう言って手を下ろす。そこへ、カグラも会話に加わった。


「サクラ殿は気にならぬのか?」


「ウォルフだろう? おおかたエメロードに贈るのではないか」


 カグラはその返答にニヤリとする。


「それがそうでもないようだぞ。別の相手らしい」


 サクラは片眉を上げた。


「ほう」


「興味あるのではないか?」


「無いとは言わんが、首を突っ込む気は無い。忙しいのでな」


 サクラは月末の『例の実験』を思い浮かべて、眉をひそめた。


 相変わらず、『向こう』へ送った探査機からは地形や大気の情報は送られて来る。だが新たに何かを送る事は出来ない。


 ——『向こう』とつながるには、おそらく時期が決まっているのだ。


「さあ、用がないなら出て行け」


 サクラは篠宮とカグラを職員室から追い出した。


 ジト目でカグラが篠宮を見る。


「何?」


「職員室を追い出される教師というのも珍しいな」





 つづく

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