第193話 行け、篠宮!


 サクラは篠宮の頭をつかんでレディに向かって投げつけた。


「ぎゃー!」


 その悲鳴に、レディが振り返る。振り返った彼女は驚きに目を見開いていた。


「撃て!篠宮ーッ!」


 サクラの指示に、篠宮の身体は条件反射する。今までサクラの言うことは自然と受け入れていた為、素直に従ってしまったのだ。


 人間ミサイルとなったまま、空中からレーザーを放つ。


「きゃーっ!」


「すみませーん!」


 謝りつつ篠宮の撃ったレーザーは、レディの胸を射た——が、ポインタには当たらない。


 しかし——。


 どかーん!


 人間ミサイル、命中。






『えー、皆さん大丈夫ですか?』


 中継用ドローンから、トキワの戸惑いに満ちた声が流れて来る。


 一花いちかはレディの『首固め』によって気を失ってしまい、レディは篠宮の頭突きをくらっての気絶。篠宮はその反動で目をぐるぐる回して倒れている。


『協議の結果、まずレディ君は直接的な攻撃を行った為、失格でーす』


 スピーカーの向こうからどよめきが漏れてくる。何か大騒ぎをしているようだが、サクラは知らない。自分達が賭けの対象になっている事を。


『それから一花さんは体調チェックの為、退場とします。今、救護班が出ます』


 サクラはトキワの声にうなずいた。


『それから篠宮先生は——』





 つづく

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