第2話 ギャンブル回
私が村に来てから三日が経った。
二日目から役場の仕事が始まったのだが、なんと職場の先輩が初日に金を毟り取ったミミだった。
ミミは初めて会った時とは違う生ゴミを見るような目で私を見ていた。
少し、少しだけ泣きたくなった。
まぁ私が千パーセント悪いので何も言えないが。
しかしミミは私と違い、なんだかんだ言いながら優しいので、色々と仕事ついて教えてくれた。
やっぱり性格いい女の子ってモテるの当然だと、この私が思う程ミミは色々教えてくれた。
だから私はモテなかったのだろうか?
しかしながら、私とて全くモテなかった訳でも無い。
幸せになれる花瓶を特別な値段で売ってくれたり等、優しい男の人は沢山いた。
まぁ私とて馬鹿では無いのでそれが釣り商法である事も知っていた。
それからは動物の毛と酒とパチスロに溺れる毎日が続いた。
さてと、私の不幸話を聞いていても何も面白く無いので、本題に入ろう。
実は、この村にカジノ施設が出来るそうなのだ。
余り色んな人達を敵にするのは嫌なので多くは語らないが、カジノ法案とかいうものが私が来る二ヶ月程前に成立しており、なんと今日オープンするそうなのだ。
そして、私はこの世界の管理人であるアストロと、先輩のミミと一緒に視察をしに行かなければならない。
ぶっちゃけ視察などどうでもいいのだが、仕事と称してカジノで遊べるのなら、行ってみる価値は有りそうだ。
私は少しワクワクしながら、二人と一緒にバスへ乗り込んだ。
行く途中、隣に座っていたミミの顔を何気無くモフったところ、到着するまでずっと足を踏まれ続けた。
そんなに嫌だっただろうか…
まぁミミからすれば来た瞬間に金を毟り取られたのだから嫌悪感を露わにしても可笑しくは無い。当たり前だ。
そんなこんなでカジノ施設に到着した。
カジノ施設の名は、
「アニトピア・グランド カジノ」
このカジノ施設には最新式の賭場や、昔ながらの壺振り、競輪からパチスロまで古今東西様々なギャンブルが揃っているらしい。ちなみに広さはドーム球場二十個分もある。
しかも、説明を聞いて一番驚いたのがなんとこの世界にも競馬があるそうなのだ。
いや、なんで競馬があるの?
この世界動物二足歩行だよ?
他にも闇ガチャという物もあるらしい。本当に闇が深そうなので今回は触れないが・・
まぁ視察のついでに行けるので少し楽しみである。
闇ガチャは引きません。
そして、カジノの中に入る為、一般客とは違う裏口の方から入る事になったのだが、
流石一流のカジノである。
裏口だと言うのに絢爛豪華であり、沢山の量産型黒服が出入りしている。
早速私達はカジノ内に入り、三時間の自由時間を与えられた。
アストロは、
「いやー、一人一人の目で見た正直な意見を聞かせて欲しいんだ。」
と、大量の金が入った財布片手に軽い足取りでその場を去っていった。
全然信じられない上司を見ながら、私はミミと一緒に行動する事になった。
私は一人で行動したかったのだが、ミミ曰く
「お前ほっといたら職場の金に手出しかねんだろ。」らしい。
その言葉に私が強く言い返せなかったので半強制的にミミと一緒に行動する事になってしまった。
私達はまずは、壺振りのブースに行く事になった。
そこには、ミミ曰くアニトピアの中での人気が高くテレビにもよく出ている人気芸人が壺振りに興じていた。
そんな人ですら来るという事に多少驚いた。
私が元いた世界では、芸人が会社に言わずに営業しただけで叩かr
〖おっと、それ以上は言わせないよ。〗
どうやら作者による言論統制によって、言った台詞が消される事もあるらしい。
そんな事は気にせず次行こう!次!
私は早く競馬を見たかったのだ。まぁある程度は予想出来なくも無いが・・
ミミはまだ芸人の事を見ていたかったのか、強引に手を引っ張っているのに、余り進まない。
何処か不機嫌なミミを連れ、次にやって来たのは一般的なカジノブース。
ルーレットやトランプ、パチンコ等もある。
特に私が驚いたのがなんと、
「海○語り」が、普通に置いてあった事だ。
これ絶対人間界から盗んできてるだろ。
そんなこんなでパチンコをやろうとしたのだが、不機嫌なミミに強引に連れていかれた。
ミミに連れられ来たのは競輪、競馬ブースだった。
私としては一番来たかった場所であり、どんな風になっているのか見てみたくもあった。
しかし楽しみは最後まで取っておくタイプなのだよ。
ケーキとか苺最後の最後まで残すタイプだから。
と、言う事で先に競輪ブースに行く事にした。
競輪の試合がどうなっているのか、少しここに書かせてもらおうと思う。
まず、試合に出ている動物の種類としては、統一性は無く強いて言うならば足の筋力が強そうな動物が多かった。
次に競技場なのだが、観客席は満員でとても人気のあるブースである事が分かる。
入口の付近には、お酒片手に中年っぽい動物達が勝った負けたと一喜一憂していた。
次に競馬ブースに行く事になった。
さぁ皆さんお待ちかね、ここまで待たしといて言うのはなんだがもう言いたい事の準備は出来ている。
競馬場の中心では観客席からの期待と歓声を受けながら、四百メートルトラックのスタート地点に選手が立つ。
選手のセッティングが終わった。
会場が一瞬にして静寂に包まれる。
バァン!ピストルが鳴り響き、選手が一斉にスタートする。
銃声が鳴った瞬間多くの動物の肩が一瞬ビクッと揺れた。
やはり動物としての本能なのだろうか?
観客席が一斉に歓声を上げる。
スタート時は優勢だった黒鹿毛の選手が、後から来た栗毛の選手に抜かれ、また抜き返す。
しかしゴール地点で二人の選手が転倒。
後ろから虎視眈々と一位を狙っていた栃栗毛の選手に抜かれ、レースは終了した。
どんでん返しを見た観客の一部は沸き上がり、一部は絶叫していた。
そして、一連のレースが終わり観客席から人が居なくなってから、小声でこう呟いた。
「いや、陸上競技?」
視察という名の観光が終了した。
遊べるかも、と期待していた私だったのだがミミの機嫌が悪く、泣く泣く諦めた。
最初に集合した時は普通に役場の制服を着ていたアストロが、帰って来た時にはパンツ一丁になっていたのは衝撃的だった。
多分大きなギャンブルに負けたのだろう、何故か小刻みに震えながら爪を噛んでいた。
そんなこんなで視察は終わった。
帰りのバスの中で、私は疲れたのか可愛い寝顔をしながら寝ているミミの頬に優しく触れた。
余談だが、カジノの会場で来ていた芸人は脱税していたらs
〖だからいい加減にしろや。〗
またもや言論統制によって台詞が中断されたが、そんな事はどうでもいい。
それよりも重要なのが、今日が日曜で仕事としての給金が発生しないという事だった。
控えめに言って死にたくなった。
考えるのやーめた。
後日、カジノ施設の裏で謎の組織が動いているとの噂が何処からか流れ始めた。
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