第17話 学活という名の質問タイム

「まず、本日は一校時目は学活だな。一花いちか、何か議題はあるか?」


 サクラに促され、一花いちかは「はぁい」と返事した。


「篠宮先生への質問タイムが欲しいです!」


 へ?


 サクラは再び耳を疑った。そして瞬時に理解する。この子達は篠宮が珍しいのだ。正確には外の世界から来た人間が。


「許可する」


 サクラは自分は教壇を降り、篠宮に後を任せた。彼はウキウキしながら中央に立つ。


「はい、何でもいいよー」


 きゃー!という嬌声と同時にみんなが挙手する。


「はい、はい、はぁい!」


「えーと、一花いちかちゃん?」


 篠宮から見て右手一番前の席は徳田一花だったはずだ。それに直前にサクラに名指しされていた。


「正解!一花いちかでーす。えっとぉ、先生は彼女とかいるんですか?」


 座ってデスクに頬杖ほおづえをついていたサクラがズルッとコケる。


一花いちか!」


「まあまあ、サクラさん。いい質問じゃないですか。えー、彼女ね、今はいないよぉ」


 ヘラっと答える篠宮を横目で見ながら、サクラはツッコむ。


「今は?」


「えー、いや、前もいないっスけどね」


 それを聞いた六姉妹は再び黄色い声を上げる。


「きゃあ、カワイイ!」


 カワイイってなんだ?


 サクラは生徒にもツッコミたくなる。篠宮は頭をかきながら、あははと笑っている。


「なんか微妙にモテないんですよね」


「微妙とか誤魔化すな!」


 サクラのツッコミにブーイングが入る。


「サクラ先生、邪魔しないでー」


「じゃ、邪魔?」


 ガーン。


 今まで、影に日向にこの子達をきたのに、そんな事を言われようとは。


 サクラだってねてしまう。

 うら若い女教師は、常日頃つねひごろ気を張っているので、実は何かと傷つきやすいのだ。




 つづく

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