2日目④
その日夕食を取り終えた俺たちはホテルに帰ってきた。先生に言われたのは基本は自由だが、羽目は外しすぎないように。後は、ホテルからは出ないこと。でも、目の前のコンビニへ行くのは自由に行く事を許可する。俺は優也と一緒にコンビニに行ってお菓子とかを買を買っていた。ん、なんで1日目にこの説明が無かったかって?完全に忘れてただけだ。昨日はコンビニ行かなかったし。今日は優也がなんか腹減ったわ、なんか買いに行こうって誘いがあってそれに俺はついて行っただけだ。全く優也のやつ晩飯しっかり食えばこんなことにならず済んだのに。優也のやつ晩飯の時、俺そんな食えないから幸生にあげるわとか言って俺に飯を渡してきた。その時、全然食べなかった所為で今に至っている。
そして、今はコンビニを出たところにいた。
「幸生戻んなくて大丈夫?」
「あ、やべ早く戻らねぇと。俺行くこと伝えこなかったんだった」
「いや、LENEで伝えればいいじゃん」
「…一言目がハードル高い。ガチで用がある時以外はちょっとなー」
「お前ヘタレかよー」
「そう言われてもなー。俺別にあの人のこと狙ってるわけじゃないし」
「お前嘘言ってんじゃねーよ。丸っきり狙ってるだろ」
「え?!そう見えるのか?」
「自由行動の時見つめ合ってただろ。幸生あの人のこと好きなんだろ」
「…あの時のやつ優也見てたのか」
「ああ、バッチリと」
「そうか…」
なんてことだ!俺にしてはつまらないミスをしてしまった!てゆうか、周りから見た俺はあの人のことそんなに意識してるのか?
俺たちは歩き出してホテルの自室に戻ろうとする。歩いていると優也が、
「多分あっちも幸生のこと好きだから押せばいけるって」
「え?あっちも?」
「いや、そうでしょ。あんだけ2人で見つめ合えば。気があったり、好きじゃなきゃあんなことしないでしょ」
え、やっぱそうなの?いや、待て待てあっちがそうだと俺は違うけど?
「いや、俺は違うんだが」
「いや、お前こそ目線がすぐいくじゃん」
「なに、マジで?」
「自分で気づいてないの?」
「・・・」
俺は口が開いたまま言葉が出なかった。
え、なに?じゃあ、この俺の気持ちっていうのはやっぱり恋というやつなのか?いや、どこに惹かれる要素あった?あっちの失態のおかげでサービスシーンが多くあってよかったがそれは健全な男子高校生としての気持ちや感情の話だろ。俺はりんのどこに心動いたんだ?
分からない、分からない、分からない。
俺は今りんのことが好きって状態なんだよな。何がきっかけなんだ?理由は?全く分からない。
「ちょっと優也に聞いていい?」
「なに?恋愛相談ならばんばん聞くけど」
そういえば、高2始まるぐらいまで彼女いやがったリア充だったな。卒業までしちゃってる漢だったんだった。最近は冴えない奴らのところにいた所為でそういう面影が少なかったけどそういえばそうだったな。経験豊富なんだった。…だからこそ、こいつには相談したくはないな。こいつ、彼女別れてからはゲスいことよく考えるようになったり、人の不幸を見て喜んだり、人の恋愛事情が何故か気なったりやばいやつだからな。基本的には優しいいいやつなんだけどな。
だから、こいつには相談したくないって言うのが本音。なに言われるか分からないから。応援する可能性もあれば彼女か俺を貶して落としてくる事もあるからどうするべきか?まず第1に俺があの人のことが好きってことで話が進んでいるが本当にそうなのか?ただ、俺が女子の扱いがわからなくて困ってるだけなんじゃないか?
「いや、やっぱなんもないわ。もう少しで部屋に着くし」
「ああ、そお?LENEでもなんでもいつでも待ってるから」
「お、おう」
多分頼ることはないだろう。…誰にも。俺の周りってこう言う相談できるやついないなって改めて分かったわ。
ススス
あ、エレベーター止まった。あ、着いたっぽいな。
「じゃあ、また後で行くわ」
「おう。進展あったら報告よろ」
「…おけ」
俺は優也に一時の別れを言い、自室に戻った。
俺はドアの前で立ち止まった。そして、思った。鍵開いてる?女の子が不用心に俺の為に鍵を開けておくはずがない。開けてて1人だったために襲われたとか言ったらたまったもんじゃないからな。俺はドアノブに手をかけ回した。案の定鍵がかかっている。って当たり前だよな。ホテルなんだからオートロックだから、鍵ないとドアが開いてない限り入れるわけないわ。
俺はドアを叩く。
コンコン。
・・・。
反応がないな。LENEするか。さっきあんだけどもったいぶってたけど仕方ない。
→→→
俺はドアが開いてないから開けてほしいとLENEを送った。
・・・
既読がつかない。なにしてんだろ?まさか、部屋にいない?部屋にいないならいないでいいんだけど。
俺はそれから15分待った。
ヴー
ん、LENE来たかな?
