数年後
数年後。
カラーン、カラーン。
「幸生何ボーとしてるの?」
「ん、ああ、あの修学旅行を思い出してて」
「ん、その話題はやめて。あれ私の黒歴史だから…」
「いや、そんなこと言うなよ。俺とりんのなり初めなんだから」
「絶対にあの思い出は消したい。舞夢に完全、騙されただけだもん」
「まあ、そう言うなって」
「でも、私あのおかげで学校…」
「そうは言ってもあの3泊4日があったおかげで俺たちは出会い、結ばれたわけだから」
「んーー。今更過去を振り返っても仕方ないよね。なんたって、私は今IT社長の玉の輿なんだから。私、完全に勝ち組なんだから」
「玉の輿っていい方は品がないだろ。社長の妻って言ってくれよ普通に」
ジーーー。
「どうしたんだよ、りん。さっきからジーーーと見つめて」
「だって、さっきから私のウエディングドレス姿のこと全然触れてくれないんだもん」
「今まで触れなくて悪かったよ…でも、すっごく綺麗だ。可愛いすぎてさっきまで言葉を失ってただけだよ」
というか、その姿で動き回っていいのか?
「ちょっと褒めすぎじゃない?」
「俺は事実を述べたまでだよ」
りんは一気にカァァァァと顔が赤くなっていく。
「あ、ママーー、パパーー」
「おー雪葉」
俺に雪葉は抱きついてくる。
「雪葉、あんまりはしゃいじゃダメよー」
「うん、わかった。ママ今日すっごく綺麗で素敵だね」
「え、そお?雪葉に言われるととっても嬉しいなぁ〜」
雪葉の頭をりんが撫でる。
俺が褒めた時より喜んでるな。ん、あそこには…
「あ、あそこにおじいちゃんとおばあちゃんがいる。雪葉、今日一日はおじいちゃんとおばあちゃんと一緒にいるんだよ。わかったか雪葉?」
「うん、わかったーー」
「じゃあ、行ってこい!」
「うん、行ってくる!」
雪葉は手を振りながら俺たちの側から離れていった。
「りん、花嫁がこんなところにいていいのか?」
「あ、やば」
「急いで行って転ばないように」
「うんー。分かってるー」
なんかフラグのように聞こえたのは気のせいか?
今日は俺とりんの結婚式だ。
「りーーん。夜楽しみにしてるからなーー」
「えーー今日ーー?」
あの3泊4日が俺たち2人を結びつけた。俺は最初、じゃんけんで負けた俺とホテルの予約を取った先生を恨んだが、最終的にこういう終着点に着いたんだから感謝しなくちゃいけない。あれから、いろいろな事があった。今、俺はとても幸せだ。どれもこれも全てあの3泊4日があったからだ。あの3泊4日から始まった。
きっと俺たちはあの3泊4日がなければこうはならなかった。たったの3泊4日だが、俺たちにとっては大きすぎる3泊4日だった。
・・・
俺は、いや、俺たちはきっとあの3泊4日を忘れないだろう。
3泊4日 sueoki @koueki
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作者のくだらない呟き/sueoki
★0 エッセイ・ノンフィクション 連載中 222話
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