第27話 一花VSレディ
旧校舎から出て来たのは、鬼丸、レディ、白井ユキ。その後ろに見た事の無い男子生徒が二人。
一人は漆黒の黒髪に黒い制服を着込んでいる。もう一方は銀髪に上衣を脱いだ白いワイシャツ姿。よく似ているが対象的だ。
さらにその後ろに額に一本角のある男子生徒と、小柄な男女の双子がつづく。
鬼丸とレディは皿を持っていた。色とりどりのサンドウィッチが盛られている。
「レディちゃん、ありがとう!」
「みんなで作ったのよ」
「座って、座って」
と、篠宮が勧めると、先にいた徳田六姉妹とレディ達の間にバチっと火花が散った。
「……」
「……ここ、座るわね」
さすがにレディの方が大人だ。異質な容姿に目を奪われるが、中身はきちんとしている。
しかし無言で向かい合うαクラスとβクラスの様子に、篠宮は気まずい思いをしていた。
なんで向かい合っているんだ。これじゃあ、何かの対決みたいじゃないか。
「えと、ほら、向かい合うんじゃなくて、輪になって座るんだよー」
彼の呼びかけに、何となく皆がじりじりと動き、
「サクラさん、コップとか配ってくださいよぅ」
「甘えた声を出すな、気持ち悪い」
「あら、それなら私が配ります」
「回していけばいいだろう。次は割り箸を回す」
ご、合理的?
いや、義務的だなぁ。
篠宮が鬼丸から回って来た紙皿を隣のレディに渡す。
意識しているわけではないけど、ボディラインそのままの身体に目をやると、向かいの六姉妹から何か投げつけられそうなので、篠宮はぐっと目に力を入れて彼女の首から上を見るように気をつける。
そうやってレディの顔を見ると、
篠宮の心臓がどっくんと鳴る。
それに感づいたのか、
絶妙。
このままレディに見惚れてしまうところであった。
「あ、俺——お茶がいいな」
サクラさんは、と篠宮が見ると、校長にウーロン茶を渡していた。ついでに鬼丸にも勧めている。
篠宮はサクラの隣を押さえるべきであったと後悔した。
だって、あのサクラさんが俺にお茶を渡してくれるなんて、滅多にある事じゃ無い!
そうは思っても、
切り替えの速さは少なくともアオバヤマ町随一である事は間違いない。
篠宮が見渡すと、皆がそれぞれ近くの者のコップに飲み物を注いだり、飲み物を入れたコップを渡したりしていた。
αクラスとβクラスの境目は六花と額に一本角のあるかわいい系男子だった。
なんだろう、あの角。
鬼丸と同じ『鬼』なんだろうか?
ともかく、違うクラスなので壁が出来るかと篠宮は心配したが、六花の方が気さくに飲み物を渡しているのを見て安心した。
むしろ飲み物を渡された、一本角の男子の方が驚いているようだった。
「みんな、飲み物は手元にあるかな?では、乾杯の挨拶を、鴫原校長先生にお願いします!」
篠宮はいつの間にか企画兼準備兼司会になっていた。
つづく
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