俺はLENEを開く。お、来てる。えーとなになに…
お風呂入ってて気づいてなかったごめん。
今開けるから待ってて。
俺は
分かった。
よろしく。
短く返した。
ガチャ。
鍵が開いた音がする。ドアが開きりんが隙間から覗いてくる。
「ごめん、お風呂入ってて」
「いや、別にいいよ。出てきてくれたし…ってえぇ!!な、なんで?」
「??」
なんで俺が驚いてるかって?それはな、りんがお風呂上がりたての状態でタオル1枚巻いただけの姿で出てきたことに気づいたからだ。昨日あんなことあったのにまた懲りずにこんな姿で出てきたのか。胸元が見えてちょっとエロい。
「あ…早く入って。気づいて急いで出てきたから」
りんは自分の胸元を見て恥ずかしそうにしながら言った。
「あ、うん…」
俺ら2人は急いだように部屋に駆け込んだ。
りんはすぐに着替えに戻った。
…こうなることを予想して決まりごと作ったつもりだったんだけどな。俺が遅くなりすぎたってことか。後で謝ったほうがいいのか?俺も風呂に入る準備するか。風呂というかシャワーを浴びる準備を。
ガチャ
「ごめん、待ったでしょ」
「いや、俺こそごめん。帰ってくるのが遅くなった」
「いや別にそんなことはいいよ」
りんは頭にタオルを巻いた状態で今日も部屋着姿だ。なんか少し顔が赤い気がするけど気の所為か?
「でも、わざわざ急がなくてもいいよ。あんな姿で出てきてもらっても困るし…」
カァァァ
りんは顔を赤くして下を向く。
「じゃあ、俺入ってくるから」
「…分かった」
りんは顔を上げないまま返事をした。
あれ、そういえば中々うまく会話できてるんじゃないか?おー、2人の親睦が深まったってことか。なんか嬉しいな。こんな状態になっても女子と話せない仲良くなれないとか流石にやばいもんな。よかった。なんか安心したわ。俺はそんなこと思いながらシャワールームに入っていった。
ガチャ
俺が出てきた時、りんは昨日と…一緒だ。少し話しかけてみるか。
「上がったよ」
りんは俺に目線を上げる。
「…うん」
微妙な反応。まあ、仕方ないか。
「この後どうする?」
「昨日みたいな感じでいんじゃない」
「そうだね」
「戻る時はLENEちょうだい」
「わかった」
そんなやりとりをして俺たちは部屋を後にした。
俺は昨日同様に高河の部屋に行った。
俺は高河たちの部屋のドアノブに手をかける。
ガチャ
あれ、開いたぞ?うまく、閉めてなかったからか。え、でもなんでわざわざ開けておいたんだ?まさか、中に誰もいないとかありえんのか?いや、それはないか。流石に不用心過ぎる。今現在、誰でも入ってどうぞーな訳だ。つまり、誰かがここの部屋には居て人を待ってるもしくは解放してるわけだ。じゃあ、勝手に入っても大丈夫だな。
俺は取り敢えず少しだけドアを開けて中の様子を見てみる。
真っ暗なんだが、どういうことだ?あいつら何やってんだろうな。なんか静かすぎないか?
