3日目②
ドンッ
俺がそんなこと思ってると誰かが俺にぶつかってきた。きっと、わざとだろう。誰だろうな。
「よう!」
「あー亮か!」
なんだ亮か。まあ、こんなことする可能性がある奴なんて限られてるからな。
あ、こいつの名前は佐々井 亮(ささい りょう)。見た目はめっちゃ濃い顔立ち。身長は175ぐらい。体格が結構いい。
こいつは他クラスの友達だ。俺の数少ない他クラスの友達だ。
こいつとの関係性が気になるやつも多いと思うがここは一旦置いといてもらう。
まあ、多分二度と説明する機会は訪れないと思うがな。
「お前めっちゃ有名人だぞ」
「あ、ガチなんだ。そっちにまでいっていたとは…」
いやー、マジでやばいな。こいつに事を説明したら余計大変な事になりそうだし、一部の修正しか聞かないし、どうするか」
「女の子と同じ部屋でイチャイチャして羨ましいと思ってたらあの噂が流れててどう言う事だよ?」
「あーそれは話すと長くなりそうだけどいい?」
「いつもなら、長そうなら聞く気全然起きないけど今回のは気になるから聞かせてくれ」
「いや〜実は・・・と言う事なんですよ」
「お前マジか」
「どう思うこれ?」
「ガチで嫌われてるか、ツンデレか」
「ガチで嫌ってるなら一切会話ないと思うんだけど」
「いや、女は男と違うからな。普通に会話もするかもしれないぞ」
「それメンタル強すぎじゃない?」
「でも、見た目メンタル強そうじゃない?」
「んー、確かに言われてみると…」
「嫌われてないなら逆にチャンスじゃね」
「え、チャンス?」
「女を落とすチャンスだよ」
「え…?」
「こういった特別な事が起きている時の女はちょっと崩しやすい。これは運命みたいな感じでゴリ押しが通りやすい」
「崩しやすいって…落としやすいじゃないの?」
「落とすんじゃないの?」
「いや、相手を崩すんだよ。脆くなったところを落とす!」
「結局落とす…」
俺にそんなことできるのか?
「あっちから好意を向けるようななんか行動なかったか。そう言うのがあれば、確実な決め手になるんだけどな」
「好意を向けるような行動…」
そんなのあったか?
「だって好意を向けてくるってことはその人の事が気になってる証拠だろ。好きな証拠だ」
俺はガチで考えている。そんなことあったっけなー。
「お前ガチで悩んでるじゃねーか。お前こそ、好きなんじゃねぇの?」
「え?!」
俺が好き?りんのことを?
こんなこと考えてるのってそう言う気持ちが俺にあるからなのか?そうなのか?
俺は少しの間呆然としていた。
「おーい、大丈夫かー」
「あ、ああ。大丈夫」
俺は何やってんだ。変に意識すると取り乱しちまう。冷静になれ俺!
俺は腕時計を見る。
「あ、そろそろ準備しないとやばくね?」
「あぁ〜、まだ大丈夫だろ」
「俺部屋に帰ってなくて準備してないから帰らせて」
「あ、そう。あ、ついて行こうかな」
「亮は戻んなくていいの?もうホールにいるの俺らぐらいしかいなけど」
「大丈夫、大丈夫。集合時間まだでしょ」
俺は腕時計をチラッと見る。
「まあ、確かにまだ時間あるね」
「じゃあ、俺も一緒に行くわ。どうせ暇だし」
「いや、それはやめてくれ。俺ら2人でルールと決めたから」
「ルール?」
「お互い、他の人を部屋に入れないってルールを決めたんだよ。揉め事防止の為に」
「え、そうなの?ルール決めるとか考えすぎだろ」
「俺が後で何かあったら困るじゃん」
「いや、お前じゃなくてどっちかというとあっちの方だろ。襲われんのはあっちだろ」
「いや、冤罪とか。俺襲ってもないのに襲ったとか言われても困るし」
「いや、相手性格悪すぎだろ」
亮は笑いながらそう言い放った。
「つか、お前用心深すぎじゃねーか」
「男女で同じ部屋なんだから警戒することに越したことないっしょ」
「なんか仲よさそうな感じだな。そんなルール決めるとか」
…確かに。話をできる、聞いてもらえる人じゃなきゃルールは決められないな。
「まず、絶対手を出さない自信があるならそんなルール決めないだろ。あえてルールを決めて自分を抑制してるとしか考えられない」
「俺が欲の塊だということでしょうか」
「まあ…そうとも言えるかな」
「俺そんな風に見える?」
「見えなくもない。いつもの感じだとわからないが」
「そうか…」
聞かなきゃよかったこと聞いた気がする。
「まあ、俺もう戻るよ」
「え、もう戻んのか?」
「流石にそろそろ戻んないとやばいでしょ」
「連れねーなー」
「じゃあ、俺行くわ」
「いや、待てよ。俺も戻るのわ」
「取り敢えずエレベーターに乗りましょうか」
俺たち2人はエレベーターに乗った。
「で、女の子と2人屋根の下のこの宿泊生活どうだった」
「思ったよりもいいものだったかな。今日の朝のこと以外は」
