3日目③

俺らはバスに乗ってホテルに戻る。

戻る時のバスの俺の隣は優也だ。めっちゃ静かだな。スマホでゲームしてる。もうちょいなんか俺に構ってくるかと思ってた。まあ、隣に座った時すぐに

「俺バスん中静かだからよろ」

「おっけ」

というような会話があった。俺は適当に返事を返してしまったわけだが、いつももっとガンガンと来るから静かだとちょっと怖いな。いや、これがいつもの優也か。学校だと俺から話しかけない限り優也と話す機会ってそんなにないもんな。今回、修学旅行が特殊なケースだっただけか。別に人見知りするタイプとかじゃなくて、話す事に重点を置いてないだけだ。

まあ、俺的にはあの話題に触れないだけ助かるけどな。

「あれ、後ろの席にいるの幸生と優也じゃん」

前の席にいるやつが後ろを振り向いて俺たちに気づいてそう呟く。そう呟いたのは雄真だ。

「お、前にいたの雄真だったのか」

「俺も今気づいたわ」

まあ、みんな雄真の隣のやつが気になるだろうと思うけど今回は無視させてもらう。ここで出すと出すとでめんどくさいからな。ここで、隣いそうなやつを想像するとわざわざ新キャラ出さないといけなさそうだからな。

「幸生お前どうなんだよ」

「何が?」

「いや、何がって。決まってんだろ。同部屋の彼女との事だよ」

お前が今回はその役目か。まあ、尺の関係上このエピソードは必要だから仕方ない。

「まあ、ここに来る前にちょっと話したかな」

あ、やべ。あんまり変なこと言えないな。俺話し始めると声がでかいからみんなのところにまで声が届いちまう。そうなるといろいろまずい。

「俺声でかいから小さい声で話させてもらう」

つか、もうこの話やめてほしいんだけどな。もう飽きたよ。代わり映えしないし、内容も展開も。でも、必要だからな。仕方ない。

「何かあった?」

「かなり直球だな」

俺は視線を雄真から優也に移してみる。優也はスマホを閉じ、興味有りげに話を聞いている。

「やった?」

「優也、口を開いたと思ったら直球過ぎないか?雄真より、ど直球なんだけど」

「え、そこまでいったの?」

「雄真勘違いしないでくれ、そこまでいってない」

俺は首を横に振って否定する。

「え、その様子だとガチでなんかあったの?」

優也が食い気味に聞いてくる。めっちゃ冷静にそして、興味が眼から伝わるような感じで。

「…少しお話をしたかな。まあ、仲良くなるいい機会だしな。ほら俺らって女子との関わり皆無じゃん。だからさー」

「チッ、お話だけかー」

「優也、今の舌打ちは…」

「ん、気にしなくて大丈夫だから」

「そ、そうか?」

「お前、どうしたいんだよ」

雄真がタイミングを見計らって俺がどうしたいか聞いてきた。

俺は…

「俺は普通に仲良くなりたいだけだけど。俺の高校生活に華を少しでも持たせたいから」

「お前に欲というものはないのか!」

雄真に突っ込まれる。

「え、そお?」

「いや、普通これはチャンスだろ。だって、男女2人が同じ屋根の下だぞ。明らかにいいシチュエーションじゃねぇか。お前が押し倒せばワンチャンヨユーでいけるっしょ」

「中々雄真氏は考えますね」

俺にそんなことをしろと?やっといい感じに関係を築き上げれそうな時にいきなりそんなことやったら嫌われるだろ。

まあ、あの人が本当はとんでもないビッチ野郎ならありかもしれないが。本当にビッチだったら1日目から押し倒してるんじゃないか?

