第188話 襲撃と乱入


 一花いちかの押しの強さに、サクラが呆然としていると、ユニが「僕が運びましょうか?」と申し出た。


「いや、お前はレーザーライフルでの援護を頼む。いざとなったら二人を連れて逃げろ」


 サクラがそう答えると、ユニは黙ってうなずいた。





 端末の画面を見ながら中央広場を目指す四人。相変わらず、鬼丸と篠宮は動いていない。


 そしてレディと、白井ユキのアイコンも中央広場で動きを止めた。


「みんな、止まって」


 一花が声をかける。


 皆、足を止めてレーザーライフルを構え直した。サクラも電波塔をゆっくりと地面に下ろした。


 一花も手にしていた端末を閉じて近くの木の根元に置く。


「では、行くわよ」


 四人はうなずき合うと、六花ろっかとユニを先頭に歩き出す。少し離れて、一花とサクラが二人を追う。


 サクラは電波塔をレーザー砲に変型させて担いだ。最後の一撃を使うのは一花の予定である。


 やがて広場が見えて来た。


 手入れがされていない広場は秋の枯れ草で覆われているものの、上を見れば抜けるような秋空がのぞいている。


 森の樹々をここだけ丸く切り取ったようにぽかんと開けた場所である。


 その広場の向こう側に、レディが腕組みしながら立っていた。白井ユキはその後ろに縮こまるように控えている。


「レディ先生、武器を持ってない……」


 ユニの呟きを、一花は聞き逃さなかった。確かに何も持っていない。腰のホルスターにはハンドガンの代わりに、彼女が持ち込んだ手鏡が挿してあった。


「そういえば、レディ先生はライフルを壊してたし、ハンドガンは投げ捨てていたわ……」


 六花も昨日の襲撃を思い出した。


 一方でユキは片膝をついてレーザーライフルを構えている。ユニと六花はその二人を囲むように左右に分かれた——その時、六花の左手側から、の声が飛んできた。


「もらったぁ!」




 つづく

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