第148話 みんなで出来ること
「だから、なんでまた私の所に戻ってくるのだ⁈」
サクラはやっと篠宮が居なくなったと思ったら、また戻って来たので思わずそう言ってしまった。
「しかもみんなを引き連れて!」
篠宮の後ろにはゾロゾロと生徒達がついて来ていた。
「サクラ先生ー、なんかやろうよー」
ユキが明るい声を出す。それを皮切りに皆が口々に喋り出す。
「俺はかぼちゃ身体を描いて作る美味しいりたい」
「何を言っているかわからん!」
サクラの一喝にピタッとおしゃべりがやむ。ふう、とサクラはため息をついた。
「企画がまとまってから私に言え」
「サクラ先生もやってみたい事、ないんですか?」
「私が?」
サクラは考え込むが、秋は秋だ。いつもそう過ごして来たのに、みんな今年は篠宮に影響を受けているらしい。
「お前達で決めて良い。決まったら私も参加する。今から客が来るから、さっさと出て行け。それから鬼丸は残ってくれ」
そう言ってサクラはきゃあきゃあ騒ぐ篠宮と生徒達を追い出して、ピシャリと戸を閉めた。鬼丸はどかっと応接セットのソファーに腰かけた。
「客は——カエデか?」
「ああ、資材について打ち合わせをする」
「急に始まったな。どうした?」
「——Shinomiya に監視を強化される前に全てを用意しておきたいと思ってな」
「その割にはアイツのせいとは言わないな」
「——計画が早まっただけだ」
まあいいさ、と鬼丸が呟いた時、カエデがやって来た。
「さて、話を聞こうか?」
「運動会、というのはどうだろう?」
篠宮が提案すると、生徒達はお互い顔を見合わせた。
「それは無理ではないか?エメロードや黒羽先輩が参加出来ないだろう」
カグラが即座に反対する。
「そうだよなぁ。なんかないかな?……秋といえば新人戦だよな。部活でもあれば対抗試合とか出来そうだけど」
篠宮がぶつぶつ言っていると、ユキが手を上げた。
「追いかけっこやってみたいです」
「そんな子どもみたいな事ができるか」
「カナエちゃん、自信ないんでしょ」
「そんな事はない!だが個々の能力差が大きいだろう。カグラは飛べるし」
それを聞いていた篠宮が指を鳴らす。
「いいね!ハンデを付けるか、能力がない人には道具を持たせるとか」
「それなら差は埋まるかもな」
ウォルフがうなずく。カナエは慌てて反対する。
「待て待て、本当にそんな遊びをするのか?」
「カナエちゃん、やっぱり自信ないんでしょ?」
ユキがからかうとカナエはぷーっと膨れる。
「そんなわけなかろう!我はカグラと逃げるぞ。絶対捕まらんからな」
そこへ再び篠宮が指を鳴らした。
「いいね!チーム戦も面白そうだね!」
「ちょっと待て!おい、篠宮とやら。勝手に黒板に書くな」
つづく
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