第3話 清掃活動1日目


 

 今日はいい天気!

 この世界に来てから一週間、なんとかこの世界にも慣れてきた。

 ここでの生活は対して困った事も無い。

 ただ一つ気になる事があるとするならば、ここに来てから一週間の間、役場の職員っぽい仕事をしてない事である。

 カジノの視察も、名前変えただけの観光だし他の仕事もロクな物が揃っていなかった。

 例えばの話だが、もやしの買い占めをさせられたり、人気投票でコイルを一位にしたり等の煮チャンネル民御用達の仕事等があった。

 しかし、今日は違う。

 今日は村総出で行われる清掃活動の始まりである。

 この村での清掃活動は三日間に渡って続けられる。

 三日の間色んな所の清掃活動をするらしい。

 とりあえず役場の職員っぽい仕事が出来るそうだ。

 まぁ働きたくない、働かないが信条の私だぶっちゃけどうでも良い。

 しかし、空気感を味わいたいと言うのも事実である。

 それに、清掃が終われば対価と称して住民の毛をモフれるしね。

 そんなこんなで出勤時間。

 役場に着くと、ミミとアストロが待っていた。

「遅い」不機嫌なミミに軽い謝罪をし、アストロに尋ねる。

「今日はどこら辺の清掃するんですか?」

 アストロの説明をまとめると、初日はジャングルに行くらしい。

 ツッコミたい気分だったのだが、実はこの私、昨日もカジノで半日パチスロをしていたので、今日は低燃費な絵里ちゃんで行く事に決めているのだ。

 私が遅れて来てしまったので、三人で少し急いでバスに乗り込む。

 私はジャングルとやらに行った事が無いので、どんな所か少し楽しみだった。

 バスに乗っている時に寝てしまったので正確な場所は分からないがスマホを開くと三十分も経っていたので、役場からかなり遠い場所にあるのだろう。

 バスから降りて改めてジャングルを見ると、確かに熱帯の方にありそうな木がたくさん生えていた。

 少し歩くと広場が有り、そこには大勢の動物達がいた。

 その場にいた動物達の全体的な共通点としては、猿や虎等のジャングルに生息している様な動物が多いと言うところだろうか。

 アストロが広場の前に置いてあるステージの上に立って簡単な挨拶をした後、清掃の説明をし始めた。

 要約すると、ゴミを拾ったり草を抜いたりとごく一般的なものだった。

 道具等は最初に広場に置いてある物(数日前にアストロが持ってきたらしい)を使うそうだ。

 とりあえずそんな感じで話が終わり、後は自由に清掃活動をするらしい。

 私は出来るだけ楽して働きたいので道具フル活用でやる事にした。

 私の座右の銘は「働か無くても食べさせてよ‼︎」だぜ?真面目に働く気などハナから無い。

 そんな事言いつつも生きていく為に働かなければいけない。

 パチスロで疲れた精神と目を気遣いながら、広場の道具を物色する。

 ん?えーとなになに?

 鎌、箒、手袋やゴミ袋等の一般的な物ばかりだ。

 しかし、奥の方にもなにか置いてある。

「火炎放射器」そう書かれた機械が置いてあった。

 これ使えばすぐに草焼けるんじゃ、そう思った私は火炎放射器の説明書を読み始めた。

 

 

 

 私の名前はミミ!

 いつもいつも絵里ちゃんに振り回されてばかりの可哀想なウサちゃんだよ!よろしくね。

 今日は自由行動で絵里ちゃんとも離れてるし、トラブルに巻き込まれる事も無さそうだから私はラッキー♪

 そんなミミの淡い希望を打ち砕く様に、どこかで火炎放射器のスイッチが入った。

 

 私は火炎放射器を持ち小さな草原の様な場所に来た。 

「よし!ゼロから始める除草生活の始まりですわ。」

 ブオオオォ!!

 轟音と共に勢い良く炎が噴射される。

 あ、私とてアホでは無いので消化器もたっぷり有るからすぐに火は消すよ!

 だから、読書の絵理ちゃんファンの皆も安心してね。

 火炎放射器から出た炎は無慈悲にも草を焼いていく。

 ある程度焼いたら消火し、を繰り返し私は次々と草を焼いていった。

 

 

 

 アレ?普通に草抜いた方が楽じゃね?

 私もそう思った。

 しかし、普通に草抜くより格段に楽しい上日頃のストレスも一緒に焼いている様な気分になってくる。

 さあ!ドンドン焼こう!

 

  

   

 さてと、焼いた焼いたー

 すっかり辺りは焼け野原、気持ち良かった。 しかし、やはり動物と言った所かどこからとも無く焼け焦げた匂いを嗅ぎ付けて、アストロがやって来た。

 アストロは何故か立ったまま気絶していた。 

ゾロゾロと他の動物達もやって来た。

 何故か皆バタバタと倒れていった。

 



  

 その後、気絶していたアストロや他の動物達が起き出して事情聴取が始まった。

 ガチの火炎放射器が置いてあった事をアストロに指摘したのだが、届けに来た時にはそんな物は無かったと言う。

 証拠は受け取りを担当した動物の証言によって確立したので裁判が逆転する事も、成歩〇龍○が出て来て助けてくれたりはしなかった。

 ド〇えもんより今は弁護士ヒュー〇ギアが欲しい気分になった。

 本当に火炎放射器が置いてあった経緯が分からないと言う事で、今回の件は不問という事になった。

 しかしむっちゃ怒られた。

 

 

 とりあえず波乱の一日目は終了した。

 私達はバスに乗って一旦役場に帰った。

 本来なら一晩泊めてもらう予定だったそうなのだが、私の所為で泊まりづらくなったのだろう。

 ちなみに帰る為バスに乗ろうとした時に猿の子供に石を投げられた。

 親も注意して無かったので、私はあそこで

 大炎上ってね。

 ははは、草も生えんわ。

 

 

 とりあえず疲れたので家に帰って寝る事にしました。

 そして、ベッドの中でうとうとしながらふと思った。

 誰が火炎放射器置いたんだ?

 答えが出る前に私の意識は眠りに落ちた。

 

 

 

  

 とある夜、役場の中で管理人はある書類に目を通して深い溜め息を吐いた。

 彼の手の中にある書類には、

「大型犯罪シンジゲート進出の可能性あり」

 と、書かれていた。

  

  

  

 

 

 

 

 


 

 

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