第187話 決戦の朝


 翌朝、明るい光に白井ユキが目覚めると、すでにレディは起きていて、身だしなみを整えていた。


 いつものように美しく妖艶な姿を見て、ユキはため息をつく。


 自分の寸胴体型を思うと、自分もいつかあんなスタイルに成長するのか疑わしくなってしまうのだ。


 ユキの起床に気がつくと、レディは艶然と微笑んだ。


「さあ、支度をしなさい。行くわよ」





 一方、あまり寝ていない一花いちかは端末のアラームに飛び起きた。


 生体端末カリギュラの位置情報システムに設定範囲を超えて移動があった場合に、警報が鳴るようにしておいたのだ。


「誰が移動したのかしら……?」


 画面を開くと、早朝から動き出したのはレディと白井ユキである事がわかる。


 二人はこちらに向かっているのではなく、森の中央にある広場に進んでいた。


「鬼丸達と合流する気か?」


 サクラも一花の気配に気づき、起きてきて画面を覗き込む。一花は首を振った。


「篠宮先生達は動いていないです」


「鬼丸はともかく、篠宮はまだ寝ていそうだな」


 一花はとりあえず六花ろっかを起こそうと振り返る。そこにはユニと仲良く寄り添って寝ている六花の姿があった。


 …………。


 二人が仲良くしているのを見ると、少しイラッとする一花である。


「起きなさーい!!」





「ふあ……眠ぅい」


「私だって眠いわよ!てか、私より寝てるでしょ!」


「まあまあ、一花。それよりもアレをどうする?持って行くか?」


 怒る一花をなだめつつ、サクラは電波塔——つまりあの重いレーザー砲を持って移動するかと聞いたのだ。


 なぜ移動するか検討しているかと言えば、レディ達が中央広場で移動をやめたからだ。おそらく二人は待ち構えている。


「もちろん、持っていきます!ギリギリまで位置情報取得の為、電波塔のまま持っていきますよ!」


「おお、一花がすごいやる気だ」


「だから重い物はサクラ先生が持って下さい!」


「ええー……」




 つづく

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