「意外とひきづってるじゃん」
「まあ、リターンが意外と大きかったからな。まあ、天罰が下ったと考えれば妥当だろう」
「リターンって?」
「この話は修学旅行が終わったら、話す機会があったら話すよ。絶対に誰にも広めないことを前提で」
「いや、めっちゃ気になるんだけど。今聞かせて欲しいんだけど」
「今話したら絶対広めるでしょ」
「うん広める。多分口が勝手に話してるわ」
だろうな。そう思ったよ。亮はおしゃべりだもんな。いや、人間みんな大体おしゃべりだもんな。
「さっき言った事もなるべく広めないで欲しいな」
「いいじゃんさっきの話は」
「絶対余計なこと言うでしょ」
「ああ、分かっちゃった」
笑顔で答える。
俺は頭を抱えた。
「勘弁してくれ…」
「で、さっきの話の続きは…」
と言ったところでエレベーターが開く。ちょうど俺が降りる階だ。
「俺ここだから」
俺はそう言って降りる。
「おー、マジタイミング最悪だわー」
亮はここで降りるのをちょっとがっかりしてる様子だった。そりゃそうだろ。ちょうど話が盛り上がってたところだし。
「幸生じゃあなー」
「亮もじゃあねー」
俺は亮に別れを告げる。
エレベーターは閉まっていく。
閉まるまでずっと亮は笑いながら手を振っていた。
俺も閉まるまで手を振り続け返した。
俺はすぐに部屋に戻る。
りんはちゃんと部屋に居た。
そのため、俺がドアを叩いたらすぐ出てきてくれた。
まあ、ここで出てこなかったり、ずけー嫌そうな顔で出てきたら100%嫌われてることになるんだろうな。見た感じだとそのような様子はない。少し安心だ。そんなこと言ってる場合じゃない。準備しないと。
りんも俺も静かに準備している。
ん、3日目はどこ行くのか聞いてないって?ああ、教えてやるよ。今日はディズニーランドに行く。あ、まず少し東京観光をして昼前までにはディズニーについてそこから遊ぶらしい。夜のパレード見えるかはちょっと微妙って話だけは聞いたけどな。
こんな時、可愛い彼女と回れたらなって思う事がたまにあるが俺にそんな関係を持ってる女性いないし、希望を持つだけ無駄だな。
え、りんを誘ってみればいいんじゃないかって?いや、別に俺ら付き合ってるわけでもないし、そこまでいい感じのところまでいってないんだけど。下手に誘って引かれても困る。どうせ、女子の友達同士で回る約束してるだろうしな。きっとそっちの方が楽しいだろう。
え、勇気出して話題を振ってみろってか?嫌だよ。もうこれ以上なるべく干渉しないようにしようと思ってるんだよ。…いや、話題を少し振ってみるぐらいはいいかもな。せっかくだしな。
…今までの俺ならこんなこと思わなかったな。
「いやー今日のディズニーランド楽しみだなー。小学校の時一回行った事あるだけでそれ以降行った事ないからめっちゃ楽しみだわー。りんもディズニー楽しみ?」
「え、私??!」
話を振られるとは思ってなかった様子で、いきなり話しかけられて少し驚いている。
そして、俺は重大なミスをしたかもしれないと気づいた。
いきなり、りんって馴れ馴れしく名前を呼んじゃったけど大丈夫かな…普通に鈴宮さんって言えば妥当だったかな。
でも、俺元々人を苗字で呼ぶのあんま好きじゃないんだよな。苗字の方が呼んでみてしっくり奴はいいんだけどそれ以外はなるべく名前かあだ名で呼びたいんだよな。これ、俺のポリシー。まあ、高校入ってから特にこのポリシーが完全に守られてる感じしないけどな。
あと、いきなり話題振って対応できないよな。だって、戸惑ってるもんりんさん。
「…何回ぐらいディズニー行ったことある?俺一回しか行った事ないんだけどさ」
「えーと、私は結構行ったことあるよ。ランドもシーもどっちも結構行ってるかな」
「へぇ〜。いいなー。俺一回しか行った事ないから実は今日結構楽しみにしてたんだよね。前来た時は家族で来たし、友達と一緒ならどうなのかな〜って」
「私もあんまり友達だけで来たことないなー。今までは結構家族で一緒に来ることが多かったかな」
「ぶっちゃけ何回ぐらい来たことある?」
さっき誤魔化してたからな。俺に気を使って隠したのか?俺そんなこと気にしないタイプだから全然話してもらっても構わないよ。
「んーー。シーは多分2回だと思うけど、ランドは何回来たかなー?」
そんなに行ってるんだ…なんか羨ましいな。
「1年に何回ぐらい通ってるの?」
「いや、そんな何回も行かないよ。年に1回行くか行かないかぐらい」
いや、俺からしたら十分だよ。なんで、俺はこんなに僻んでるのだろうか。別に今俺はりんと話してるだけなんだけどな。
ん…亮や優也の言った言葉を思い出した。
俺があちらのことが好き…
あちらがこちらのことを好き….
