第7話 徳田姉妹
「あ——、え?」
戸惑う篠宮を尻目に、サクラは教室の中に入っていく。さっさと来い、と言う目線を送られて、篠宮は少しだけ緊張してサクラの後に続いた。
「先生、その人は?」
生徒の誰かが質問しているのだが、篠宮にはどこから聞こえてくるのかわからない。
何度見返しても、みんな同じ顔である。可愛い顔が一斉にこちらを見ている。
考えようによっては可愛い少女が六人いる訳だ。悪くない。いや、すごく良い。
篠宮の頬が緩んで、例のヘラヘラ顔になる。
「紹介するときくらい、その顔をやめんか!」
サクラの怒声に、彼は慌てて真面目な顔を作る。
キリッ。
「……えー、今日からこの学校に赴任して来た篠宮ツカサ先生だ。担当教科は現代国語と古典、漢文、その他文系教科を担当する」
「えっ……?ちょっ……」
「挨拶せよ!」
「はいっ、篠宮です。よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げると、「きゃーっ、かわいい!」と言う六つの声が投げかけられた。
彼が驚いて顔を上げると、六人は嬉しそうにはしゃいでいる。反対にサクラは苦虫を噛み潰したような顔で、「静かに!」と注意する羽目になっていた。
これは、良い予感!神様、素敵な職場をありがとう……。
篠宮がへらーっとニヤけると、サクラが彼の後頭部をスパンッと叩いた。
「その顔をやめろというのに!手前の右の子から時計回りに
まさに可愛らしい花のような少女達だ。見分けがつかないけど。
「えーと、六ツ子…ですか?」
頭をかきながら一番初めに紹介された
「はい。いわゆる六ツ子です」
六人は
何故か背中がこそばゆくなりながら、篠宮は再び頬を緩める。
スパンッ!
今度は出席簿でのツッコミが入った。
「痛いなぁ。何すんですか、もう!」
「うるさい!女子生徒を見てニヤニヤするなッ」
「……やきもちですか?」
「アホかぁ!」
つづく
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