第18話 女子高校生の質問?

 心が傷付いたサクラはそっと教室を出た。廊下の窓からは旧校舎が見える。


 あちらの生徒にも学習端末スケアクロウが故障中である事を伝えねば、とサクラは少し憂鬱になりながら、そちらへ足を向けた。





 一方、篠宮は六姉妹の質問攻めにあっていた。


「篠宮先生の好きなタイプは?」


「先生の好きな食べ物と嫌いな食べ物は?」


「どこに住んでいるんですか?」


「連絡先教えて下さーい」


「……」


 篠宮は六姉妹の中で、一番隅っこにいる子に目を向けた。他の五人と違って、言葉少なだ。


「え、と……六花ろっかちゃん?」


「えっ?」


 六花ろっかは顔を上げる。

 篠宮の目と六花ろっかの目がパチリと合う。


「えっ、えっ?」


 あまり男性と接した事のない六花ろっかは戸惑う。思いがけず顔が赤くなるのが自分でもわかった。


 かーわいい!


 それを目にした篠宮は自然とニヤける。


「あっ、六花ろっかばっかりずるい!」


 きゃあ、きゃあと他の五人が騒ぎ出す。女子高校生の騒がしさは篠宮にとっては、心地よい音楽だ。


「好きな食べ物は唐揚げ!嫌いなものは内臓系。住んでいるのは——ええと、この町唯一の旅館INN『緑風館』、あと連絡先は今朝渡されたこの端末スマホなんだけど……」


 そう言って篠宮はスマートフォンを取り出す。見た事のない機種だったが、アオバヤマ町ではこれしか使えないから仕方ない。


「あ、これ知ってます。スタッフィーの試作版じゃなかったかなぁ。私たちのスタッフィーを呼びますね」


 一花が左耳に指を当てて動かす。生体認証端末カリギュラを動かしているのだろう。程なく、どこからともなく六体の小鳥型ぬいぐるみ——スタッフィーが飛んで来た。


「うわー、飛んで来たよ⁈」




 つづく

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