俺はなんか怪しいと思いながらもそのままドアを開け中に入った。
俺は暗くて何も見えないから部屋の明かりをつけた。
あれ、誰もいない?どういうことだ?何故誰もいない?ドア開いてたじゃん。え、ミスってよく閉めてなかったとかなのか?いや、不用心過ぎだろ。あぶねぇな。俺が出て行く時はしっかり鍵閉めておこう。
「あれ、なんで幸生が俺たちの部屋にいるの?」
誰かの声が後ろから聞こえた。俺は咄嗟にに振り向いた。そこに立っていたのは、
「なんだ、恭輔か。いきなり人が来るはずもないのに声掛けてきたからめっちゃびびったわ」
「いや、それはこっちのセリフなんだけど。なんで、幸生が俺たちの部屋に?どうやって入ったの?」
「いや、ドアがよく閉まってなくて鍵がかかってなかったから入れたんだけど」
「え、それマジ?」
「まじ、中に人居てわざとかと思ってたら、まさか、入ったら誰もいないから驚いたわ」
「おーい、高河、何やってんだよ〜」
「高河はどこ?てゆうか、みんなどこ?」
「え、みんなは郎陽のとこ行ってるよ」
「あ、だからここにはみんな居なかったのか」
「それだけじゃなくて何人かはコンビニ行ってるっていうのもある」
「恭輔もコンビニ行ってたの?」
「そう俺も高河も行ってたんだけど、高河とか他の人は郎陽の部屋に直で行ったんだけど俺は部屋に用事があったから一旦戻ってきただけ」
「あーなるぼど」
「あや、でも、まさか鍵がかかってなかったのは驚いたわ。最後に出たの高河だから後でこの分何かしてもらわないと」
「おーそれいいなー。俺も便乗しよっかな」
「いいよいいよ、ばんばん便乗してもらって構わないから」
「やったぜ。恭輔から許可もらったから好きにし放題だぜ。楽しみだな〜」
まあ、そんなことを話しながら恭輔は用事を済ませ、俺たち2人は郎陽の部屋に向かった。その途中、雄真とすれ違った。
「あれ、雄真。どこ行ってたの?」
恭輔が雄真に話しかける。
「え、雄真も郎陽の部屋に行ってたんじゃなかったの」
俺はてっきり雄真も行ってるもんだと思ってた。
「俺は別のクラスのやつのどこ行ってた」
「あーそうだったの」
「それでどうしたの?戻ってきて」
俺、恭輔の順に反応する。
「いや、財布取りに来たんだよ。みんなでコンビニ行くことになったんだけど俺部屋に置き忘れてたことに気づいて取りに来たんだよ」
「あーそうゆうことだったの」
「そう、そうゆうこと。じゃあ、俺行くわ」
「おう」
「いってらっしゃい」
俺は返事、恭輔は見送り、俺たちはその場を後にした。
・・・
「あ、ここ」
「ああー、ここだったのか。なんか騒がしい声が聞こえるなと思ってたけど」
「そっか、幸生部屋別の階だからみんながどこにいるのかいまいち分かってないのか」
「んー、しおりに書いてあったのよんで覚えているつもりだったけど、うる覚えのようだったわ」
「なんか大変だね」
「俺を心配してくれる人間がいるだけで俺は嬉しいよ。涙出そう…」
「いや、大袈裟だから…」
俺たちがドアの前でそんなこと話していると。
ガチャ
なんとあっちからドアが開いたのだ。俺たちが開けていないのにもかかわらず。
「おーお前らも来たかー!!!」
出てきたのは郎陽だった。
俺の率直な感想を述べさせてもらう。やたら、こいつテンション高くてキモい。みんなもこの場にいたら多分俺と同じこと思うと思うぞ。絶対隣にいる恭輔もそう思ってるだろうから。いや、マジでなんでこいつここまでテンション高いんだよ。なんか、俺たちがおかしいみたいじゃねぇかよ。いや、確かに俺は今回の修学旅行に来てテンションが高かった思い出が無いがな。まー、立て続けにあんなことあればこうなる。俺ならな。俺は自分の安全と平穏な日常を第一に優先にしているからな。つか、ほとんど俺が原因じゃないよな。あっちが原因だよな。俺悪くないよな?まあ、取り敢えず中に入らせてもらうか。
「ほらほら入れ入れ。今、ちょうど盛り上がってたところだから」
「今何やってたの?」
恭輔が郎陽に問う。
「ん、今みんなで人狼ゲームしてたんだよ」
「人狼ゲームのアプリ使って?」
今度は俺が聞く。
「そうそう。優也がアプリ入れてたから、やる?みたいな雰囲気になってみんなでやり始めたら盛り上がっちゃって」
「ヘェ〜、お前ら面白そうなことしてんな」
俺は適当な感じで感心したような返事をした。でも、正直心の中ではガチで面白そうだと思っている。早く混じりたいな。
「2名様追加〜〜」
「いや、俺はやらないよ」
恭輔はやらないと拒否する。
「なんでだよ〜。幸生はやるよな?」
「ああ、やる」
「はい、取り敢えず1名様追加〜〜」
こいつなんか楽しそうだな。おっと、こんなこと言うのは失礼か。ごめんよ、郎陽君。
俺たちはそんなこんやでやっと入り口から解放され、中に入ることが許された。
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