第4話 お掃除の時間

 

 

 前回の火炎放射騒動により、私達への清掃活動の依頼は軒並みキャンセルされた。

 そして多分その件で今日は朝早く、役場にミミと共に呼び出された。

 役場に着くと、アストロが疲れきった顔をしながら奥のイスに座っていた。

 てっきり激怒しているものだと思っていたので、ちょっと安心した。

 アストロは少し申し訳なさそうな口調で私とミミにこう告げた。

「お掃除の依頼があります。」

 その言葉を聞き、てっきりもう仕事が無いものだと思っていた私とミミは安心した。

「それで、どこの掃除なんですか?」

 ミミがアストロに尋ねた時、アストロは震える手でなんらかの書類を差し出した。

 その書類には

「大型犯罪シンジゲート進出の可能性あり」

 と大きな文字で書かれ、その下に構成員と思わしき動物達のリストが書かれていた。

「この犯罪シンジゲートの正式名称はモンキーマウンテンと言われる世界を股にかけた犯罪組織だよ・・」

 アストロのその言葉を聞き、隣に居たミミは驚いた顔をしていた。

 まぁコ〇ンで言う黒づくめの組織みたいなもんでしょ。

 そんな軽い気持ちで考えていた私であったが、アストロが発した言葉によって事の重大さに気付かされる事になる。

「二人には、この組織のお掃除をしてもらいます。」

 あーそう言う感じの話か、なるほどね。

「すいませんお腹痛いし後歯も痛いし他にも痛すぎるんで帰っていいですか?」

 こんなの関わる必要性無いからね。

「そもそもこの世界警察とか居ないんですか私達役場の職員ですよ?」

 私が尋ねた問いにアストロはこう答えた。

「イヤ、警察は有るには有るけど組織として小さいし絵里さんが問題ばっかり起こすから頼まれちゃったんだよ?」

 アストロのその言葉を聞き、ミミは帰り支度をし始めた。

 まぁ逃げようとするミミを麻縄で縛り、アストロの説明を聞いた。

 要約するとギャングを壊滅させろ。

 と言う事らしいしとりあえず装備品を整える事にした。

 ミミは最後まで反対していたが、アストロが土下座しようとし始めたのでしぶしぶ了承してくれた。

 まぁ原因である私への怒りは治まっていなさそうである。

 今回一番気をつけないといけないのは背中かも知れない。

 

 〜今回の装備〜

 

 さて、今回の私の装備はこちら‼︎

 なんかギャングっぽいグラサンと黒服

 お馴染み火炎放射器

 爆発物やナイフ等

 手作りの布マスク

 まぁこんなものか、いざとなりゃの〇太の如く猫型ロボット呼んでタイトルコールすりゃ良いしね。

 なんやかんやで出発の時間

 どうやらギャングの隠れ家は村の端にある廃工場らしい。

 元々パト〇オットなる物を作っていたらしい。

 毎度の如くバスで最寄りのバス停まで乗っていこうと思っていたが最寄りどころかほとんど目の前に工場がある程近かったので、正直めちゃくちゃ焦った。

 とりあえず裏口から入る事にした私達だったが、裏口にも黒服を着た猿の構成員が二人仁王立ちしていた。

 あ、成程モンキーマウンテンって猿山って読むもんね。そりゃあ猿ですわ。

 ここを突破しないと中に入る事が出来ないので、とりあえず初手安定の煙爆弾を投げてみた。

 すると、思いの外慌てていたので、ミミと一緒に戦闘系漫画でよくある首トンをして意識を刈り取った。

 トランシーバーや鍵等を盗みついでに拳銃も奪っておいた。

 起きられた時困るので猿ぐつわを噛ませ近くにあった古びた倉庫に入れておいた。

 無事工場内に侵入出来た私達だったが、そこに突如として四匹の猿が現れた。

「フフフ・・こんな所で役場の職員と会えるなんてね・・」

「そうだな兄貴、コイツ最近話題の人間だと思うから楽しめそうだぜ・・」

「しばくぞゴラァ‼︎」

「ウッキー今年は申年ィ」

 イヤ、どう考えてもおかしいだろ。

 絶対も〇う大先生とガ〇ダムのあの人でしょこれ。

 第一最後の分かる人いるのか?

 四匹の猿のうち「兄貴」と呼ばれていた猿が前に出てきた。

「とりあえずこの四天王を倒してかr

 ガッ!

 ヤッベつい殴っちまった。

 プ〇キュアやロ〇ット団ならまだしも、猿は知らん。

 名乗りを聞く道理など無い。

 私は動物達は好きだがこの世界に来て分かった事が一つある。

 この世界の動物達は人間と同じように明確な意思を持って行動しているので、正しくない動物達も多くいる。

 そんな動物や生意気なWii パッドは叩くしかないのである。

「え?何、普通そこで殴る?」

 明らかに困惑している弟っぽいのにも首トンを決め意識を奪う。

 さてと、次は先生とガ〇ダムの人だけだ

 

 それから、も〇う先生っぽい猿とはポケモン勝負をした。

 勝率8割7分1厘の私には勝てんよ。

 次はガ〇ダム勝負

 普通に勝てた。

 さてと、お馴染み猿ぐつわを噛ませて奪うもん奪って道を進んで行く。

 

 

 そして、遂に工場の一番奥。

 即ち元々の工場長室に辿り着いた。

 ドアを開けるとそこには・・・・

 

 

 樽を持ったゴリラが居た

 

 

 

「皆さんお待ちかね!ミミの一気にツッコミコーナー‼︎」

 ミミの何かが切れる音がした。

 スゥ・・・

 ミミが完全に全集中の呼吸をし終わった後、弾幕の如くツッコミが飛んできた。

「これ役場の仕事じゃねーから!どう考えても機動隊の役目だから!大体猿四天王噛ませだった上に先生ネタしつこいんだよ!こっちがどんな気分でポ〇モン観戦してたか分かってんのか?そして極めつけはド〇キーコングかよ!樽投げてたの懐かしいなおい!」

 ミミはまくし立てるように連続ツッコミをした後、手榴弾を投げまくった。

 当然アジトは大爆発。

 爆発に巻き込まれた私やド〇キー、ミミは病院で全治二ヶ月と診断された。

 

 

 後日。犯罪シンジゲート壊滅を成し遂げた私(松葉杖)と、ミミ(頭に包帯)はアストロから給料アップを告げられた。

 普段の私ならとっとと封筒受け取って競馬だが、生憎治療費で一銭も残らなかった。

 その時私はこの世界に来て初めて本気の涙を流した。

 

 

 そういや新台入荷今日だったな、病院抜け出そ。

 

 皆は病院抜け出しちゃダメだぞ!クソほど叩かれるからな。それにこの期間は外出もパチスロも止めとけ。お姉さんとの約束だ。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る