「あの人がビッチでもない限り無理だろ」

「見た目ビッチぽくね?」

優也がなんともまあびっくりなことを言う。

「まあ、確かにそんなん感じする雰囲気出してるところあるよなー」

雄真が優也に賛同する。

いや、まあ、俺も思わないとは言えないないがそんなことあるか?しかもこんな田舎の学校でだぞ?中々そんなやついないだろ。そんな噂聞いたことないし。

「だから、襲われたって大丈夫だって」

優也が俺に親指をあげてドヤ顔で言ってくる。

「いや…俺はみんなみたいに飢えてないし、硬派な人間だ!絶対にそんなことしない!」

俺はドヤ顔って決めてやった。

「ふーかっくいいー」

「よっ、イケメン!」

この2人完全に俺を弄んでやがる。

この状況どうにかならないものか…

それよりも、りんがビッチか…

ははは、まさかね。そんなわけある筈ない。だって1日目何もなかったんだぞ。2日目に至っては部屋にすら入らせてもらえなかったし。いや、まさか今までのはフェイクで最初から3日目に照準を合わせていたとしたら?いやいや、それはない。確かに、部屋にいる時は風呂上がりとか色気出してきたけど俺誘ってたとかじゃなくてただの素だろ。偶に天然なところあるからな。それが出ちゃっただけだろ。だって、ビッチなら裸見られたら俺を誘惑してくるだろ、絶対。それがなかったってことは白だ。きっと白だ!近くにいるクラスメイトは実はビッチでしたなんてあんま聞きたくないしな。今のままでベストだ。

まあ、話が盛り上がりながらバスは進んでいく。流石にこの話題はこの後すぐ終わって別の話題に移っていたがな。


ここでバスりんサイド。

「りん、今日の夜どうするの?」

私に話しかけてきたのは舞夢だ。

舞夢は私の後ろの座席に座っている。

ちなみに私の座席は窓側じゃなくて通路側の位置で舞夢はその真後ろの席にいる。

だからか、横から顔をと手を出して私によってくる。

別に普段なら全然いいんだけど、今回もいつものパターンだと思うから嫌なんだよねー。

「夜どうするってどう言うこと?」

「そのままの意味。貴山君も仕留めないと」

「仕留める!?」

優子が横で驚いている。

私の隣の席は優子が座っている。

「だって、りんは貴山君のこと好きなんでしょ?」

「え?!?!そんなわけ…」

「いやだって、顔赤くなってるよ」

「え、そんなこと…」

私は外のガラスを見た。

よく分からない。

スマホのカメラの機能を起動して自分の顔を見てみた。

・・・

「特に何もなってないじゃん」

「さっきはなってたよー。多分少し時間だったからかな?」

「ねぇ、優子も私の顔が赤くなってるの見た?」

「えーと、私は・・・」

優子は舞夢の方に視線をやる。

「うん、りん顔赤くなってたよ。私も見たよー」

「えー、本当にーー?」

絶対優子は見てないよね。

舞夢の方に視線やったもん。

「好きなんでしょー。りん早く認めなよー」

「んんんんん…」

「そう言う悩んでるってことはーー」

舞夢が煽ってくる。

「まあ、りんが貴山君のこと本当に好きか分からないんだらさー」

優子が流石に加勢に入ってくれた。

でも、ここまでくると…

「…好きかも」

誰にも聞こえないような声で私は無意識のまま発した。

私は咄嗟にに口に手をあてた。

多分、この時の私は顔が真っ赤になってたと思う。

いや、この後すぐに自分の顔が真っ赤になってる事実を知ることになる。

「あれ、りん顔真っ赤にしてどうしたの?」

まず、私が顔が真っ赤になってることに気づいたのは優子だった。

「え、りんどうしたの?なんかさっきボソッとなんか言ったような気がしたけど」

今度は舞夢が私を見ながら言う。

「え、いや、何も…」

「え、すごい顔真っ赤じゃん。どうしたの、どうしたの??」

舞夢がすごい聞いてくる。

私はどうしたらいいんだろう。

「…ねぇ、私どうしたほうがいいと思う?」

「え、いきなりどうしたの?え、え?」

私は顔を手で覆ったまま舞夢に聞いてみた。

舞夢はいきなり聞かれて動揺していると思う。そんな感じの素ぶりしてる感じで言ったから。

この後起きたことは恥ずかしすぎて話したくない。だから、ここでは語らない。いや、絶対に後になってからも秘密にする!


はぁ〜〜絶対黒歴史確定だよ。

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