意識するとテンパってなんかミスりそうで怖い。
意識しないようにしないとな。
「えーいいなー。俺なんてもうほとんど記憶にも残ってないよ」
「そお?」
いや、行ってない人からしたら羨ましい限りだろ。
実はりんはこと時幸生のことについて考えていた。
(いきなり話しかけてくるなんてどうしたんだろう?しかも、話題がディズニー。今まで部屋の取り決めの事とかしか話をあっちから振ってこなかったのにどうしたんだろう?)
「ディズニーのキャラクターで何が好き?
俺は…何が好きだろう?」
(自分で聞いておいて自分で悩んでる…何やってるんだろ。元々こういう話をするタイプじゃないよね。ディズニーにそんな興味ないんじゃないの?正確にはディズニーに詳しくないだけ?)
「私はシンプルにミッキーが1番好きかな」
「へぇ〜王道行くねー。俺はチップとデールのコンビが好きかな。ミッキーなんで好きなの?」
こんなこと聞くのはおかしいのかもしれないがここで話を切らすわけには行かない。せっかくの仲良くなれるチャンスだから。流石に俺は高校3年間をむさ苦しく終わらす気はないぞ。まあ、それも悪くないとは思ってるがな。俺も健全な男子高校生なんでな。それじゃ物足りなさがある。高校生活に華があった方がいい。
なんやかんや俺らは話が続き時間を忘れるほど…に近い状態で2人で話に夢中になっていた。
に近いという状態と言うのはお互いちょくちょく時間を気にしてたからだ。もしかしたらあっちは集合までの時間つぶしのつもりなのかもしれない。まあ、俺はそれでもいいけどな。って俺は恋する乙女か!!
「あ、そろそろ行かないとまずいね」
「鍵は俺が持ってくよ。いつもそっちに持ってもらってるわけだし」
「うん、よろしくね」
俺はりんから鍵を受け取って、りんが部屋を出た後、荷物の確認と部屋の中を確認してから部屋の鍵をかけて俺は部屋を後にした。
そして、ディズニーに到着。
今回は途中の移動時間をカットさせてもらう。カットする理由は面倒くさいから。
ディズニーでの話もなるべく手短くする予定。というより語るような内容もあまりないのでここはあまり時間をかけない。だって、ディズニーを楽しでる様子を執筆したところで2人の物語に進展は起きません。もうこれはネタバラシになるかもしれないが、ディズニーはお互い勝手に楽しんでそれで終わった。だから、2人の物語を描くこの小説では手短に終わらせたい。一緒に回ることになったりしたらたくさん書くことがあったと思うがまあ、そこまでうまく行くはずない。この物語の概要は淡い物語だからな。
まあ、俺は楽しく過ごせたかな。ちゃんとお見上げも買えたし、大体満足だったかな。もうちょい乗り物に乗りたかった気もしなくはなかったが、概ねは納得のいく内容だった。
りんも楽しそうだった。
ん、なんで俺がそんなこと知ってるかって?…別によくすれ違ったとかよく行動を見ていた、そんなんじゃない!終わった時の表情が満足そうな笑顔だったからだよ。え、見てるじゃんって?
・・・。
ノーコメントで。
これって淡い物語だったよな。
偶にりんが俺をチラ見するのも気になるし、どうなっていくんだろうこの物語…
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